どうするマイホーム、これを知らなきゃ「負け組」に
長嶋修著 「不動産格差」
国内で1日に刊行される新刊書籍は約300冊にのぼる。書籍の洪水の中で、「読む価値がある本」は何か。書籍づくりの第一線に立つ日本経済新聞出版社の若手編集者が、同世代の20代リーダーに今読んでほしい自社刊行本の「イチオシ」を紹介するコラム「若手リーダーに贈る教科書」。今回の書籍は「不動産格差」。住宅ローン金利が歴史的な低水準にあるため、家を買うかどうか真剣に検討している人も多いだろう。そんな人に向けて不動産市場の未来を予測しながら、マイホームの「勝ち組」と「負け組」を分けるポイントを解説している。
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長嶋修氏
著者の長嶋修氏は1967年生まれで、広告代理店や不動産デベロッパーなどで働いた経験があります。その後、不動産コンサルタントのさくら事務所を設立し、現在は代表取締役会長を務めています。著書に「『空き家』が蝕む日本」(ポプラ新書)などがあります。
「どんな家でも資産」の時代は終わった
会社での仕事ぶりが「一人前」と認められるようになると、上司や先輩に「家を買わないのか? そろそろいいんじゃないか」などと言われます。友人が新築マンションを買ったなどと聞けば、「自分もそろそろ」と思ったりする時期かもしれません。そんなときに気を付けたいのは「家を持つのが当たり前」「持っていれば資産」という時代は、もう戻ってこないということです。
「不動産はどんなものでも持っていれば資産」という時代は終わりました。さらに言うと、不動産はただ所有しているだけでは固定資産税や維持管理費がかかる「負債」です。所有する不動産をどのように活用できるのか、中身が問われる時代になりました。
(第1章 2022年、住宅地バブルの崩壊 31ページ)
高度経済成長に沸いた1960年代後半から70年代にかけ、都心から30~40キロメートル圏内のベッドタウンには、多くの団地や分譲住宅が造られました。住宅ローンの金利は年7~10%の高さでしたが、抽選会が白熱するほどの人気でした。