お酒で顔が赤くなる人「骨粗しょう症・骨折」に注意

日経Gooday

骨粗しょう症群全体では、ALDH2*2保有者は248人中131人(52.8%)で、オッズは正常群の2.04倍、年齢とBMIを考慮しても2.11倍でした。

次に、対象となった女性の一人ひとりに、飲酒すると顔が赤くなるかどうかを尋ねて、答えが「はい」だった人がALDH2*2を持つ可能性を検討しました。その結果、「はい」という回答を利用すれば、感度[注1]80.0%、特異度[注2]92.3%という高い精度でALDH2*2の保有を予測できることが明らかになりました。したがって、遺伝子検査をしなくても、飲酒すると顔が赤くなるかどうかが分かれば、骨折しやすいかどうかが高精度に推定できると考えられます。

ビタミンEをとれば骨折リスクを減らせる?

さらに研究者らは、なぜアセトアルデヒドの代謝が進まないと骨折リスクが高まるのかを知るために、マウスの細胞を使った実験を行いました。

骨粗しょう症は、骨を作る骨芽細胞の働きより、骨を吸収する破骨細胞の働きが強くなると生じます。そこで、将来骨芽細胞になる細胞と、破骨細胞になる細胞の培養液にアセトアルデヒドを加えたところ、どちらの細胞も正常に機能しなくなりました。抗酸化作用を持つビタミンE (水溶性ビタミンE誘導体)をアセトアルデヒドとともに加えたところ、骨芽細胞になる細胞の機能のみ正常に戻りました。

今回得られた結果は、以下のことを示しています。

・ALDH2*2を保有する人は、飲酒とは無関係に大腿骨近位部骨折および骨粗しょう症を起こしやすい

・ALDH2*2を保有するかどうかは、飲酒によって顔が赤くなるかどうかを指標に予測できる

さらに、ALDH2*2を保有する人の骨折リスクはビタミンEの摂取により低下する可能性も示唆されましたが、マウスの細胞を使った実験結果であるため、さらに研究を進める必要があると著者らは述べています。

論文は、2017年3月27日付のScientific Reports誌電子版に掲載されています[注3]

[注1]感度:陽性のものを正しく陽性と判定する確率。感度が高いと、見落とし(偽陰性)が少ない。
[注2]特異度:陰性のものを正しく陰性と判定する確率。特異度が高いと、過剰診断(偽陽性)が少ない。
[注3]Takeshima K, et al. Sci Rep. 2017 Mar 27;7(1):428. doi: 10.1038/s41598-017-00503-2.
大西淳子
医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

[日経Gooday 2017年5月10日付記事を再構成]

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