時間がない日はもっぱらコンビニエンスストア(コンビニ)のランチというあなた。自分がいつも食べているものを把握できているだろうか。空腹を満たすだけのメニュー選びをしてはいないだろうか。忙しい大人のための健康的な食の推進を行う大人のダイエット研究所では、「働き世代におけるコンビニランチ実態調査」を行った。その結果から、コンビニランチ派に不足している栄養素が浮かび上がってきた。ビジネスパーソンが目指すべきコンビニランチの理想的なメニューとは? 同調査を行った大人のダイエット研究所の代表で管理栄養士、岸村康代さんの分析をもとに解説する。
コンビニランチ派、3人に1人は「ダブル糖質」
午後イチで重要会議がある、アポイントメントがぎっしり詰まっている、急いで資料を準備する必要がある……。仕事の現場では時間に追われ、昼食時間を削られてしまうこともままあるだろう。そんなとき、頼りになるのがコンビニの存在だ。最近では、健康志向や安心素材をうたったプライベートブランドなどが登場し、弁当や総菜の種類も豊富。選び方次第では、ヘルシーなランチにすることも可能に思えるのだが、実態はそのようにはなっていないようだ。
まずは、大人のダイエット研究所の調査結果を紹介しよう。
調査対象は、平日の勤務日のうち、週3日以上コンビニなどで購入したものでランチを済ませている20~40代の男女100人(3回分のランチ計300食分)。岸村さんが分析をしたところ、顕著な栄養不足のランチの例として、次の3つの問題パターンが見えてきたという。
【栄養不足のランチ、3つの問題パターン】
(1)ダブル糖質(カップ麺+おにぎりなど)
(2)菓子パンや総菜パンのみ
(3)サラダのみ
こうしたメニューを自分もよく食べる、と気づいた人も多いのではないだろうか。(1)のダブル糖質ランチは、全体の29.7%と約3人に1人の割合を占めトップ。100人分300食のランチの中で、上記の3パターンが全体の43.7%を占める結果となった。
食物繊維とカルシウムが不足しがち
今回の調査で、コンビニランチ派の栄養面での問題点が明らかになってきた。「まず(1)~(3)に共通する問題として、食物繊維が十分にとれておらず、カルシウム不足も深刻であることが分かりました」と岸村さん。
調査では、健康面で意識していることも聞いており、6割以上が「野菜をとろうと意識している」と回答している。それにもかかわらず実際は十分にとれていない実態も見えてきたという。
「理由としては、忙しいためどうしても手軽にとれる食品に手が伸びてしまう。加えて、コンビニで購入する際は、『空腹を満たしたい』『価格を安く済ませたい』という心理も働くのではないかと考えています。また、カルシウム不足については、普段の食事で、野菜をとろうとは意識していても、カルシウムの摂取まで意識して食品を選んでいる人は少ないのでしょう」(岸村さん)
全てに共通するのは、食物繊維とカルシウムの不足だが、次に、パターンごとの問題点を整理してみよう。
(1)ダブル糖質:塩分のとり過ぎ。(2)(3)と比較してもかなり多い。
(2)パンのみ:脂質の割合が高くなり、たんぱく質が不足。
(3)サラダのみ:脂質の割合が高くなり、炭水化物とたんぱく質が不足。
(3)は一見ヘルシーにも思えるが、「炭水化物をとっていないので、エネルギーに占める脂質の割合が高くなり、栄養バランスのよいランチとはいえません。糖質は消化吸収されやすく、体内で速やかに代謝され細胞のエネルギーとして利用されます。体力を使う営業職の方にとっても、集中力が必要なデスクワークの方にとっても必要な栄養素です」(岸村さん)