デスクワークは、決して楽な仕事ではありません。脳への負荷は、肉体労働より一般に大きいと考えられます。体への負担についても、動きが少ないので楽に見えるかもしれませんが、重労働には違いないのです。

昔とは痛みの原因が変わっている以上、昔ながらの方法では肩こりや腰痛は治りません。時代の変化につれて、対処法も違ってこなければならないのです。

姿勢の悪さを自覚することが、姿勢改善の第一歩

――姿勢とストレスが、現代においては腰痛などを慢性化させる2大要因だということはよく分かりました。しかし、例えば一日中パソコンの前に座ったきりで緊張を強いられる仕事をしている場合、悪い姿勢もストレスも仕事から来ていますから、簡単には改められません。

確かに、仕事がストレスになっているからといって、すぐに仕事を変えることはできないでしょう。でも、姿勢なら、本当は自分でいつでも変えられるはずです。ポイントは、自分の姿勢が悪いと自覚しているかどうかです。

私のところに来るような患者さんは、姿勢が悪い方が多いのですが、意外とその自覚がありません。

私が「まっすぐに立ってください」というと、ご本人はまっすぐに立っているつもりでも、かなり前かがみになっていることが多いのです。そうした方には、よくタブレット端末で写真を撮って、確認してもらうようにしています。

この方法はなかなか有効です。正面からの立ち姿なら鏡で見ることができますが、横からはうまく見られません。もし、あなたが腰痛や肩こりで悩んでいるならば、家族や知人にお願いして、真横からスマートフォンやデジタルカメラで撮ってもらって見てください。

――姿勢の悪さを自覚することが、姿勢を改める第一歩なのですね。自分の姿勢が良いのか悪いのかは、どこを見れば分かりますか。

「理想的な立ち姿勢」というのは、真横から見て、耳、肩、股関節、ひざ関節の中心が一直線になる姿勢です。この姿勢ならば、頭の重さを体全体の筋肉でバランスよく支えることができます。

しかし、前かがみになっていると、首や肩の筋肉に必要以上に力が入ってしまい、首の痛みや肩こりの原因になります。さらに、体全体のバランスをとるために腰の筋肉に力がかかり、腰の痛みにもつながります。傾いた建物を支えようとすると、土台に無理がかかるのと同じ理屈です。

良い立ち姿勢と悪い立ち姿勢の例(c)undrey -123rf

「理想的な座り姿勢」も、同じ理屈で考えます。上半身がまっすぐ立っていて、しかも腰がいすの背面に密着しているのが良い座り姿勢です。

典型的な「悪い座り姿勢」は、前かがみになって首に力がかかってしまう姿勢と、ふんぞり返って腰が丸まる姿勢です。

(写真:秋元忍)

このように、立ち姿勢であれ座り姿勢であれ、良い姿勢と悪い姿勢があるのは確かです。しかし、たとえ良い姿勢であっても、長時間同じ姿勢を続けるのはよくありません。筋肉が固まってしまうからです。

「30分ルール」で姿勢をこまめに変える

――たとえ良い姿勢であっても、長時間続けるのはよくないとは驚きです。では、腰痛などの慢性痛がある場合、どんな姿勢をすればよいのですか?

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