育休中の復職ウオーミングアップ 「ママボノ」とは?

日経DUAL

仕事の進め方のカルチャーショックは支援を受ける団体側も感じていることが多く、ディスカッションを積み重ねることで「ビジネスパーソンから得た発想を今後の運営に前向きに取り入れたい」と、お互いが満足する成果が生まれます。これはまさに、仕事で1つのプロジェクトを終えたときの達成感と同じです。

子ども連れ大歓迎。ピンクのエプロンのスタッフは、ママボノ2016の支援先でもある「ドゥーラ協会」の産後ドゥーラの皆さん

「育児脳」から仕事モードに戻れるか確認したかった

ここで、2016年度のママボノに初参加したママボノワーカーの声を聞いてみましょう。資生堂に勤務する江川恵美さんは2015年2月に長男を出産し、育児休業(最大3年間)を取得中です。ママボノを知ったのは世田谷区発行のメールマガジンでした。

「育休中にしかできないことを何かしたいと思っていたところ、子連れで参加できるということだったので興味を持ちました」。子どもを預けてまで何かするのはハードルが高いけど、一緒に連れていけるので気楽だったと語ります。

江川さんが産休・育休前に所属していたのは情報企画部(当時)。70人ほどの部署で担当するシステムの分野別に5~十数人のグループに分かれていました。

「産休直前には、海外、マーケティング、物流、人事・会計の各システムを担当する4グループと、プロジェクト管理、システム企画、インフラをサポートする3グループがありました。当時、私はプロジェクト管理業務担当で、部内承認会議の運営や議事進行をしていました。過去にはマーケティングと物流に関する社内システムの導入や運用に携わっていました」

具体的な業務としては、製品管理のシステムをウェブ化したり、全国の社員が使っている端末の設置状況をウェブ化したりして、改善を行うといった内容でした。

「職場に復帰するに当たり、『育児脳』になっていた自分が仕事モードに戻れるか確認しておきたいという気持ちがありました。また、過去に異業種交流の研究会に参加したことがあり、そのときとても楽しかったという思い出があったので、そんな経験がママボノに参加するきっかけにもなりました」

江川さんのチームが支援したのは、NPO法人ぷかぷか。横浜市で2008年から、障がいのある人たちが働くパン屋、カフェ、お総菜屋、アートスタジオの運営を行っている団体です。ママボノとしてのチームのミッションは、お店や商品の魅力のみならず、「障がいのある人たちと一緒に生きていくと社会が豊かになる」というメッセージを発信するための、ウェブサイトの改善提案です。

「ウェブサイトは、伝えたいことを次々と盛り込んだ結果、情報が整理されておらず分かりにくい状態になっていました。伝えたい内容が階層の奥深くに隠れてしまっていたり、発信すべき情報が書かれていなかったり。それをどう改善したらよいかを提案しました」

2016年10月25日、東京の全チームが助成元の日本財団が提供する会場に集まってキックオフミーティングを開き、顔合わせを行いました。その日に成果物の範囲を決め、チーム内でのグループ分けをして担当を決定。最終成果物は(1)ウェブサイト内のカテゴリの整理(2)ウェブサイト内のタイトル、キャッチコピーなどの言葉の表現(3)トップページデザイン(4)ウェブサイト更新のソフト(またはシステム)(5)ウェブサイトドメインの変更(6)外部サイトの活用です。江川さんは(1)と(6)を担当することになりました。育休前に会社で担当していた情報分析スキルや資料作成方法などが、ここで役立ったそうです。

チームで行った具体的な作業は次の通りです。ウェブサイトを隅々までチェックし、サイトマップを作成。それを元にカテゴリを整理して新しいホームページの階層案を作る。同時に、トップページデザインとタイトルやキャッチコピーを考え、システム環境や推奨ソフト、ドメインに関する調査を行う。また、調査していく中で外部のグルメサイトを活用することも有効と考え、参考情報として提案に含めることに決定。

11月1日には現地を見学し、団体のメンバーにも直接インタビューを実施。12月7日には全体報告会で成果発表とタイトな進行であるため、すべてを手際よく進める必要がありました。

「NPO法人ぷかぷか」支援チームの活動中のスナップ3枚
(写真提供=認定NPO法人サービスグラント)

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