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プロが教える 本当においしい東京のホテルランチ5選 フードジャーナリスト 北村美香

2017/3/28

アマン東京「ザ・レストラン by アマン」(アマン東京提供)

 そろそろ春爛漫(らんまん)。ホテルランチがさらに楽しくなる時期だ。近くに桜のスポットがあるところも多く、咲き乱れるさまを窓から眺めたり、暖かい日はテラスで楽しんだり。味に定評があり、ランチならではの楽しみがある、おすすめホテルを5つご紹介しよう。

■「ザ・レストラン by アマン」 アマン東京

レストラン内観。東京の西側の絶景が眺められる。奥には壁一面にワインセラーを設置(アマン東京提供)

 最高級リゾートホテルとして有名なアマンが2014年、東京・大手町に初めてオープンした都市型ホテルが「アマン東京」。地上38階の高層複合ビルの最上層6フロアを占める、まさに空中のサンクチュアリだ。

 33階の「ザ・レストラン by アマン」は、平木正和料理長を迎え、ヴェネト料理に特化したイタリアンレストランとして、16年に再出発した。平木料理長はイタリアに計17年間滞在し、北から南までさまざまな地方を巡って修業を重ねた。ヴェネト州の州都ヴェネチアの高級ホテルでは、最後の3年間は総料理長まで務めたキャリアの持ち主だ。ホテルのメインダイニングがイタリア料理、しかもヴェネト料理を前面に押し出すのは珍しい。料理長へのアマンの期待がいかに大きいか、わかる。

ロビーエリア「ガーデンラウンジ」。中央には池をしつらえ、季節の花々の生け込みがゲストの目を楽しませている。今の時期なら見事な桜も(同)

 レストランへは1階エントランスからエレベーターでロビー階へ。天井を見上げれば、障子が張り巡らされ、目の前には、日本庭園をイメージさせる空間。満開の桜が迎えてくれる。左へ進めばレストランだ。約8メートルもの高さの窓から、東京のウエストサイドが見渡せ、晴れた日には富士山も望める。

 5月14日までの限定コース「春のクラシック・ヴェネトコース」は、ヴェネト地方らしい春ならではの食材をふんだんに使っている。最初のひと皿は「蝦夷鹿のカルパッチョ ラディキオトレヴィーゾ ビーツのアグロドルチェ」。イタリアで最も高級な野菜といわれるトレヴィーゾを添えた鹿肉のカルパッチョだ。甘酸っぱい(アグロドルチェ)ビーツのソースに、やわらかな鹿肉、苦みのあるトレヴィーゾ。メリハリの効いたソースの味に、期待感が高まる。最初のひと皿はその日の料理の印象を決めるといわれる。これは、食べ手の心を確実につかむだろう。

 次はパスタ。「ビーゴリ イン サルサ 玉葱(たまねぎ)とアンチョビのソース」。ヴェネトの代表的なパスタで、手打ちの生地を押し出して(ところてんのように)成形したもの。タマネギの甘みとイワシの香ばしさが、もちっとしたパスタによくからんで至福の味わい。

「リジ・エ・ビジ」(アラカルトのみ。メイン2600円/スモール1800円、税込み・サービス料別)。ベニスの守護聖人、聖マルコの日(4月25日)を祝って食べられた(同)
「ティラミス」はヴェネト発祥のデザート。シェフパティシエの手にかかれば、エスプレッソの香り漂う軽い仕上がりに(同)

 もうひと皿、アラカルトで頼んだのが、ヴェネト伝統のリゾット「リジ・エ・ビジ」。ヴェネトの春の食材であるグリーンピースと、小タマネギのほのかな甘みと苦みが、この季節らしい。このあと、主菜として天然マダイのソテー、赤城牛すね肉のスペッツァティーノ(煮込み)と続き、ヴェネトに発祥した有名デザート、ティラミスで最高潮に。平木料理長のお皿はどれもイタリアの空気を幾重にもまとい、緩急つけた味付けで存分に楽しめる。

 レストランやカフェ、バーは、もちろん一般客も利用もできる。日本の伝統的な意匠を取り入れた館内は、日本人の目にも新鮮。窓から眺められる絶景パノラマのおかげなのか、東京に住んでいる人でも、東京を旅している感覚に。そこでイタリアの空気を感じるランチをいただく。そんなプチリゾート気分をぜひとも味わってほしい。

アマン東京
東京都千代田区大手町1―5―6 大手町タワー
「ザ・レストラン by アマン」
電話03-5224-3339(直通午前9時~午後9時)
午前11時30分~午後2時30分(ラストオーダー) 午後5時30分~午後10時(ラストオーダー)
「春のクラシック・ヴェネトコース」ランチコース7200円、ディナーコース1万6000円(税込み・サービス料別)

■「和田倉」「グランド キッチン」 パレスホテル東京

レセプションには栃の巨木の無垢材があしらわれ、雰囲気を盛り上げる(パレスホテル東京提供)

 春になると訪れたくなるホテルのランチがある。丸の内「パレスホテル東京」の日本料理「和田倉」だ。店内は、そこここに無垢(むく)材が使われ、端正な日本の美が感じられる。例えばエントランスは、120センチもの幅の栃(とち)の無垢材。ここから続く通路は、左官の名人が土間や土壁を手掛け、夏はひんやり、冬は暖かみを感じられる空間に仕上げた。ここを通り抜けることで、忙しい日常から、楽しみをゆったり待ち受けるひとときへ気分がシフトする。

 ダイニングには自然光が入り、店名の由来となった和田倉壕(ぼり)や和田倉噴水公園の緑が楽しめる。今の季節は皇居外苑沿いの桜が遠くに眺められる。筆者は仕事が多忙になると、ランチにここへ。ひとりでもゆったり落ち着けて、心の疲れがほどけていくよう。多忙な方にぜひおすすめしたい。

花見弁当「麗 -HARUKA-」6500円(税込み・サービス料別)。先付、花見弁当、ちらし寿司、水菓子。4月16日まで、ランチタイム限定(同)
オリジナルの日本酒「壱ノ壱ノ壱」。ホテルの所在地「丸の内1-1-1」から命名。新潟の名蔵「八海山」製(同)

 この時期の楽しみは「花見弁当」。彩り豊かなちらし寿司をメインに、桜を随所にあしらった箱膳スタイルは、おいしいものを少しずつ楽しめて、ボリュームもしっかり。お昼とはいえ、少しお酒でもいただこうかしら、という気分になる。

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