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約40億年前の生命か 地球最古の化石発見に異論も

日経ナショナル ジオグラフィック社

2017/3/20

ナショナルジオグラフィック日本版

地球最古の化石と考えられる、鉄分を豊富に含む管状構造物の顕微鏡写真。(PHOTOGRAPH COURTESY MATTHEW DODD)

 カナダのケベック州北部で採集された結晶の中から見つかった管状の微小な構造物が、37億7000万~42億8000万年前の生物由来の化石であることが科学誌「ネイチャー」2017年3月2日号に発表された。これまで最古の生命の痕跡とされたのはグリーンランドで発見された37億年前の微生物の塊だが、英ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(UCL)のドミニク・パピノー氏らの推定が正しいなら、今回の化石はさらに古いものになる。

 カナダの微化石は鉄を豊富に含む鉱物からなり、大きさはまつ毛の数分の1ほど。研究チームによると、海底の熱水噴出孔のまわりにいる今の微生物が作る構造物とそっくりだという。

 この発見は、生命誕生の主要な舞台は熱水噴出孔のまわりの温水とする説を裏付けるものだ。こうした場所は地球にかぎらず、ほかの惑星の氷の衛星などにもあると言われている。

 NASAジェット推進研究所の宇宙生物学者ケビン・ハンド氏は、「彼らの分析と解釈が正しければ、地球が安定し始めてすぐ生命が誕生したことになります」と言う。「つまり、地質活動が落ち着いてきた途端に生命活動が始まったと言っているわけです」

 しかし、この構造物は、それほど確かな証拠ではない。科学者の中には、これらが微生物の痕跡であること自体を疑っている人もいれば、微化石を包み込んでいる結晶の推定年代は疑わしく、10億年以上新しい可能性があると指摘する人もいる。

 米コロラド大学のナイジェル・ケリー氏は、「こうした岩石には長く複雑な歴史があるため、構造物の年代と起源を特定するのは非常に難しい」と言う。

■生命現象のさまざまな証拠

 2008年、ドミニク・パピノー氏の研究チームは、カナダのハドソン湾東岸沿いにある「ヌブアギツク帯」で岩石を採集した。太古の昔は海底で、熱水噴出孔があり、熱水とともに噴出した金属や化学物質が堆積した場所だ。ヌブアギツク帯の岩石は、地球上で最も古い時代のものとされ、古代の海洋環境を知る手がかりとなる。

 研究チームは当初、微化石ではなくもっとささいなものを探していた。初期の生物が作り出した「有機物のパターン」程度のものだ。

 UCLの大学院生マシュー・ドッド氏は、「以前から、生命の起源は熱水環境にあるという仮説がありました。ですから、熱水噴出孔のまわりの堆積物は、初期の生命の証拠を探すのにうってつけなのです」と言う。

 研究チームは、岩石を薄く切って顕微鏡で観察し、結晶の中に微化石を発見した。それはとても小さかったが、非常に複雑な構造だったため、有機物のパターンより重要なものかもしれないと考えた。

 けれども、彼らは用心深かった。

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