「人事で愛情は邪魔、判断はスパッと」森川亮氏
C Channel代表取締役の森川亮氏(下)

C Channel代表取締役の森川亮氏
「女子の知りたい」を解決する動画メディアとして急成長し、現在はアジア各国にも進出するC CHANNEL。2015年にLINE社長を退任後、ゼロからこの事業を立ち上げ成長させてきた森川亮C Channel代表取締役に、社員の人事評価やリーダーシップについて聞いた。
現場で各自が判断 「管理」はしたくない
――インターネットの世界はスピードが命。変化に対応するためには、打順が決まっている「野球型」ではなく、攻守入り乱れながら各自の判断でシュートを打つ「サッカー型」の組織でなければならないと、よく話していますが。
「基本的に管理するというスタイルが好きじゃないんです。雇う側と雇われる側、管理する側とされる側という方向に行ってしまうと、何事も会社対労働組合みたいな構図になってしまいますから。理想としては、各個人が経営目線で、今どうしたいか、どうすべきかを議論して、そこで最適解を選べるような組織文化にしたい。ビジネスはタイミングが勝負なので、全部、私が判断するとスピードが遅くなる。なるべく現場で判断してほしいと思っています」
――ただ、現実には思い通りにいかないこともあるのでは
「もちろん放っておいてみんなが結果を出せるのが理想ですが、それだと結果が出ない人もいるので、場合によって指導が必要になりますし、厳しくすることもあります。ただ、社員も今100人近くなって、全員に厳しくするほど私にも体力はない。パワハラではなく、本当に相手のことを思って厳しくしたり叱ったりするのには結構パワーがいります。ですから、ある程度厳しくする人とそうでない人に分けていますね」
変な優しさはいらない。評価システムに逃げるな
――人事評価はどのようにしているのですか。
「明確な評価システムというのはないです。私の過去の経験でいうと、評価システムというのは必ずしも有効ではないからです。よくあるのは、評価項目をいくつも設けて、数字で客観的に評価するという手法ですが、その数字も本人の努力より運の要素もありますし、サッカーでいうとシュートはせずにアシストに回ることもあるわけで、それをどう評価するのかとか厳密にやっていくと非常に難しくなってしまう。結局のところ最後はリーダーが、『チームにとってその人が必要かどうか』の一点で評価するしかないと思います。そしてその判断をする過程こそが、リーダーを育てる教育にもなるんです」