土岐麻子の「旅嫌い」救った、小さな白いスーツケース

iPhoneで書いたら歌詞が変わった

旅行グッズに限らず、モノ選びっていろいろなところに影響が出ると思います。

実はニューアルバム「PINK」の歌詞は、全てiPhoneで書きました。全編をスマートフォン(スマホ)で書き上げたのは本作が初めてです。

以前はノートに書いていましたが、今は生活の中心にスマホがあるといっても過言じゃないほど身近ですよね。何かを調べたり情報を得たりするのはもちろん、LINEでは会話みたいなやりとりもするから、スマホで文字を打つのがより密接になったと感じます。

スマホでは誰かに何かを伝える行為がとても多いせいか、スマホで書いてみると、自然に誰かにメッセージを送るような歌詞が書けた。前作(2015年発表の「Bittersweet」)が「私小説」のような作品だったので、大きな変化だと思います。作るためのモノが変われば、できあがるモノも変わってくる。

「PINK」のテーマは「シティ・ポップ」です。私にとってのシティ・ポップの原点は、子どもの頃に聴いた山下達郎さんや吉田美奈子さんたち。彼らの音楽を聴くと、景色が鮮やかに変わっていくのを感じた。自分がいる世界が、一瞬にしてきれいなものに変わったんです。

その気持ちは大人になった今も変わりません。聴いてくださる方に、そんな素晴らしい体験をしてほしくて、アルバムのタイトルを私にとって夢見るような世界を連想させる「PINK」にしました。

アルバムを携えて、4月からはライブツアーという旅がまた始まります。お気に入りの旅行グッズに助けられながら、訪ねる街を一瞬でも夢見るような色に染められたらいいですね。

[CD+DVD](RZCD-86245/B)4500円、[CD](RZCD-86246)2900円(税別)
土岐麻子(ときあさこ)
カリスマ的な人気を誇ったバンド、Cymbalsのリードボーカルとして活躍したのち、2004年にソロデビュー。父はジャズサックス奏者の土岐英史氏。本人が出演した「ユニクロ」のCMをはじめ、日産自動車「新型TEANA」、資生堂「エリクシール シュペリエル」など、多数のCMソングを担当。また、柔らかで魅力的な声を生かしてナレーションやテレビ番組のナビゲーターを務めるなど、「声のスペシャリスト」としても活躍。4月14日 仙台を皮切りに「TOKI ASAKO LIVE TOUR 2017"POP UP PINK"」が開催される。

(文 橘川有子/写真 藤本和史)

私のモノ語り」のバックナンバーもご覧ください。

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