■ピッティ・ウオモで見つけた最新トレンド
今年も6月13日から16日まで、2018年春夏向けピッティ・ウオモが開催されました。会場をくまなく見てまわったところ、ビジネスファッションの全体的な傾向として、以下の5つの点が気になりました。
1. 正統派英国調への回帰
従来の艶のあるイタリアンファッションから、古典的なブリティッシュスタイルへの揺り戻しが、2017年春夏物に比べさらに顕著に現れています。
2. ボリューム感の変化
特にボトムスの変化が顕著で、1プリーツや2プリーツを入れて腰回りにゆとりを入れたパンツが拡大しています。日本でも1980年代はプリーツ入りのパンツが一般的でした。当時と違う点は、裾に向かって細くなり短めのシルエットです。
3. クラシックなアクセサリーの復活
ブレーシス(米語ではサスペンダー)、カフリンクス、タイバーなど1980年代にはやった古典的英国調アクセサリーが復活しています。スーツの変化でシャツ、タイ、アクセサリーも変化しているのです。
4. 色、素材、柄の変化
色ではチョコレートブラウンからベージュにかけてのブラウン系と、オリーブグリーンなどのナチュラルカラーの拡大が顕著です。来場者のコーディネートでもブラウン系、グリーン系が多く目立ちました。
素材ではコットン、リネン、表面感のあるローシルクなどが拡大しています。ウールでもイタリアで「ソラーロ」、英国や米国では「サンクロス」と呼ばれる玉虫色の光沢素材の提案が目立ちました。
柄では「オールドイングリッシュパターン」と呼ばれるストライプ、グレンチェック、ハウンドトゥ―ス、ウインドペーンなどの英国古典柄に加え1980年代にはやったオルタネートストライプ(色や太さが異なるストライプを交互に配した柄)も登場しています。また一方、無地の提案も増えています。
5. ビジネスファッションに新潮流
スーツでは、スリーピーススーツ、これにダブルブレストベストを組み合わせた提案が増えています。それとダブルブレストスーツが増加しています。チェンジポケットやシングルピークドラペルが増えているのも英国調デザインの影響です。
ジャケットでは、ジャージー素材のジャケットが相変わらず多いですが、逆にメタルボタンのブレザーが新鮮でした。ベージュやオリーブグリーンのコットンやリネンのセットアップも強く打ち出されています。
トラウザーズ(パンツ)ではワンプリーツ、ツープリーツが拡大、ベルトレス、サイドエクステンション、内側に6個のサスペンダーボタンを付けた英国調のデザインがトレンドです。
ドレスシャツではタブカラー、ラウンドカラー、ピンホールカラーなどクラシックでシャープなVゾーンを作れる衿(えり)型が注目されています。
ネクタイでは、スーツに合わせてチョコレートブラウンからベージュのブラウン系が増加しています。ストライプでは色ごとに織り方を変えたものが、ミラノの北に位置するネクタイ生地産地、コモのトレンドです。プリントタイの復活も目立っていました。