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立川談笑、らくご「虎の穴」

犬が怖い私 猛犬にらみ、体を張って得た『ケツ論』 立川談笑

2017/5/14

PIXTA

 今回のお題は、ペット。

 いきなりですが、私は犬が怖いのです。大型犬が怖い。小型犬も怖い。中型犬も当然怖い。とはいえ、心を許せるワンちゃんたちとも数多く出合ってます。だから正確にいうならば、「私にとって犬は基本的に怖い。ただし、例外もある」と、こうなります。あくまでも嫌いではないのです。ただ怖い。こんなの世間ではどれほど少数派なのか分かりませんが、そんな話を今回はしてみます。

 こう見えて犬が怖いんですよぉ、なんて話をするといつも言われるのが、「ああ。談笑さん、幼いころ怖い思いをしたんでしょう」というやつ。しましたよ。しましたとも。強い思い出はふたつ。あれはどちらも、小学校に上がってすぐくらいのこと。

 ひとつめ。通学路に運送会社があって、広い駐車場の奥に柴犬っぽいのが1匹いつも鎖でつながれていました。こいつが最悪に狂暴でして。子どもの姿を見るや、一心不乱に吠えていました。チェーンも切れよとばかりに身をよじり歯をむき出して、視界から子どもが消えるまで攻撃的に吠え続けます。ギャンギャン、ギャン!!!

立川談笑一門会で高座に上がる落語家の立川談笑さん

 で、これからはお約束の展開です。この犬がいつも通り激しく騒ぎたてるだろうと、ふといたずら心を起こした私がアッカンベーをしたのです。そしたら猛然と、一直線にこちらに走ってきました。鎖が外れてる。

 「わあ、たすけてー!」

 とっさに横合いからお兄さんが飛び出して、犬を押さえつけてくれました。あの時のランニング姿の職工さん、ありがとう!

 もうひとつ。いつもダックスフントを散歩させてたおばちゃん。って、もはや怖いのは犬よりおばちゃんだ。リードにつながれた小型犬が、10匹も。ちょっと目には犬ぞりのようですが、こちらも全員狂暴です。狭い路地をギャギャン、ギャンギャン! と左右前後に犬たちがおばちゃんを中心にした直径3メートルの面でこちらに迫ってくる。逃げ場、なし。まさに悪夢のようでした。

 ここからは、そんなトラウマを抱えた私の犬ばなしです。

 テレビ番組のロケ取材のために訪れたのは大阪。その一般家庭は、たまたまブリーダーさんのお家でした。「ボルゾイ」というとてつもない大型犬が、居間といわず廊下といわず室内に7~8頭もたむろしていました。大人しく、白い毛が長くて優雅なのだけれども、なにしろ体高が1メートルもあろうかという巨大なサイズで、ゆっさゆっさと動き回るさまはゆうに中学生くらいの存在感はあります。犬が怖い身としては、とても取材になんてなりません。お願いをして、中学生8人分に相当するボルゾイの皆さんには別室に移動してもらいました。はいはい、皆さんはそこでおとなしく自習してなさい。

 ふう。やっとインタビュー開始です。さっきまでボルゾイくんが悠々と身を横たえていたソファーをお借りしてお話をうかがっていると、なんだか腰のあたりがモゾモゾする。カメラを気にしつつ、ちらりと目をやるとそこにボルゾイくん! 匂いを嗅いでんの。うわあ、あんたたちは自習時間でしょうがあ! ああ。いや、たかだか犬です。犬ですよ。それでも想像してみてください。何の気なしに振り返ったら、通常の人の顔の2倍もある長さの、やけに細長い頭があるんです。あれには驚いたなあ。

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