オープン授業を導入

教師のレベル向上のため、オープン授業も導入した。古賀氏は「こんなにオープン授業をやっている学校はほかにないでしょうね。自分の授業を見せるのを拒む先生もいるが、他の先生に見てもらうことで、自己研鑽(けんさん)になる。先生たちはよく勉強するようになった」と語る。

学校改革では、東芝で培ったノウハウを活用した

校外も含め先生の研修機会を大幅に増やした。半面、過重労働にならないように「指定休業日」という制度も取り入れた。週6日勤務制のため、月、金など各教師の都合のいい曜日を休日にする一方で、木曜日は全職員の出勤日として情報共有する仕組みだ。

グローバル化に対応するため、先生や生徒も積極的に海外に出す。英国の名門私立、イートン校など海外の名門校に夏休みなどに180人規模で短期研修に送り込む。リベラルアーツ(教養)を磨くため、対話型の授業や「市川アカデミア」と呼ぶ教養講座も開設した。

中期計画、目標は東大現役合格20人以上

市川高校の1学年の定員は430人。16年の合格実績は東大13人、早稲田大学135人、慶応義塾大学110人。一時の低迷期を脱したが、進学実績、偏差値とも上昇している。ただ、14~17年度の中期計画では、東大の現役合格者は20人以上としており、目標はなお高い。

「もともと父はイートン校のような学校を目指していた。教養を高め、国際人の育成をやっていきたい。東大にこだわるわけではないが、やはり進学実績を伸ばしていかないと」と古賀氏は話す。

次々学校改革を推し進める古賀氏。頻繁にオープン授業や講座などに顔を出し、先生や生徒たちと対話しながら、問題解決に当たっている。「例えば、いじめとか、悪い情報がいち早く入るようにしています。とにかく現場が大事ですから、校内を歩き回っています」と話す。

人生は100年 2つのキャリア

古巣の東芝は不正会計処理問題が発端となり、経営危機に直面している。「私の時代は風通しのいい会社だったが、残念。社員が気の毒だ」と言葉少なに語る。企業人から教育者に。2つのキャリア人生を歩む古賀氏。「人生100年といわれる時代。ベストセラーのビジネス書『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』にもそうありますよね。私もまだがんばらないとね」と笑う。古賀氏の挑戦はなお続きそうだ。

(代慶達也)

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