新発田城(新潟県新発田市)――丁字形の屋根を持つ三階櫓と桜並木の共演

新潟県内でも有数の桜スポットである新発田城。2004年に城のシンボルとして三階櫓が復元されており、この櫓が建つお堀端に植えられた桜とのコントラストが見事だ。水堀をはさんだ新発田城址公園にはお花見期間中はぼんぼりが設置され、出店も出てとてもにぎわう。

復元された三階櫓は、江戸時代には実質的な天守だった建物で、全国でも唯一の丁字形の屋根になっている。通常、最上階に載る鯱(しゃち)は左右一対だが、新発田城の三階櫓には三つの鯱が載るのだ。寒冷による壁の凍結を防ぐため、格子状の海鼠(なまこ)壁が採用されているのも特徴だ。城の東側に残る旧二の丸隅櫓と表門は現存で、辰巳櫓は木造復元された建物になる。やはり、すべての建物に海鼠壁が採り入れられ、美的ポイントになっている。水堀越しに望む桜と建物が織りなす光景は実に絵になる。

3匹の鯱が載る三階櫓。白壁と海鼠壁の組み合わせが美しい(写真=滝沢弘康)
桜に覆われた大手門(写真=滝沢弘康)

桜の見ごろ:4月上旬~4月中旬
イベント:新発田城址公園桜まつり(4月7日~16日予定)
アクセス:JR新発田駅から徒歩約20分

会津若松城(福島県会津若松市)――さくらまつりで会津の食・文化・歴史に触れる

東北を代表する名城である会津若松城。地元ではこの城名よりも、「鶴ヶ城」の名のほうがなじみ深い。幕末期の戊辰戦争ではこの城で籠城戦が行われ、新政府軍に降伏するものの、最後まで落城することはなかった。それは2013年のNHK大河ドラマ「八重の桜」で描かれたとおりで、会津若松城は今も地元の人々の心のよりどころであり誇りになっている。

開花時期から約1カ月にわたって、「鶴ヶ城さくらまつり」が開催。城内全体がライトアップされるほか、茶会や子どもみこしなどさまざまなイベントが催され、花見酒もふるまわれる。会津の食や文化、歴史に触れることができる1カ月間だ。

戊辰戦争を耐え抜いた城だが、天守の損傷は激しく、明治に入り破却された。現在の天守は1965年に再建されたもので、2011年に紫色がまばゆい赤瓦に葺(ふ)き替えられた。この赤瓦こそもともとの天守の姿であり、高温で焼かれた赤瓦は水が染み込みにくいため、寒さでも割れにくいのが特徴だ。寒冷地ならではの工夫なのである。会津若松城では、本丸と二の丸をつなぐ廊下橋と、その周辺の高石垣にも注目したい。東北ではトップクラスの高さを誇る石垣であり、横目地がきれいにそろった積み方は見事としか言いようがない。

桜に彩られた天守。赤瓦の天守は日本唯一(提供:会津若松市観光課)
天守南側に建つ鉄門・南走長屋・干飯櫓。天守と同様、赤瓦が使われている=shutterstock

桜の見ごろ:4月中旬~5月上旬
イベント:鶴ヶ城さくらまつり(4月7日~5月7日予定)
アクセス:JR会津若松駅からバスで「鶴ヶ城北口」下車、徒歩すぐ

船岡城(宮城県柴田町)――1カ所で2度楽しめるぜいたくな花見

今回紹介する10城の中ではもっとも知名度が低い城だろうが、その歴史は波瀾(はらん)万丈で興味深い。城が築かれたのは平安時代末から鎌倉時代初期とたいへん古く、戦国時代には伊達政宗の家臣の居城となった。江戸時代に入ると一国一城令によって本来は廃城されるはずが、政宗はほかの城とともに、「これは城ではなく要害である」と言い訳してそのまま残した。その後、原田氏が城主となったが、家督をめぐる御家騒動(伊達騒動)によって原田氏は断絶、城は1本の樅ノ木だけを残して徹底的に破壊された。この事件をモチーフにしたのが山本周五郎の小説「樅ノ木は残った」で、のちにNHK大河ドラマにもなっている。現在見ることができるのは、その後柴田氏によって再建された城である。

こうした悲惨なドラマを残す城だが、現在では「日本さくら名所100選」に指定され、県内外から約20万人が訪れるほどの「桜の名所」として名高い。山肌に沿うように桜が植えられており、満開時にスロープカーから見る光景は、まるでピンクのトンネルを走っているかのようだ。さらに山頂からは、同じ「日本さくら名所100選」のひとつである白石川堤の桜並木を見下ろすことができる。1回で2度おいしい、ぜいたくな花見を堪能したい。

桜のトンネルを走るスロープカー=shutterstock
船岡城跡から見た白石川堤の桜。「一目千本桜」と呼ばれ、全長8キロメートルも桜並木が続く=shutterstock

桜の見ごろ:4月上旬~4月下旬
イベント:桜まつり(4月上旬~予定)
アクセス:JR船岡駅下車、徒歩約10分

弘前城(青森県弘前市)――天守は移動中でも「さくらまつり」は開催

青森県を代表する名城であり、桜の名所としても全国に知られる弘前城。城内にはソメイヨシノやシダレザクラなど、約2600本が咲き誇る。青森を代表する果物といえばりんごだが、城内の桜はりんごの剪定(せんてい)方法を用いて管理され、それゆえ大きく迫力ある花付きになるという。毎年4月下旬から「弘前さくらまつり」が開催。その期間は城内がライトアップで照らされる。

弘前城というと、東日本で唯一の現存天守を持つ城でもある。その天守は現在、石垣の修復のため、本丸の中央に移動中。普段とは違う姿なわけだが、そこはポジティブに捉えよう。修復工事中の石垣を見学できるのはとても貴重な機会だ。弘前城は天守のみならず、多くの建造物が残り、また城の縄張りも往時の姿をとどめている点がポイント。注目は3棟の三重櫓。三重櫓は全国で13棟しか現存しておらず、3棟も存在するのは日本唯一。よく見ると一つずつ、破風(屋根の飾り)や窓の数、大きさが異なっているのでじっくり鑑賞しよう。

現在、天守はこの位置になく、本丸中央に移動している。奥にそびえるのは岩木山(提供:弘前市)
内堀を覆う桜並木。この石垣にふくらみが見られ、現在修復工事が行われている=shutterstock

桜の見ごろ:4月下旬~5月中旬
イベント:弘前さくらまつり2017(4月22日~5月7日予定)
アクセス:JR弘前駅から弘南バスで「市役所前」下車、徒歩すぐ