「働き方改革」の一環で、政府は正社員の副業、兼業を後押しする姿勢だ。女性にとっては結婚、出産などで中断しやすい仕事生活。複数の名刺を持ち、パラレルワーカーとして働くことは、やりがいを持って働き続ける支えになる。
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他社にライター登録、自社に還元 ウィルゲートの児玉茜さん
「私がライターをやれば、文章の書き方を紹介する我が社の仕事に役立つはず」。ウェブマーケティング支援のウィルゲート(東京・渋谷)が社員に副業を認めると決めた2016年4月、児玉茜さん(34)はすぐに申請書を提出した。
同社はインターネット経由で記事を執筆する在宅ライターを支援するサイトを運営している。読みやすい文章の書き方や、取材・執筆の時間管理術を紹介している。他社にライター登録し仕事を受けてみると、自社にない使い勝手のいいサービスが見えた。
例えば、記事の納品翌日に報酬が払い込まれたこと。すごくうれしい。申請から1週間かかったのを短縮した。また、自分で記事を書いてみると収入は1回で1000円くらい。「仕事量が膨大にならずに稼ぐなら月5万円ほどが目安だ」と実感し、現実味のある目標設定と仕事の進め方を紹介できるようになった。
見直し案を一通り提案した今は、ウェブデザイナーの仕事を副業にしている。地下商店街の地図や、店舗紹介サイトなどを作る。主に土日に作業をし、多いときは月8万円ほどを稼ぐ。将来の結婚などを考え、20代のときに在宅職の技術を身につけたいと専門学校に通った。「ウェブデザインは本業とはあまり関係ないけど、いろんなことに役立つ技術なので続けたい」
同社の社員118人中20人が副業を持つ。年俸制で半年に1回、目標や成果を確認するが、「トラブルはなく、成果が下がった人もいない」と山中諭執行役員は話す。