また、バセルの長友さんによればプロスポーツ選手にも注目されており、プロバスケットボールBリーグや山岳マラソンの選手なども、体作りのためにカンガルー肉を食事メニューに取り入れているそうだ。

「ZOOGUNZOO 渋谷店」のカンガルー肉ステーキ

では、この健康的な肉はどんな食べ方をすると最もおいしいのだろう。個人的にはナポリタンはかなりおいしいと思ったが、「やはり、肉をストレートに味わえるステーキですね」とは「ZOOGUNZOO」の米澤さん。部位で言うと一番は、最も肉質が軟らかいランプだという。ランプとは腰と脚をつなぐ部位のことだ。ひと蹴りで約10メートルもの距離を飛ぶらしい発達したカンガルーの下半身が頭に浮かんだ。

「焼き過ぎるとおいしくないんです」という米澤さんがステーキを焼くところを見ていると、本当にさっと火が通る程度の絶妙なレア加減に焼き上げていた。合わせるのは赤ワインとイチジクのソース。乾燥イチジクを白ワインで煮くずしてから赤ワインに混ぜ込んだものだ。とろりとした甘めのソースが、さっぱりとした赤身の肉によく合う。

ステーキの火入れはは、さっと火が通る程度にするのがおいしさのポイント

「僕は牛肉とカンガルー肉だったら、迷いなくカンガルー肉の方が好きです」との米澤さんの言葉に驚いたが、牛肉のグリルもメニューにラインアップする中、「ZOOGUNZOO 渋谷店」では圧倒的にカンガルー肉を頼むお客が多いそうだ。

「これはもう少し、肉の味わいが出るようにしたいんですよね」。最後に米澤さんは、変わった一品を出してくれた。カンガルー肉の自家製ジャーキーだ。しょうゆベースの自家製調味料に漬け込んだソフトジャーキーで、日本酒にも合いそうな味。ビーフジャーキーなどは脂っぽい印象があるのだが、カンガルー肉はジャーキーもさっぱりとしていて、脂に邪魔されない肉そのものを楽しめると感じた。

「ZOOGUNGOO 渋谷店」の自家製カンガルー肉ジャーキー

この2、3年、オーストラリアでは、アカカンガルー、ハイイロカンガルー、クロカンガルーなどとカンガルーの種類別に肉を分けて出荷する取り組みも始まっているらしい。マイルドな風味のアカカンガルー、コクのあるハイイロ、ハーブ風味のクロと、それぞれ味わいが異なるという。「うちでも入荷次第で今、アカカンガルーのステーキを出しているんですよ」と後日、米澤さんに聞いた。「絶対に食べてみたい」とまた一つ食への欲が生まれた。

(フリーライター メレンダ千春)

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