ビール王者復活へ「まず1勝」 キリンの布施社長

そして現在。2016年のキリンのシェアは32.4%。首位のアサヒビールに6.6ポイントも離され、かつての王者の風格はない。「今更、ジタバタしたところで意味がない。目線を高くし10年単位で将来を考えないと」

今、布施はどっしりと構える。ライバルメーカーの窮状に乗じてシェアをかき集めてみても「キリンは何も変わらない」ことを知り抜いている。だから震災で傷ついたサントリーに手を差し伸べた。「動きが止まったサントリーを攻めることはできたかもしれない。しかしそれは私のやり方ではない」という言葉の裏には、キリンを取り巻く環境の厳しさ、そしてキリンという会社の現状の行き詰まりを誰よりも痛感していることがある。

ただ、劇薬を用いる手法は好まない。性急に結果を求めることもしない。「私は項羽ではない。劉邦だ」と自らを評するようにキリンという名門会社の底力を信じ、力と知恵を集め、時間をかけて大きなうねりを創り出そうとしている。

キリン覚醒を待つ

そのためには布施は人の話を聞く。聞いて、聞いて、そしてまた聞いて……。会社の力が一つにまとまる瞬間をぐっと耐えながら待っている。一つ一つ「勝ち」をつくり、キリンが覚醒するのを待っている。

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