ファッションにもトランプの影 NYコレクション報告宮田理江のおしゃれレッスン

BROOKS BROTHERS(ブルックス ブラザーズ)

BROOKS BROTHERS 2017-18年秋冬NYコレクション

トランプ政権の「米国第一主義」がきっかけになって「メード・イン・アメリカ」があらためて関心を集めています。

ジョン・F・ケネディ米大統領も顧客だった「ブルックス ブラザーズ」は創業200年の節目をひかえた、アメリカン・トラッドの代名詞的なブランド。今回は奇をてらわない端正な装いを打ち出しています。伝統的な優美さを重んじる「タイムレスエレガンス」を柱に、仕立てのよさが分かるキャメルコートやツイード生地のジャケットで品格を漂わせました。

こういったブランドそれぞれの「持ち味」を鮮明に示し、思い思いに「アメリカ」の魅力をうたい上げていたのは、今回のNYコレクションの目立った傾向といえます。プレッピー風味をベースにしながらも、ジャケットの袖を短くしたり、ウエストにリボンベルトを配したりと、現代的なアレンジを加えています。紳士風の靴を履かせていたのも印象的でした。

MICHAEL KORS COLLECTION(マイケル・コース コレクション)

MICHAEL KORS COLLECTION 2017年秋NYコレクション

多様性を重視する態度はサイズ感やモデル起用にも表れました。NYモードの看板的な存在の「Michael Kors Collection(マイケル・コース コレクション)」は、従来のショーで主流だったスレンダー体形よりもややふっくらした、「プラスサイズ」と呼ばれるモデルを初めてランウエーに迎えました。ほかのブランドでも非白人モデルの起用が進み、女性の「美」を一面的にとらえない意識は今回のNYコレクションで広く共有されていたようでした。

着こなし面ではNY流のパワーウーマン像を押し出しています。肩を張ったジャケットや、深いスリットを切れ込ませたスカートなどが自立した女性のりりしさを感じさせます。半面、たっぷりしたファーコート、まばゆいメタリック仕上げのドレスがたおやかさを主張。オンとオフでいくつもの顔を持つ現代女性の多面性を映していました。

MICHAEL KORS COLLECTION 2017年秋NYコレクション

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多くのクリエーターに共通していたのは、ダイバーシティーを許容し、大統領選であらわになった「分断」を縫い合わせるかのような意識でした。ブランドごとの個性を掘り下げることによって、異なる価値観や成り立ちの混在する米国の現実を浮かび上がらせ、互いを認め合うゆるやかな団結の重要性を語りかけるアプローチです。女性蔑視的な言動で批判を浴びるリーダーの出現を踏まえ、女性の役割や多面性を再確認する表現が広がったのも、今回のNYコレクションの目立った成果でした。

[画像協力]

ALEXANDER WANG http://www.alexanderwang.com/jp

BROOKS BROTHERS http://www.brooksbrothers.co.jp/

CALVIN KLEIN http://www.calvinklein.com/

MICHAEL KORS COLLECTION http://www.michaelkors.jp/

THOM BROWNE https://www.thombrowne.com/

宮田理江(みやた・りえ)
ファッションジャーナリスト、ファッションディレクター。多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報、リアルトレンドを落とし込んだ着こなし解説などを発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かした、「買う側・着る側の気持ち」に目配りした消費者目線での解説が好評。自らのTV通版ブランドもプロデュース。セミナーやイベント出演も多い。著書に『おしゃれの近道』『もっとおしゃれの近道』(学研パブリッシング)がある。http://riemiyata.com/