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「青空は年に数回しか…」 中国・大気汚染と闘う街

日経ナショナル ジオグラフィック社

2017/5/20

上からの評価が政治キャリアに影響するトップダウンの支配体制の中で働く官僚たちも、この変化に注目している。大気の質を改善できなかった市長は、環境保護部に呼び出され、さらなる努力をせよと警告を受けることもある。

一方で、まともな対策を取らず、表面を取り繕ってすまそうとするケースもある。たとえば、国際会議などの注目度の高いイベントの前にだけ、一時的に工場を閉鎖するよう命じるわけだ。11月と12月の数週間だけ工場を閉めて、市が年間の排出基準を超過しないようにすることもある。

唐山の市場で売るタマネギを袋詰めする商人。重工業は多くの雇用を提供するが、ほかの産業が経済基盤になることを望む人は少なくない。(PHOTOGRAPH BY NICOLAS ASFOURI, AFP, GETTY IMAGES)

■自然を夢見る唐山

1976年の地震から40年の節目を迎えた昨年、唐山市では世界園芸博覧会が開かれた。この大規模イベントの会場として使用されたのは、かつての炭鉱だ。

街の中心部付近で、おしゃれなメガネをかけ、ツンツンと尖った髪型をした製鉄所の工員に話を聞いた。雇用主の怒りを買いたくないので匿名にしてほしいという彼は、5年間で賃金が20%下がったと嘆く。彼によると、その原因は減少する鉄鋼需要と、環境規制による影響の両方だ。それでも、唐山は住むのには悪くない場所だと彼は言う。楽園とまではいかなくとも、生活のペースは穏やかで、海も近い。

「ただし環境汚染だけは勘弁してほしいですね。ここでは青い空は年にほんの数回しか見られません」。園芸博の期間中、市内の製鉄所は排気を減らすために生産量を控えていた。

ワン・ジン・ボー氏の妻が経営する店の中、石炭ストーブから上がる煙が部屋を満たしていく。ワン氏はこれから、息子の学校で開かれる会合に出かけるところだ。すすまみれのトラックが1日中、轟音(ごうおん)を立てて走り回り、すぐそばには製鉄所があり、通りの先には石炭が山と積まれているが、唐山で育ったワン氏の妻は、環境汚染はほとんど気にならないと語る。

それでも彼女は、自分の息子には今とは違う生活を送らせたいと夢見ている。父親のような重労働ではなく、もっと楽な事務仕事をさせてやりたい。ただし悩みは、息子の成績が芳しくないことだ。南部に行くのもいいかもしれないと、彼女は言う。あっちなら冬は暖かいし、「木々や花も多くて、丘や、川もありますから」

(文 Beth Gardiner、訳 北村京子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2017年5月10日付記事を再構成]

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