2017/5/27

ではどこまで古いのかとなると、これがまた難しい。骨のさらに下からは流華石が見つかっていない。そこで、堆積物の粒子とホモ・ナレディの3個の歯をいくつかの異なる測定法にかけた結果、最も古くて33万5000年前という数字にたどり着いた。

米ウィスコンシン大学マディソン校の古人類学者で、ホモ・ナレディ研究チームの一員でもあるジョン・ホークス氏は、「この数字にはかなりの自信を持っています」と語っている。

大人の頭骨を四方向から撮影したもの。(PHOTOGRAPH COURTESY LEE BERGER)

洞窟に第2の空間を発見

研究チームはさらに、ライジング・スター洞窟から第2の空間が見つかり、そこからもホモ・ナレディの化石が発見されたと発表した。最初の空間「ディナレディ」の発見者でもあるスティーブン・タッカー氏とリック・ハンター氏が、2013年11月に現地を調査中に見つけたという。

(JASON TREAT, NGM STAFF. SOURCE: MARINA ELLIOTT, WITS, JOHANNESBURG.)

第2の空間は「レセディ」(地元のセツワナ語で光という意味)と名付けられ、ディナレディから100メートル以上離れた場所にあった。

ディナレディからは1500点以上のホモ・ナレディの標本が回収されたが、レセディからは今のところ130点ほどの標本が回収されている。その中には、2人の大人と少なくとも1人の子どもの骨が含まれていた。大人のうちの1人はおそらく男性で、その頭骨は顔の部分がほぼ全てそろっており、体の骨格も驚くほど完璧に近い状態で残されていた。おかげで、ディナレディの化石だけではわからなかったことも明らかになるだろうと期待されている。チームは、この男性を「ネオ」と名付けた。ソト語で、「贈り物」という意味である。

洞窟は遺体埋葬場だった?

レセディの発見は、ホモ・ナレディについて議論になっている仮説のひとつを裏付けるものであると、バーガー氏のチームは主張する。その仮説とは、ホモ・ナレディがライジング・スター洞窟を遺体の埋葬場として利用していたというものだ。

そもそもこのような説が生まれたのは、第1の空間ディナレディの存在自体、説明のつけようがなかったためだ。そして、後から発見されたレセディも同じように謎めいていた。2つの空間から発掘された骨はほぼすべてホモ・ナレディのものだったのだが、これはきわめて珍しいことである(レセディには、他の動物の骨も一部含まれていた)。さらに、どちらの空間も他の出入り口が発見されていない。

「洞窟内の離れた2つの場所で、成人や子どもを含め複数の遺体が似たような状況で積み重なっている。これがどんな自然現象で起こるというのでしょう。とても、偶然にこうなったとは思えません」と、ホークス氏は言う。

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石器を使っていた可能性も