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立川談笑、らくご「虎の穴」

日の丸弁当の厳格な法則 松坂大輔と不思議な相関関係 立川吉笑

2017/5/28

PIXTA

 毎週日曜更新、談笑一門でのまくら投げ。今週のお題は「お弁当」ということで、今週も次の師匠まで無事にまくらを届けたい。

 25歳を過ぎるまで、僕は日の丸弁当しか食べたことがなかった。

 というか、物心ついてからそれまでずっと、日の丸弁当以外のお弁当を見たことがなかったから、お弁当=日の丸弁当であって、のり弁だとか幕の内弁当だとか、世の中にはそんなにたくさんのおかずが詰まった夢のようなお弁当があること自体を知らなかった。

 主にお弁当を食べていたのは中学生のころで、もちろん3年間日の丸弁当だけを食べ続けた。正しくは、日の丸弁当と、日の丸弁当の失敗作とを食べ続けた。

 今思えば、クラスメートたちは色とりどりのおかずが詰まったお弁当を食べていたのだろうと想像できるけど、当時の僕は自分のお弁当だけに焦点を合わせて、周囲はボヤケるような視界の使い方でもってお弁当を食べていたから、みんながどんな弁当を食べているのか知らなかった。

 そう言えば隣の席から「シャキシャキ」という音(いま考えたらサンドイッチのレタスの音だろう)や、「バリバリ」という音(いま考えたら豚バラとレンコンの甘酢炒めに違いない)が聞こえてきて、不思議に感じたことが何度もあった。

高座に上がる立川吉笑さん(東京都武蔵野市)

 例外はあれども、基本的に白いご飯と梅干しだけで構成されている日の丸弁当では、どんなふうに食べても「シャキシャキ」とか「バリバリ」という咀嚼(そしゃく)音を生み出すことはできない。梅干しの種をうまく使いこなせば、ともすれば可能かもしれないけど、当時の僕にそんな技術はなかった。

 とにかく僕は中学3年間ひたすらに日の丸弁当と、日の丸弁当の失敗作を食べ続けた。

 いや、これだと自分に都合良く表記しすぎで、正しくは中学3年間で日の丸弁当を食べられたのは2回だけ。それ以外は日の丸弁当の失敗作を食べ続けた。

 と言うのも、日の丸弁当を作るのはとても難しくて、基本的にはどうやっても失敗してしまうのだ。

 専門的な話になるから簡単に説明すると、正しい日の丸弁当を作るには、まず白ご飯を「縦の辺が横の辺の3分の2」になるようにお弁当箱につめる必要がある。これが第一の関門で、なかなかこのサイズぴったりのお弁当箱が売っていないのだ。だからお弁当箱いっぱいに白ご飯をつめた時点ですでに、日の丸弁当の失敗作となってしまう。

 中学2年のとき、お年玉の全てを費やして特注のお弁当箱を業者さんに作ってもらうまではただただ失敗を重ねるしかなかった。

 白いご飯の縦横比をクリアしたとしても、日の丸弁当作りの難しさはまだある。それは梅干しの配置だ。しかるべき場所にしかるべき数量の梅干しを配置しなくてはいけないけど、実際にやってみると、これがとても難しいのだ。

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