2017/6/18

牧野正幸、人材育成のスゴ技

コンサルタントも同じです。「お前のここが間違っている!」と強く指摘し、「なるほど、目からうろこが落ちました」と相手を説き伏せるのが仕事だと考える人は多いようです。しかし、実際は違います。顧客が求めているものを聞き出して整理する力が大切なのです。人に伝える能力が高い人間は、むしろエンジニアに向いています。エンジニアは、自分の作った製品をいかに顧客に使ってもらうかが勝負なので、プレゼンテ―ションがうまい人間が重宝されます。

働いていないうちから、自分の向き不向きなんて判断できるはずがありません。そのギャップを埋めるのがインターンの役割なのです。

卒業後いつでも入社できる「3年パス」

創業して3年目の1999年に第二新卒の採用を始めました。当時、山一証券の破綻が象徴するように金融業界は揺れており、優秀な金融系の若手社員が新たな職を求めていたのです。ところが、その人たちがどの程度当社の業務内容を理解しているのか、どれだけの能力があるのか、全く分かりません。これではミスマッチが起きると思いました。そこで「給与を保証する6カ月の研修期間を設けます。それで不合格だった人はやめていただきます。その条件でOKなら受けてください」という採用方法を考え出しました。

牧野氏は「1カ月のインターンには、反対ばかりだった」と話す

研修といっても、専門知識やプログラミングを習得などではなく、その人の能力を掘り起こし、問題解決能力を発揮するやり方を自覚してもらうのが目的です。たとえば『理想のデジタル時計を作ってください』といったような、身近なイノベーションを考えてもらいました。前半の数カ月で案を考えてもらい、後半の数カ月で実際につくってもらうというスケジュールです。社員は質問に一切答えず、全部自分で考えてもらいました。

やってみたら大成功でした。この研修の卒業生たちは今、当社の中核メンバーです。彼らから「学生時代にやりたかった」「学生を対象にこれをやったほうがいいんじゃないですか」と言われました。しかし、学業が本業である学生に対して、今の学業を辞めてもらったうえで、「6カ月の研修でダメだったらクビ」なんてできません。

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あれもこれも…全員が反対