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17年春の格安SIM実測 平均1位はLINEモバイル

日経トレンディネット

2017/4/11

都内では新宿と秋葉原の駅前で計測した
日経トレンディネット

 豊富な料金プランに加えて、SNSアプリなどのデータ通信が使い放題になる「カウントフリー」サービスなど、格安SIMは、通信料金の安さだけではない魅力を備えてきた。大手携帯電話会社から乗り換えを希望するユーザーも確実に増えており、普及期を迎えている。

 だが気になるのが、格安SIMの通信速度だ。格安SIMでは、ユーザーの利用状況が通信速度に影響を与えやすい。会社や学校の休憩時間が重なる平日の12時台や、退社・下校後の夕方から夜にかけてといった時間帯では、データ通信を利用するユーザーが増えて通信速度が遅くなりがちだ。

 そこで、日経トレンディネットでは、格安SIMの通信速度の実態を探るべく、実際に格安SIMを契約して通信速度のテストを実施した。

 格安SIMのなかでもシェアや注目度が高い「IIJmioモバイルサービス(タイプD)」「楽天モバイル」「イオンモバイル」「OCN モバイル ONE」「LINEモバイル」「BIGLOBE SIM」「mineo(Dプラン)」「FREETEL SIM」の8つの格安SIMについて、実際に通信速度を測定した。

計測した格安SIM

 測定を実施した場所は、東京・新宿駅周辺と秋葉原駅周辺(いずれも都内)の人口密集地と、地方都市の長野県佐久平駅周辺の3カ所。通信速度が比較的良好な9時台と、通信速度が遅くなる12時台および18時台に測定を行った。測定日は平日で統一し、都内の2カ所は2017年3月14日(火)、佐久平駅周辺は3月10日(金)に実施した。

 測定に用いた端末はASUS(エイスーステック・コンピューター)の「ZenFone 2 Laser(ZE601KL)」。通信速度の計測には、イードの速度測定アプリ「RBB TODAY SPEED TEST」を用いた。各地点で5回ずつ速度を測って平均値を算出し、最大値と最小値も併記している。

 ただ、速度測定アプリで測れるのは設備が発揮できる最大の速度だ。格安SIMではアプリに応じて通信帯域を調整することもあり、体感速度と測定結果が一致しない場合もある。

 そこで、実際の使用環境の指標として、YouTubeの動画再生時における通信速度も記録している。

 計測方法は以下の通り。AndCreateの「通信速度モニター」を用いて1秒ごとの最大通信速度を画面上に表示した状態で動画を再生し、その様子をHecoratの動画キャプチャー「AZスクリーンレコーダー」で記録。AZスクリーンレコーダーで録画された動画を再生して1秒ごとの通信速度を目視で集計し、動画の読み込みが終了するまでの平均速度を算出した。アナログな方法ではあるが、こちらの数値も参考にしてほしい。

■朝9時台の速度、下り平均はmineoが最速

 まずは通信速度が得られやすい9時台における各地点の結果を見てみよう。下の表は、東京・新宿駅周辺、東京・秋葉原駅周辺、長野・佐久平駅周辺で測定した通信速度をまとめたものとなる。

 平均速度の項目は水色で強調し、最も速い数値は赤、最も遅い数値は青で色分けしている(以降の表も同様)。

朝9時台の東京・新宿駅周辺(3月14日)における測定結果
朝9時台の東京・秋葉原駅周辺(3月14日)における測定結果
朝9時台の長野・佐久平駅周辺(3月10日)における測定結果
朝9時台の下り・YouTube平均速度(単位:Mbps)

 3地点全体の下り平均速度は13.62Mbps、YouTube再生時の下り平均速度は7.91Mbpsだった。前回に対してYouTube再生時の速度はほぼ変わらないが、下りは半分以下になってしまった。

 全体で下り平均速度が最も速かったのは、mineoの17.14Mbps。YouTube再生時の下り平均速度が最速だったのは、BIGLOBE SIMの9.78Mbpsだった。

 一方、下り平均速度が最も遅かったのはOCN モバイル ONEの10.46Mbps。ただ、YouTube再生時は平均で7.70Mbpsとなっており、実用面での大きな問題は見られない。

■混雑する昼12時台の速度は?

 続いて、昼12時台の通信速度を見てみよう。下の表は、12時台に東京・新宿駅周辺、東京・秋葉原駅周辺、長野・佐久平駅周辺で測定した通信速度をまとめたものだ。

12時台の東京・新宿駅周辺(3月14日)における測定結果
12時台の東京・秋葉原駅周辺(3月14日)における測定結果
12時台の長野・佐久平駅周辺(3月10日)における測定結果

 秋葉原駅周辺では、IIJmio、イオンモバイル、OCN モバイル ONE、BIGLOBE SIM、mineoの5社において、YouTubeの再生が途切れることがあった。

 佐久平駅周辺では、YouTube再生時の下り平均速度はFREETEL SIMの0.24Mbpsが最も遅い。読み込みも途切れがちで、1分間の動画を再生し終えるまでに1分40秒ほどの時間を要した。FREETEL SIMの他にもIIJmio、イオンモバイル、BIGLOBE SIMにおいて、YouTubeの再生が途切れることがあった。

 下のグラフに、3地点における下り平均速度・YouTube平均速度をまとめた。

昼12時台の下り・YouTube平均速度(単位:Mbps)

 3地点全体の下り平均速度は2.74Mbpsだった。前回1月の下り平均速度は4.00Mbpsだったので、3割ほど遅くなっている。YouTube再生時の平均速度は2.31Mbpsで、こちらも前回の3.20Mbpsより遅くなっており、3地点のすべてで途切れずに再生できたのは楽天モバイルとLINEモバイルだけだった。

 下りが最も速かったのはLINEモバイルで、平均速度は10.56Mbps。前々回9月の43.29Mbpsに対して4分の1となったが、前回1月の13.64Mbpsからは若干の落ち込みにとどまる。YouTubeの下り平均速度も9.20Mbpsで、前回に続き実用的な速度を維持している。

 気になったのは、YouTube再生時の下り平均速度が最も遅い0.53MbpsだったBIGLOBE SIMだ。BIGLOBE SIMでは一定額を支払えばYouTubeなどのデータ通信が使い放題になるカウントフリーオプションを提供しているが、休憩時間のYouTube再生が途切れがちな現状は、少々残念だ。

■夜18時台の速度は?

 最後に、18時台の通信速度を見てみよう。下の表は、18時台に東京・新宿駅周辺、東京・秋葉原駅周辺、長野・佐久平駅周辺で測定した通信速度をまとめたものだ。

18時台の東京・新宿駅周辺(3月14日)における測定結果
18時台の東京・秋葉原駅周辺(3月14日)における測定結果
18時台の長野・佐久平駅周辺(3月10日)における測定結果

 下のグラフに、3地点における下り平均速度・YouTube平均速度をまとめた。

夜18時台の下り・YouTube平均速度(単位:Mbps)

 3地点全体の下り平均速度は4.28Mbpsだった。前回1月は7.45Mbpsだったので、4割ほど低下している。YouTube再生時の下り平均速度は2.47Mbpsで、前回の4.52Mbpsから大幅に遅くなってしまった。

 下りが最も速かったのはLINEモバイルで、9時台と12時台に続きトップとなった。平均速度は10.46Mbpsで、YouTube再生時の下り平均速度も6.62Mbpsと最速だった。

 最も遅かったのはOCN モバイル ONEで、下り平均速度は0.75Mbpsだった。前回1月の1.53Mbpsから半減してしまい、前々回9月の0.74Mbpsと同程度になっている。

 ただ、18時台のOCN モバイル ONEではYouTubeの再生が途切れる場面は見られなかった。都内2カ所では楽天モバイル、BIGLOBE SIM、FREETEL SIMの3社、長野・佐久平駅周辺ではここにIIJmioとイオンモバイルを加えた5社において、YouTubeの再生が途切れることがあった。

どの格安SIMが速かった?

 では、一番速かったのはどの格安SIMなのだろう。速度測定アプリで計測した9時台、12時台、18時台の下り通信速度の平均値を算出し、上位3つの格安SIMをピックアップしてみた。

総合順位ランキング・ベスト3
8社の下り・YouTube平均速度(単位:Mbps)

 速度測定アプリの結果をもとにした8社全体の下り平均速度は6.88Mbpsで、前回1月の13.84Mbpsに対して半分以下にまで遅くなっており、格安SIM全体が苦戦している様子が垣間見える。

 そのなかで、LINEモバイルは今回も1位をキープ。2016年9月のサービス開始から半年がたった今回も、下り平均速度は12.29Mbpsを記録しており、YouTube再生時の下り平均速度も12.51Mbpsと快適だった。

 2位はFREETEL SIMだ。下り平均速度は9.76Mbpsで、前回から唯一改善している。一方、YouTube再生時の下り平均速度に注目すると、FREETEL SIMは最も遅い3.88Mbpsにとどまっている。

 3位は楽天モバイルで、下り平均速度は7.36Mbpsだった。ただ、前回の15.62Mbpsから半分以下にまで遅くなっており、YouTubeの再生でも途切れることがあるなど、やや苦しい状況だ。

 一方、前回1月に下り平均速度が16.23Mbpsで2位だったIIJmioは、今回は4.96Mbpsまで落ち込んで6位に後退してしまった。

 今回、通信速度が落ち込んだ理由についてIIJの担当者に尋ねたところ、「通信品質が特別に低下しているという認識はない」との回答を得た。「かねてから需要を予測した上で継続的に設備増強を行っているが、予測のブレや測定のタイミングなど、その時々の状況で速度も上下してしまう」(同)という。

 IIJに限らず、格安SIMの設備増強ではしばらく先の需要を見越して計画を立てているが、需要が予測を上回れば通信品質に影響が及ぶ。2017年1月に実施した前回テストに対する低下率はIIJmioが最も大きかったものの、前々回の2016年9月と比べた低下率は平均的な数値。長期的に見れば通信の需要に対応した増強が実施されているのではないか、と筆者は見ている。

(ライター 松村武宏)

[日経トレンディネット 2017年3月29日付の記事を再構成]

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