「機械化」どこまで

電通本社は全館消灯を実施し、残業時間削減に躍起だが

電通は2月中旬に発表予定だった働き方改革の骨子案の発表を4月に延期した。すでに、午後10時の全社一斉消灯などの対策を実施しているが、決算会見で山本社長は、単純な長時間労働の改善にとどまらない改革を目指す決意を示した。

「思った以上に複数の問題がからみあっていた」「表面的なルールでは意味がない。確実に実行でき、かつ効果が出ること。そして、社員の成長が会社の成長につながる循環ができてこそ初めて改革が成功したといえる」という山本社長の言葉は重い。

改革のなかでも注目されるのは「機械化」だ。「これまで代々伝えてきた仕事のやり方がある。なかには自分の手でやったほうが一人ひとりの成長につながるものも多い。しかし、自分でやれば成長につながる仕事と、機械にやらせるべき仕事が複雑に入り組んでいる。丁寧にひもといて機械化する業務を検討する」と山本社長は話す。ネット広告に含まれる「作業」も、その検討対象に含まれていることは想像に難くない。

くしくも14日、政府が残業時間の規制案を示した。残業時間は年間720時間(月平均60時間)以内。仕事の集中する時期は、2カ月平均で80時間以内の残業を認める案も今後検討する見通しだ。しかし、「時間の制限」という視点にとどまっているのは否めない。

労働問題に詳しい千葉商科大学の常見陽平専任講師は、「日本人が効率的に働けていない、という意見もあるが、そもそも仕事の量が多すぎるという見方が欠けている」と指摘する。「仕事の量を追いかけない」とする山本社長の方針は、この指摘に答えているといえるだろう。

電通が「人間がやるべき仕事と機械のやる仕事」の棚卸しに成功すれば、多くの企業のモデルケースともなりうる。「疲れた状態でいい仕事をし続けられるはずがない。持続的な成長をめざす」という山本社長の思いは、ネット広告業界が抱える過酷な労働環境の改善につながるかもしれない。

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