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「俺でも簡単に作れる家具」石巻多国籍チームでDIY 石巻工房 代表取締役・工房長 千葉隆博氏(下)

2017/7/13

テーブルにもなる「 AA STOOL 」 Photo : Fuminari Yoshitsugu

日本の場合は「復興支援」ありきで広まっていった感じですが、海外の場合はまずデザインが受けて、「ところで、この ISHINOMAKI LABORATORY (石巻工房の英語表記)ってどういう意味なの?」と聞かれて初めて震災の話をすると、そのストーリーとデザインが結びつき、いたく感動してもらえる。

じつは我々、ホームページでは2012年から一切、「復興支援」や「被災地」という言葉を使っていません。震災後、石巻周辺でいろんな団体が立ち上がりましたけれど、いつまでも助成金頼みで復興を引きずっているところはやはり、続かなくなっちゃう。

■多国籍チームで家具作りをしてみたら

工房を経営していくのは大変です。家具作りには、設備はもちろん、材料などをストックしておくスペースも必要。そういう意味では、僕らも2014年に法人化してから試行錯誤の連続です。

今考えているのは家具作りを組み込んだ企業向けのワークショップをプログラム化していけないか、ということ。実際、ある企業の依頼で、多国籍のマネジャークラスを集めた研修を手伝ったことがあるんです。その時は5人1組のチームで、「病院に入院している子どもたちが使える家具」を作ってもらった。実際に手を動かしながら作業をしてもらうと、ふだんは見えない個々人の性格や得意分野などが見えてきます。

言葉は通じなくても、身ぶり手ぶりで「ここをこう切りたい」「じゃあ、ここをこう工夫したら?」みたいなやりとりを交わすのも、おもしろい。なかには、「それ、絶対に壊れるぞ」と思うものを出してくるのがいたりして。石巻工房の家具は材料も無垢(むく)材ですし、ビスも丸見えだから、構造が簡単に分かる。「オレ(私)でも簡単に作れるかも」という気にさせる点で、ワークショップ向きなんです。

完成品は無塗装のまま野外に置いても、3年から5年は持ちます。傷がついたり、染みがついたりしても、それもまた味だと思って使ってもらえればいい。どうしても気になるようなら、自分で塗装したり、表面を削ってきれいにしたりすることもできます。現代人が忘れがちなDIYの精神を呼び覚ますための家具でありたいと思っています。

千葉隆博
1972年、宮城県生まれ。地元高校を卒業後、北海道の建築系専門学校へ進学。家業のすし店で東日本大震災までの約20年間、すし職人として働く。震災後、2011年から石巻工房に関わり、工房長を経て、14年3月の法人化と同時に代表取締役。被災地でブランドを立ち上げた一連の取り組みにより、12年度グッドデザイン賞受賞。

(ライター 曲沼 美恵)

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