飲酒後の入浴は危険 「ぬるめシャワー」でリスク軽減

日経Gooday

「さっぱりしたいという気持ちはわかりますが、入浴するのはアルコールが代謝され、アルコールの影響がなくなった後にしてください」(梅村さん)

体重60kgの成人男性の場合、1単位(純アルコール20g=ビール中びん1本、日本酒1合、焼酎0.6合)のアルコールが体内から消えるまでに約3~4時間かかるといわれている(詳しくはアルコール健康医学協会のホームページ内「飲酒の基礎知識」を参照)。

「アルコールの代謝能力は人によって差があるのであくまで目安ですが、最低3~4時間はあけるようにしてください。お酒を飲んで顔が赤くなる人はアルコール代謝能力が弱い人なので、もっと時間を空けるようにしてください。もちろん、酒量が増えればそれだけアルコールが体内に残る時間も長くなりますので注意が必要です」(梅村さん)

梅村さんは、入浴まで十分に時間をあけた上に、さらに図3で示した4つの点を注意してほしいと話す。このほか、食後すぐの入浴や、睡眠薬・精神安定剤などを服用した後の入浴も避けるようにする。

できればぬるめのシャワーにする

それでもなお、お風呂に入りたそうな私の顔を見て、梅村さんは別な一手を提案してくれた。それは「シャワー」だ。ヒートショックのリスクを減らすには、「ぬるめのシャワーにするといい」という。

ぬるめのシャワーであれば、湯船に漬かるよりはカラダの負担が少ない(c)Andrey Volokhatiuk-123rf

「ぬるめのシャワーであれば、湯船に漬かるよりカラダの負担が少なくなります。そして万が一、倒れたとしても溺死することはまずありません。気を失って倒れた際に怖いのは溺死です。日本は湯船に漬かる習慣があるため、他国に比べて圧倒的に湯船での溺死者が多いのです」(梅村さん)

そうだった! 海外では一般的なシャワーという選択肢があるのだった。「汗をかいてアルコールを抜く」という間違った考えから、恥ずかしながら、湯船という考えしか頭になかった。確かにシャワーなら、倒れても打撲程度で、死に至る可能性は湯船に漬かるよりずっと低そうだ。今後、飲酒後はシャワーを選択するようにしよう。もちろん、脱衣所や浴室を暖めて温度差をできるだけなくすのはシャワーでも同じ。湯温も“ぬるめ”だ。

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飲酒後の、特に寒い時期の入浴には注意を払わなければならないことはよくわかった。個人的にはちょっと物足りないが、お酒を飲んだ後はシャワーにしよう。しかし、ヒートショックとお酒の関係を聞きに来たら、常飲者が高血圧になる可能性があることがわかるとは何とも驚きの展開である。やっぱりよくないのは飲み過ぎだ。「適量」(純アルコール換算で20g=日本酒なら1合程度)に勝るものはない。50歳を超えたら、普段から自分の血圧を測り、変化がないかを常にチェックすることもまた大事。そして高めとわかったら酒量をセーブしよう。自分のカラダを守れるのは最終的に自分でしかないのだから。

梅村敏(うめむら さとし)さん
横浜労災病院院長、横浜市立大学名誉教授。1975年横浜市立大学医学部卒業後、米国クレイトン大学医学部高血圧研究所・助教授を経て、1998年横浜市立大学内科学第二講座・教授、2008年同大医学部長、2010年病院長、2012年より横浜市立大学学術院・医学群長を歴任。2016年4月より現職。著書に『高血圧にならない、負けない生き方(日本屈指の名医が教える「健康に生きる」シリーズ)』(2015年、サンマーク出版)ほか多数。

(エッセイスト・酒ジャーナリスト 葉石かおり)

[日経Gooday 2017年3月3日付記事を再構成]

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