「労働時間が短く高給与」の会社が増える、そのワケはリクルートワークス研究所副所長 中尾隆一郎

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就職先、転職先を探す際の重要な項目のひとつに「労働時間の長い・短い」があります。今回は労働時間の長短のメリット、デメリットを、企業の立場、個人の立場、それぞれの視点で考えてみました。

Q.あなたならどちらを選ぶ?
(1) 労働時間が長く、給与が高い会社
(2) 労働時間が短く、給与が低い会社

長時間労働、実態は30年変わらず?

日本企業では、いまだに長時間労働が当たり前です。昨今は、働き方改革により労働時間減少への期待が高まっていますが、改善は道半ばです。「労働時間の経済分析 超高齢社会の働き方を展望する」(日本経済新聞出版社)に長期間の調査データが載っています。

1990年まで日本人の週労働時間の平均はおおよそ48時間でした。2010年には43時間と週当たり5時間減少しています。ただし、これは短時間労働者の増加が理由です。フルタイム雇用者の労働時間は、週50時間で変化がありません。

また、週60時間以上働いている人の割合は、1980年代半ばからずっと20%前後で変化していません。また、企業規模別に労働時間を比較すると、90年代は「大企業<中小企業」だったものが、2000年代以降、大企業の労働時間が増加し「大企業=中小企業」となっています。

一方、この期間に週休が1日から2日に増加しましたが、1日の労働時間は7時間台から8時間台に1時間延びています。その結果、平日の睡眠時間は7.8時間から7.2時間と減少しています。つまり、フルタイム雇用者に限っていえば長時間のままなのです。どうして日本企業の労働時間は、長いままなのでしょうか? その原因について考えてみます。

原因(1) ジョブ型VS.メンバーシップ型

働き方は、「ジョブ型」と「メンバーシップ型」の2種類に大別できます。「ジョブ型」は欧米企業に多く、仕事内容、責任、権限などが明確な働き方です。誰かが忙しそうに残業をしていても、その責任が明確なので、自分の仕事が終わっていれば帰宅できます。

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