家を片付けると出費減に! 「引きこもり」で家庭円満
家は家族が心と体を休める憩いとだんらんの場所。スッキリと片付いた心地よい空間をキープできるのが理想的だけど、現実には日々の家事や育児に追われて、なかなか片付けまで手が回らない……という人が多いのでは? 料理や洗濯と比べて、片付けは「少しくらいサボってもなんとかなる」と後回しにしがちなのも、片付かない理由かも。「ちょっと待って! 片付けるとお金がたまって家族円満の近道に」と言うのは、美部屋セラピストとして活動する堀江梨江さん。小学生男児の母でもあり、子ども向けの片付けセミナーも開催する一般社団法人日本収納検定協会で「収育士」としても、片付けに悩む家族のお悩みを解決しています。
「片付けが家族にもたらすメリット」について、教えていただきました。
家が片付かない→出かけるで使途不明金が増える?
夫婦共に働いていると、家事のためのまとまった時間をとることがなかなか難しいですよね。
「平日は忙しいから、週末にまとめて家事を!」と計画したとしても、いざ土日を迎えると、「せっかく子どもと過ごせるんだから」と張り切ってお出かけして、帰宅するころにはグッタリ。結局、片付けの時間をとれないまま月曜を迎えるというパターン、思い当たりませんか。
家が散らかったまま、また新たな"散らかり"が上乗せされ、次の週末にはさらに「すぐには手をつけられない状態」に。片付けモチベーションはますますダウンして、逃げるように目的無きお出かけへ……。近場のショッピングセンターなどで1日過ごして、気づけば予定外のお買い物をしてしまいます。外出すると、食事も外食に。想定外の出費が増えていると気づきながらも、「でも子どもも喜んでいるし。いいよね!」と自分の行動を正当化しちゃったり(笑)。
もちろん、家族みんなが心から楽しめていればいいのですが、特に目的もない"なんとなく外出"を繰り返していると、何となくお金もどんどん出てしまうもの。それももとの原因は、片付けから逃げ続けたことで、「自宅=居心地の悪い空間」になってしまっていることなんですよね。家計をチェックしたときに、なぜか使途不明金が多いという人は、もしかしたら家が片付いていないことに原因があるかもしれません。
家族仲良く"明るい引きこもり"
では、家が片付くと、出かけたくなくなるということでしょうか?
ハイ、そうなんです。片付けの習慣が身に付いて「自宅=居心地のいい空間」に変わると、ムダな外出が激減します。
私はこの現象を"明るい引きこもり"と呼んでいるのですが、「家にいるほうが安らぐ、楽しい、リラックスできる」と認識できるようになると、よほどの目的がなければ外出しようという気が起きなくなるんです!
すると、自然と家族全員が家の中で顔を合わせて会話をする時間が増えていきます。外出の場合、家族全員がそろっていたとしても、ゆっくり話をする時間って実はなかなかとれませんよね。家の中で過ごす時間が増えると、保育園や学校での出来事、これからの家族の旅行の計画や子どもの進路の相談など、よりじっくりとリラックスした状態で話せるようになるはずです。
この「リラックスした状態で」というのが、とっても大事。例えば、家族で焼き肉を囲むという場合でも、お店で食べる良さもありますが、自宅で食べれば安く済んで時間もかからず、子どもがはしゃいでも周りを気にする必要はありません。自宅のダイニングテーブルが片付いていると、ちょっといいお肉を奮発して「おうち焼き肉」をしよう!と思い立ったときにすぐに実行できますね。
何より、週末に自宅で長く過ごせると疲れません。出かけるための準備や移動の労力、出先で子どもが粗相をしないか絶えず気を配るストレスなどなどがカットされるので、週末の本来の目的である「平日に働いた分(子どもであれば、保育園や学校でがんばった分)の疲れをとること」にたっぷり時間を割けるからです。
家が片付くと「モノの二重買い」が減る
"明るい引きこもり"といえど、ずっと自宅にこもるということではなく、出かける用事があるときにはもちろん外出を楽しみます。先ほど「家が片付いていると、よほどの目的がなければ外出しなくなる」とお伝えした通り、"なんとなく外出"が減って"目的ありきの外出"が増えていくのです。「駅前のイルミネーションがきれいだから見に行こう」「日帰りキャンプに行こう」など、居心地のいい自宅にいる価値に勝る明確な目的があるお出かけ計画が自然と立つようになっていきます。結果、時間潰しのための出費は激減して、本当に価値のある活動のための出費へとシフトしていくのです。このほうが、ずっと合理的ですよね?
家が片付くとモノの「二重買い」が減るという効果もあります。家が片付いていないと、持ち物の把握・管理がしにくくなります。出先で「トマト缶、あったかなぁ。なかったかもなぁ。いいや、買っておこう!」と買い物をして、自宅に戻ったらすでに十分にストックがあった……なんてこと、繰り返していると、もったいないですよね。消費しきれないまま捨てるなんてことになるとトマト缶にも申し訳ないですし、本来は一度で済むはずの買い物に2倍3倍のお金をかけているということになります。
また、「あったかな? ここかな?」と探し物にかける時間を考えると、お金だけでなく"時間のロス"にもつながります。ほんの数分のことでも積み上がると膨大な時間になります。忙しい読者の皆さんにとっては、片付けによる時短効果の恩恵は大きいはずです。
照明メーカー、建設会社、インテリア専門店勤務を経て、2011年に「美部屋づくり」をテーマに独立。自宅でのサロンレッスンのほかセミナーなどでも活躍中。一般社団法人日本収納検定協会の収育士としても、子どもやママに向けた住空間へのアドバイスを行う。
[日経DUAL 2017年2月15日付記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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