部屋干し派の味方 半乾きをライトで教える除湿乾燥機

「家事をまったくやったことがない男性でも、正しく家電製品を選べば必ず家事ができるようになる」。家電コーディネーターの戸井田園子さんはそう断言する。家事を家族に任せっきりだった男性は家事メンになれるのか。今回取り上げるテーマは「衣類乾燥」だ。
室温が高いのに、なぜか洗濯物はしっとり……
秋葉けんた(以下、けんた) 洗濯物を部屋干しするようになり、洗濯がうまく回せるようになりました(記事「晴天でも外に干さない 共働き家庭、洗濯機選びのキモ」参照)。しかし、ひとつ問題が……。
戸井田園子(以下、戸井田) どうしました?
けんた 洗濯物を取り込むとき、乾いているかどうかが見分けられないんです。いつも洗濯物を触ってみるんですが、最近「しっとり」している気がして……。妻は「これで大丈夫」っていうんですけど、信じられなくて。
戸井田 確かに、気温と湿度が高いこの時期は洗濯物が乾きにくくなります。「乾いているかどうかわからない」という感覚は、ある意味、正解なんです。
けんた なぜわからないんでしょう?
戸井田 原因は「湿度」です。「湿度」とは、空気がどれくらい湿っているのかの指標。一般的に相対湿度のことを指し、現在の水蒸気量/その気温での飽和水蒸気量×100で算出します。
けんた 「その気温での飽和水蒸気量」ということは……。
戸井田 そうです、同じ「湿度50%」でも、気温によって空気中に含まれる水分量が変わるんです。たとえば気温5度で湿度50%のとき、1立方メートルの空気に含まれる水蒸気の量は3.4グラム。しかし気温が30度で湿度50%の場合、空気中に含まれる水蒸気の量は15.2グラムになります。
けんた つまり「気温が高ければ、同じ湿度でも水分量が増える」ということですね。
戸井田 その通り。梅雨の時期は気温が高くなるだけでなく、空気中に含まれる水分量も増えるため、洗濯物が乾きにくくなるんです。
けんた そういえば学生の頃、理科の授業で「飽和水蒸気量」について習ったことがあります。
戸井田 家事は、意外と理科の要素が多いんですよ。理系の人は、家事に向いているともいえます。
けんた そうか、理系は家事に向いていたのか!
部屋干し派に除湿乾燥機が人気
戸井田 空気が湿っている時期も毎日の洗濯をルーティンとして回したいのであれば、除湿乾燥機の導入をおすすめします。最近の除湿乾燥機は「衣類乾燥モード」がついていて、洗濯物を乾かすために購入する人が増えているんですよ。
けんた なら部屋干し派のわが家でも購入を検討しないと。
戸井田 除湿乾燥機には、エアコンと同様、空気を冷やすことで湿気を水滴に変える「コンプレッサー式」と、乾燥剤を使って空気を乾燥させる「デシカント式」の2つの方式があります。コンプレッサー式は、高温時(夏場)での除湿能力が大きいのが長所。短所は、振動音が大きく、本体サイズも大きい点です。デシカント式は、低温時(冬場)での除湿能力が大きく、軽量・コンパクト。デメリットは、乾燥剤を乾かす際にヒーターを使うため、部屋の温度が上がってしまう点。
けんた これから夏に向かうので、室温が上がるのはちょっと嫌だなあ。
戸井田 北海道や北陸などの地方を除き、デシカント式が適している地域は広くありません。コストパフォーマンスを考慮するなら、コンプレッサー式がおすすめです。ちなみに、この2つの方式を兼ね備えたハイブリッドタイプの除湿乾燥機もあるんですが、けんたさんの用途ならコンプレッサー式がいいでしょう。
「長い物干し」「二段物干し」で変わる機種選び
戸井田 次に機種選びですが、ポイントとなるのは洗濯物の量と洗濯物を干すスペースです。
けんた 量はわかるような気もするのですが、洗濯物を干すスペースも関係してくるのですか。
戸井田 そうです。長い物干しに洗濯物をたくさん干している家庭におすすめなのは、左右方向の幅広い範囲に送風できる「F-YHPX200」(パナソニック)。家族が多く、頻繁に洗濯する家庭向きです。

けんた わが家では長い物干しは難しいなあ。
戸井田 長い物干しを設置できるスペースがない家庭は、狭い場所でもたくさん干せる上下二段になった物干しを使いましょう。この場合、ルーバーを使って上下方向に広く送風できる「CV-G120」(シャープ)がおすすめです。

けんた わが家はそっちですかね。
戸井田 ただ、けんたさんは、「乾いたかどうかわからない」という悩みがあるんですよね。だったら乾いたことが目でわかる除湿機がよいかと。
けんた ええっ! 乾き具合が見てわかる除湿乾燥機なんてあるんですか?
戸井田 「MJ-120MX」(三菱電機)には、部屋と洗濯物の温度を検知するセンサー「ムーブアイ」が搭載されています。ムーブアイは、部屋や洗濯物をサーチし、洗濯物とその周辺の温度を比較。温度が低い箇所があれば、そこを「湿っている」と判断し、集中的に送風します。送風箇所には緑色のスポットライトが照射されるので、今どこがぬれているのかが目で確認できるのもポイントです。

けんた なるほど! 洗濯物にライトが当たっている箇所は、まだ乾いていないってことなんですね。
戸井田 洗濯物のぬれ具合を可視化できるので、けんたさんの要望にはマッチしていると思いますよ。
ライトが乾きにくい場所も教える
けんた 戸井田さんのアドバイスに従って「MJ-120MX」を購入しました!
戸井田 使い勝手はどうですか?
けんた 干した後の湿った感じがなくなり、スッキリしました! 乾燥が終わったときに貯水タンクを見ると、水がたくさんたまっているのが目で確認できるのもうれしいですね。

けんた 洗濯物を乾かしている間、緑のスポットライトがどう動くのかをじっと見ていました。最初は部屋全体をみて、ぬれている場所(つまり洗濯物を干した場所)を探すんですね。干してある場所がわかったら、次に洗濯物を集中的に照らしていく。
戸井田 はじめは全てぬれているからまんべんなく照らしているんですが、一部乾き始めると、そこは照らさなくなる。そしてだんだん照らす範囲が狭くなっていき、すべて乾いたらスポットライトが消えます。
けんた この動きを見ていると、洗濯物を干す場所によって乾きにくかったり、布が重なっている衣類が乾きにくかったりすることがわかってきました。

戸井田 洗濯物の干し方は、外側に長い衣類を、内側に短い衣類を並べてアーチ干しをすると、効率よく乾きます。フードのように布が重なっている部分には、中に風船を入れたり、ハリガネハンガーを加工して布と布がくっつかないようにすると乾きやすくなります。今度やってみてください。
けんた やってみて、その結果を見ながら次にどうするかを工夫するという流れが科学の実験のようで、だんだん楽しくなってきました!
戸井田 ほらね。やっぱり理系の人は家事に向いているんですよ。

(監修 戸井田園子、文 秋葉けんた、イラスト 岡山進矢)
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