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ここ一番で襲ってくる腹痛 過敏性腸症候群の対処法

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2017/5/29

下痢、便秘、腹痛などによって、日常生活に支障をきたす過敏性腸症候群(c)teeramet thanomkiat-123rf
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ストレス過多の現代ならではの病気、過敏性腸症候群。通勤中など、逃げ場のない場面に限って強烈な下痢に襲われるのがつらい病気だ。軽症の人が大半であるため、医療機関を受診していない予備軍も多いと推測されている。長年にわたり心療内科で過敏性腸症候群を診てきた東急病院心療内科医長の伊藤克人氏に、ストレスと腸の関係や、対処の仕方を具体的に聞いた。

■検査で異常がないのに下痢や便秘を繰り返す

――過敏性腸症候群とは、どのような症状が出る病気なのでしょうか。

過敏性腸症候群は、下痢、便秘、腹痛など、おなかのさまざまな症状によって、日常生活に支障をきたす病気です(図1)。X線検査や内視鏡検査を行っても、消化管に明らかな異常(器質的異常)が見つからないにもかかわらず、働きの異常(機能的異常)が生じているのが特徴で、全体の8~9割を占める下痢型のほか、便秘型や、両方を繰り返す混合型もあります。

よくあるのは、通勤中の電車内で腹痛が生じ、トイレを求めて何度も途中下車せざるを得なくなるケース。通勤経路の各駅のどこにトイレがあるかを熟知する人もいるほどです。女性ホルモンが腸管の知覚や運動に影響するため、全体的に女性に多い傾向があります。年齢はさまざまで、若い人にも見られます。

[注1]日本消化器病学会「機能性消化管疾患診療ガイドライン2014―過敏性腸症候群(IBS)」Rome III診断基準より

――こうした症状は、何が原因で起こるのですか。

主な原因はストレスで、緊張や不安の強い人、神経質、完璧主義、過剰適応[注2]などの性格の人に多い傾向があります。職業で言えば、一定時間、行動を制限されやすい職種の人に起きやすく、例えば電車の運転士にも過敏性腸症候群の人がいます。私の経験上、重症の人は2~3割と少なく、全体の約7割は軽症です。

[注2]過剰適応:いわゆる頑張り屋のこと。頼まれた仕事を一生懸命こなすうち、知らず知らずにストレスがたまり、おなかの症状が表れて初めて頑張り過ぎていると気づくことが多い。

――なぜストレスがおなかに影響を及ぼすのでしょうか。

ストレスは脳で感知されます(図2)。例えば、会議で急に発言を促された時に、「どうしよう、何を話そうか」と考えるのが脳の表面にある大脳皮質で、大変だと思う信号が大脳辺縁系に伝わり、不安・緊張という感情が起こります。さらに神経の中枢である視床下部に伝わって交感神経と副交感神経が働き、ドキドキしたり汗が出たりします。

緊張が終わればいったんストレスが薄れますが、大変な状況が続くと、緊張信号が出しっぱなしになります。そうすると視床下部がオーバーワークになってバランスが崩れ、本来は交感神経が働く時に副交感神経が働いたりします。交感神経が緊張すると腸はあまり動かないので症状は出ませんが、副交感神経が働くと腹痛や下痢を起こします。

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