ブック

若手リーダーに贈る教科書

どうするマイホーム、これを知らなきゃ「負け組」に 長嶋修著 「不動産格差」

2017/7/1

当時のマイホーム人気をもたらしたのは「経済は成長を続け、地価は上がり続ける」という社会のムードでした。著者は、早くしないと価格が上がって買えなくなるという焦燥感があったと指摘します。

では、今はどうでしょう。ニュータウンの建物は多くが老朽化し、少子高齢化で人口も減って「スラム化」を心配する声が出るほどです。高齢化が進み、人口や世帯数は本格的な減少時代を迎えます。空き家は現在も増え続けており、2013年時点で13.5%だった空き家率(総務省調べ)が、30年には30%台にまで上がるという予測もあります。こんなときだからこそ「家を買うのか、賃貸住宅に住むのか」「買うなら、どこにするのか」。この選択が大変重要です。

■不動産、9割は値下がりへ?

著者は、不動産のうち将来も「価値維持あるいは上昇する」のは10~15%にすぎず、残りは程度の差はあっても下がり続けると分析します。12年に第2次安倍内閣が発足して以降、日経平均株価の上昇と連動する形で、東京都心の中古マンションの価格は上昇しています。ただ、上昇したのはほんの一部にすぎないといいます。

上昇トレンドに乗って大きな恩恵を受けた不動産は極めて限定的でした。東京都心部なら前述の通り、中央・千代田・港区の都心3区に新宿・渋谷区を加えた5区くらいまでは50%程度上昇しましたが、東京全体ではプラス40%程度、神奈川・埼玉・千葉に至ってはせいぜい20%程度の上昇です。
さらに南関東圏(東京・埼玉・神奈川・千葉)で価格を上げたのはマンションのみで、一戸建てや一戸建て用の土地は、横ばいないしは下落トレンドにありました。
(序章 不動産の9割が下がっていく 23ページ)

■その土地、人は増える?それとも…

それでも家を買いたいという人は、どうしたらいいのでしょうか。著者は、最も大切なのは、とにかく立地だと断言します。

人口や世帯数が減少する局面では、人の動きは偏在化し、特定の場所に集まることが知られています。その偏在具合も通常イメージされているよりは極端になります。東京圏・名古屋圏・大阪圏の三大都市圏に人口が集中する一方、全国の6割以上の地域は人口が半分以下になります。
(第2章 「どこに住むか」が明暗をわける 55ページ)

人口減少社会を迎え、駅周辺や鉄道沿線に行政や商業、福祉の機能を集める「コンパクトシティー」という考え方が注目されています。こうなると自治体は「人口を増やしたい地域」と「そうでない地域」を自ら色分けすることになります。同じ自治体でも、場所によって土地の需要に格差が生まれることになるのです。

ブック 新着記事

ALL CHANNEL