細菌の働きによって発酵食品ができる工程は、おおまかにいうと、「菌が徐々に増える段階」「菌数がピークの段階」「菌が減る段階」の3つに分けられるという。「発酵食品には、菌数のピークと出荷時期が一致するものと、菌数のピークが過ぎたあとに熟成期間をおいてから出荷されるものがあります」(小泉さん)

前者の代表的なものがヨーグルトや納豆だ。手作りのぬか漬けや酸っぱくなり過ぎていないキムチもそうだろう。これらからは生きた菌を摂取しやすい。一方、後者の代表的なものには味噌がある(味噌の健康効果については次回解説します)。

死んだ乳酸菌もムダにはならない

ちなみに、前回「ヨーグルトと納豆 微生物が生きてる発酵食品の魅力」に続き、今回も主に生きた乳酸菌の話をしてきたが、「死んだ乳酸菌は役に立たないの?」と思った人もいるだろう。そこで、乳酸菌の整腸作用について説明しよう。

「発酵食品に含まれている乳酸菌を食べると、多くは胃酸や胆汁酸で死滅します。しかし、一部が生きて腸に到達すると腸で乳酸を排出し、腸内を酸性にして悪玉菌がすみにくい環境をつくります。また、乳酸菌は生きた菌も死んだ菌も善玉菌のエサになり、善玉菌を増やします」(小泉さん)

つまり、死んだ乳酸菌も腸内環境をよくするという点ではムダにはならないのだ。それだけではない。「乳酸菌は生きていても死んでいても、小腸の免疫組織を刺激して免疫力を高める働きが期待できます」(小泉さん)

死んだ菌も腸内環境をよくするという意味ではムダにはならない(c)diamant24-123rf

また、ヨーグルトにはビフィズス菌が添加されたものも多いが、これは乳酸菌とは違うのだろうか?

「乳酸菌とビフィズス菌はいずれも乳酸や酢酸をつくるという点では似ています。違いは、ビフィズス菌は乳酸よりも酢酸を多くつくるという点。酢酸は乳酸よりも腸内を酸性にする力が強く、悪玉菌の繁殖を防ぐ力が強いのが特徴です。乳酸菌は主に小腸で働き、ビフィズス菌は主に大腸で働くため、両方とるとより高い整腸作用が期待できます」(小泉さん)

乳酸菌について抱いていた素朴な疑問、解消できただろうか。次回は、「味噌・納豆・酢~伝統発酵食の健康効果と食べ方のコツ」をお届けする。

小泉幸道(こいずみ・ゆきみち)さん
 東京農業大学名誉教授。1951年生まれ。1973年東京農業大学農学部醸造学科卒業。1997年東京農業大学教授に就任。専門は発酵食品学。発酵食品の科学的な成分変化と機能性に関する研究を行ってきた。著書に「NHKあさイチ 驚きの効果 ハチミツ&酢のパワー (生活実用シリーズ)」(NHK出版)、「元気がほしいカラダには酢が効く!―酢の健康パワーと痩身効果」(学習研究社)などがある。

(ライター 村山真由美)

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