スマホで照明操作、色も切り替え 増えるスマートLED
さまざまな機能をスマートフォン(スマホ)でコントロールする照明「スマートLED」が増え始めている。今回は色を自由に変え、部屋の雰囲気を変えることができるLED3機種を紹介しよう。
生活リズムを整えるスマートLEDとは
ここ数年、光の色や色温度が変えられるLED照明のラインナップが増えている。1台で、青白い昼白色から夕陽のような電球色まで表現したり、青や赤、黄色などカラフルな光を放つことができ、シーンや気分に合わせて使い分けられるのが特徴だ。LED照明の操作は、従来はリモコンで行われることが多いが、最近は専用アプリをインストールしたスマートフォンで操作できるLED照明も増え、「スマートLED」と呼ばれている。
フィリップスが2016年12月に発売したスマートLEDが「Philips Hue ホワイトグラデーション」。Philips Hueは2013年9日に日本で発売したIoT照明シリーズで、スマホなどから照明が操作でき、明かりの色をさまざまな色に切り替えたり、タイマー、アラームなどの機能を使うことができる。このHueシリーズの販売数が、ホワイトグラデーションを発売した昨年12月、前年同月比2倍を記録。「一時は品薄になり、アマゾンでもHueとして初めてベストセラーになった」(フィリップス)という
「家中の照明をPhilips Hueに取り換えて、非常に快適になった」と話すのは、リノベーション会社に勤める木村大介さん。すべてのHueを別売りのワイヤレススマートスイッチ「Hue Tap」で一括コントロールすることで、「朝や仕事をしているときは明るい昼白色、くつろぎたいときは温かみのある光など、家中のあかりをボタン1つで変えている」という。自身が勤める会社が受注したリノベーション物件でも、すでに10件近くが家中のあかりをHueにした。「スマートLEDの快適さが広まりつつあると実感している」
パナソニックも2017年2月に、Bluetoothを搭載し複数の照明器具をコントロールできるスマートLED「LINK STYLE LED」を発売した。販売してからまだ日は浅いものの、ビックカメラ新宿西口店の照明担当、近藤貴義さんによると「問い合わせも徐々に増えて、注目度の高さを実感している」という。特に20代~30代の購入や問い合わせが多いそうで、「色温度が変えられると同時に、間接照明をつかって部屋全体を演出できるため、インテリアにこだわる方の関心が高い印象」だという。「こうしたスマートLEDは今後さらに増えていくのではないか」と話す。
明かりの色を変えられるLED照明は、ファミリー世帯はもちろんのこと、実はワンルームや1LDKなど、単身者向けの住宅でこそ重宝する。というのもワンルームの場合、食事をしたり、くつろいだり、眠ったり……とあらゆる営みが同じ空間で行われることになる。光の色や色温度を変えることで、空間の雰囲気が変えられ、シーンに合わせた空間演出が可能になるからだ。
そこで今回は、空間演出に役立つ3種類のスマートLEDを紹介する。
3種の照明を同時に切り替える パナソニック「LINK STYLE LED」
パナソニックが2017年2月に発売した「LINK STYLE LED」は、シーリングライト、フロアライト、ラインライトの3種類のLED照明が、スマートフォンや専用リモコンで一括コントロールでき、ワンタッチで生活シーンや気分に合わせたあかりに切り替えることができる。
例えば天井にシーリングライト、部屋の隅にフロアライト、ソファの後ろやテレビの背面にラインライトを設置した場合、従来は明るさを変えるには1台1台スイッチ操作する必要があった。しかし本シリーズはその煩わしさを払しょくし、手元のスマートフォンまたはリモコン操作で簡単に変えられるようになった。
事前準備は、スマートフォンにダウンロードした専用アプリ「あかリモ」とLED照明をBluetooth接続するだけ。よく使うシーンとして、「勉強」「くつろぎ」「シアター」「だんらん」と4つのあかりがあらかじめ設定されており、スマートフォン画面で選ぶだけで、あかりのシーンが一斉に切り替わる。
同じリビングでも、仕事や勉強をするときは「勉強」のあかり、食事をとるなら「だんらん」のあかりに変えるだけで、違った雰囲気が楽しめる。
1日の自然の光を色温度で再現する フィリップス「Philips Hue」
フィリップスライティングが提案するのは、様々な色温度の白色光が表現できるLEDランプ「Philips Hueホワイトグラデーション」だ。もともと「Philips Hue」は、約1600万色が再現できるカラー照明として話題になったが、このホワイトグラデーションはより暮らしになじみやすく、価格も抑えられていることから、カラーモデルを超える人気となっているという。
操作は基本的に、Wi-Fiに接続したブリッジを介し、専用アプリをダウンロードしたスマートフォンで行う。1個のブリッジに最大50個のランプが登録でき、パナソニックの「LINK STYLE LED」同様、あらかじめ設定された「ライトレシピ」と呼ばれる4つのシーン(「くつろぐ」「読書をする」「集中する」「やる気を出す」)を簡単に演出できる。
またWi-Fi環境がない場合でも手軽に使えるよう、Dimmerスイッチと呼ばれるリモコンも付属している。これは最初からランプと同期しているため、簡単な設定ですぐに使い始められ、Wi-Fi設定が苦手という世代に受け入れられたという。同スイッチにも、上記の4つのライトレシピは登録されている。
そのほか「起床」や「就寝」のタイマー設定も便利。スマートフォンで起床・就寝時間とフェードアウト時間を設定すれば、ゆっくり時間をかけて点灯・消灯するため、自然な目覚めや眠りを促すなど、眠りをコントロールするアイテムとしても活躍してくれそうだ。
192色の光と音楽で空間を演出する ソニー「LSPX-103E26」
ソニーが提案するのは、ソケットに差し込むだけで光と音楽が楽しめるスマート電球。スピーカー機能搭載のLED電球スピーカー「LSPX-103E26」は、配線の必要がないためインテリアにもなじみやすく、従来スピーカーが設置しにくかった場所でも、音楽が楽しめるのが特徴だ。
音楽の再生・停止や音量調節、調光・調色などの基本操作は付属のリモコンで行えるほか、専用アプリケーションをインストールすることで、スマートフォンなどからも操作が可能に。さらに「スリープタイマー機能」や「ウェイクアップタイマー機能」、スマートフォンに電話着信があった場合、指定した色で点滅する「着信お知らせ機能」などの機能が使えるのもスマートフォン操作ならではの利便性だ(一部、Android機器のみ対応)。
点灯できるカラーバリエーションは、192色。まぶしさを抑え、カラーも美しく光らせるという乳白色拡散素材を採用した光学レンズグローブで、優しい明るさを実現した。全光束500lmと、一般電球の40形ほどの明るさを放つ。スピーカー機能については、本製品2台をワイヤレス接続し、音楽を再生するSpeaker Add機能を搭載。左右それぞれの音を流すステレオ再生と、同じ音を2台で再生するダブル再生に対応しており、臨場感ある音楽が味わえる。光と音を利用して、より心地よい空間づくりが実現できるだろう。
(家電ライター 田中真紀子)
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