最強の持ち歩きキーボード 厚さ3mm、100g切る
戸田覚のPC進化論
いつも同じことを書いて恐縮だが、僕はスマートフォンのスクリーンキーボードによる入力が苦手だ。長年たたき続けてきたパソコンのキーボードに比べると、どうしても使いにくい。タブレットのスクリーンキーボードは、スマートフォンのものよりは使いやすいが、やはりパソコンにはかなわない。物理的なキーボードと違って、タイプ感がないのがマイナス要因だ。
しかも、スマートフォンやタブレットは、スクリーンキーボードを表示すると閲覧性や作業性が大きく低下する。特に長文を打つときなどは、外付けキーボードがあったほうが使い勝手はいいのだ。
僕は、数種類の外付けキーボードをいろいろと試していて、実際に持ち歩くことも多いのだが、これぞという1台には、いまだに出会えていない。そんな中、Bluetooth接続の斬新なキーボード「Wekey Pocket Keyboard PN-301」がスマートスタイルジャパンから発売された。
極薄の折り畳み式で持ち歩きには最強だ
Wekey Pocket Keyboardがすごいのは、その薄さだ。使用時の大きさは、31×8.6cmと、コンパクトなキーボード並み。厚さは、開いた状態で3mm、2つ折りにしても6mmしかない。タブレットなどをケースに収納しているなら、その隙間にすんなり収まりそうだ。また重量は、カタログ値で約95gとなっている。
僕が使っている他のキーボードと比べてみよう。例えば、カタログで重量約365gとなっている「Universal Mobile Keyboard」(マイクロソフト、直販価格7980円)は、かばんに入れると荷物が少し増えた感じを受ける。「EC Technology Bluetooth Keyboard」(EC Technology、アマゾン価格3899円)は、約185gと軽量で気に入っているのだが、それでも小さいかばんに入れたときには重さを感じる。
サイズや軽さが素晴らしい一方で、質感はいま一歩だ。全体に樹脂感が強く、安っぽさはないものの、高級感があるとは言い難い。畳んだ状態で両面に表示される円形のマークや、オレンジ色のロゴも不要だと思う。製品名やメーカー名を主張しすぎるのはいただけない。もっとシンプルさを突き詰めたデザインにしてほしかった。
キーサイズは十分だが入力しやすいとは言えない
Wekey Pocket Keyboardを開くと、全長で31cm、キーボード部分だけでも26cmになる。これだけの幅があるため、ほぼフルピッチでキーを配置できている。モバイル向けのキーボードとしては、サイズは文句なしだ。課題はキー配列。下の写真を見ると分かるように、キーの大きさがばらばらで、特に中央付近のキーは大きさの違いがひどい。
なお、キーは感圧式で、単に触れただけでは入力と認識されず、ある程度押し下げる必要がある。しかも、きちんとキーの真ん中を押さなければうまく認識されないのだが、キーの大きさがばらばらなので、慣れるまでに一苦労した。
この薄さ故にキーのストローク感はほとんどないが、キートップが微妙に盛り上がっているので、感触で位置は分かるはずだ。その意味では、凹凸がないスクリーンキーボードに比べて、ずいぶん打ちやすい。キーをたたくたびに音を鳴らす機能もあり、ある程度タイピングしている感はある。最初は苦戦したのだが、使い慣れてくるとだいぶ速度が上がった。印象としては、配列は30点、入力性は50点といったところだ。
とりあえず、かばんに入れておきたい
Wekey Pocket Keyboardは、はっきり言って、慣れるまではかなり打ちづらい。また、慣れても、思った通りの速度ではタイピングできない。だが、それでも僕は外付けキーボードはあったほうがいいと確信している。
Wekey Pocket Keyboardのいいところは、持ち歩く負担がほぼないので、常にかばんに入れておけることだろう。スマートフォンで長文を入力をする必要に迫られた場合などでも、とりあえず持っていれば出番が来る。ここまで軽く、薄いキーボードなら、使う予定がなくても、かばんに放り込んでおけるのだ。逆に、長文を打つことが確実なら別のキーボードを持ち出せばいい。
ちなみに独自機能はカスタマイズが可能で、タイプ音の音量やタッチしたときの反応が3段階で設定できる。使いやすいように調整しておけば、少しは入力しやすくなるだろう。また電源は充電式で、30時間という駆動時間はちょっと短いのだが、サイズを考えると致し方ないところだ。
Wekey Pocket Keyboardは、外観がとても目を引くので、テッキーなご同輩も物欲をそそられると思う。税込み7980円という市場想定価格は安くはないが、興味本位でも手を出せる範囲だろう。僕はこうしてまた1台、外付けキーボードを増やしたが、これぞという1台を見つけるのはまだ先になりそうだ。
1963年生まれのビジネス書作家。著書は120冊以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。
[日経トレンディネット 2017年2月14日付の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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