2017/7/20

「5分会議」の基本は、1つの会議を原則5~6人以下で行い、1人が1回に発言する時間を20秒以内に制限。5分を1つの区切りとして、その間、20秒ごとに発言者を次々に回します。「司会者」「書記」「タイムキーパー」を決め、会議ごとに交代。誰もが司会者や書記を経験するため、書記がまとめやすいよう短い時間で言いたいことが伝わる話し方がおのずと訓練されます。実際のスケジュールは秒きざみ。キッチンタイマーを鳴らして進行を管理します。

古い体質が残っていた同社にとって、こうした会議改革は挑戦的な試み。始めたころは反発も多かったと橋本社長は振り返ります。「会議は、上が決めたことを発表する場」と思い込んでいた経営幹部の中には、自分が話し続けようとする目の前でキッチンタイマーを鳴らされ、拍手で終わりを促されて激高してしまう人もいたといいます。

会議は一人ひとりの意見を聞き、どんな些細な問題点も先に出してリスク管理までする場であるべき。それを理解し、徹底すると社員も会社も変わると橋本社長は言います。

持ち時間20秒の超速会議で「派閥」が消えた

実際の会議では、テーマに関する視点を「良い点」「悪い点」などと細かく区切って、それに対する意見を1人20秒ずつ、矢継ぎ早に発言していきます。出した意見についてジャッジはせず、書記がひたすら記録。短い持ち時間のため、反射的に言葉が出てきます。

発言ができなかったらパスは可能ですが最大2回までというルール。「〇〇さんの意見に賛成です」という類いのコメントはNGで、他人と同意見だったとしても自分の言葉で発言しなければなりません。「おかげで社員一人ひとりが、要点が分かりやすいよう結論から話すようになり、自己紹介するにも必ずオチがあって笑いがとれるような話し方ができるようになりました」(橋本社長)

この会議の最大の特徴は、短い持ち時間で何周も発言していくために、誰がどんな発言をしたかが分からなくなるという点。従来の会議では、意見の中身よりも「誰が言ったか」が重視されることがありました。「〇〇さんがこう言ったから……」とか「××さんは反対派だ」といった意識がなくなると、誰もが本音の意見をどんどん出せるようになったそうです。

さらに「普段、否定的なことばかり言う『評論家タイプ』の社員が生き生きとして本領を発揮し、鋭い『否定的意見』をどんどん出してくれる」というメリットも。否定的な意見を出すのは決して悪いことではなく、やるべきことがはっきりと見えて、リスク回避にもなると沖本さんも言います。

会議改革に取り組むうちに会社の風通しもよくなったといいます。以前は社内に存在した「〇〇部長派」といった派閥が消滅したのです。「昔は、意見が対立するのはまずい、よろしくないことでした。しかし今では、意見の対立は新しいアイデアが出てくるチャンスととらえています。きれいな結論が出なくても、とにかく会議で決まったことを1度やってみてまた考える、という姿勢が実行力を生んでいると思います」(橋本社長)

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どんなことでも皆による会議で決めるおかげで、部署間の壁が低くなり、協力度が上がったといいます。例えば同社では営業部と物流センターの連携に課題がありました。営業部は注文締め切り時間である午後3時以降にも顧客からの注文にこたえたい一方、物流センターは手作業による誤発送を避けるため時間外出荷をできるだけ断っていました。両者の対立を解決したのは会議です。

営業スタッフと物流スタッフが会議を行う中で問題点を明確化し、時間外でもミスなく出荷できる方法を模索しました。「『時間外出荷』という言い方もよくない」という現場の意見で「お客様貢献出荷」という呼び方に変更。年間1600万円の売り上げが上乗せされました。

「ルールは絶対ではなく、いつでも変えられるし、変えていくべき。そのときのベストがずっとベストであるとは限らない。そういう柔軟な思考が根付いてきました」(橋本社長)

2016年5月には中小企業庁の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」人材部門に選定。2017年3月には経済産業省の「新・ダイバーシティ経営企業100選」にも選ばれました。

橋本社長は、こうも話してくれました。「社員に何かを押し付けたり、やらせたりするよりも、一緒に考えて自ら動かしていくという意識、責任感が大事です。そのために必要なのは仕組み。弊社の場合は会議改革によって仕組みができました。これからも環境改善を続け、働きやすい居心地のいい会社であり続けたいと思っています」

(ライター 大崎百紀)