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キャリアの原点

お金には「魔力」がある 生かすも殺すも経営次第 ダイタングループ会長 丹道夫氏(下)

2017/3/2

人間である限り欲はつきものですから、僕は絶対にそれを見逃さない。安月給で働かそうとするから、みんな裏で悪いことをするんです。いくら僕がすご腕経営者だって、それだけで人が喜んで働いてくれるなんてことはないですよ。

いくら売ってもお給料が同じだったら、みんな売り上げに無関心になります。うちはグループ企業をすべて分社化して、競わせているんです。売り上げが落ちてもお給料が下がることはないですけれど、伸びたらその分、事務員にもプラスアルファのお金を出す。アルバイトにもボーナスを支給しますし、有給休暇も取らせる。それはもう、ずっと前からそうしています。

みんなやる気が出るように。雨が降ったら傘になるというのが、経営だと思います。だから、僕はいまだに店でそばを作ったことはない。

■従業員には毎年、厳選したお饅頭を持っていく

今でも年に何度か、味見がてら全店舗を回っています。いっぺんには回れないから、1、2カ月かけて回るんですけれども。

その時に、従業員さんへお饅頭をお土産に持って行くの。京都に本社がある「仙太郎」さんというところのお饅頭に決めているんです。毎回、種類は変えるけど、お店は一緒です。いろいろ研究をしましたけれど、そこが一番おいしいし、工夫しているから。

その辺で適当に買ったものを持っては行きません。僕は自分が一番おいしいと思うものを、お土産に持って行くようにしている。おいしいお饅頭を持って行くと、みなさん喜びます。

以前はお饅頭を自分で持って歩いていたんです。そしたらある日、腰が痛くなっちゃった。それからは係長に持ってもらっています。店舗数が多くなったからちょっと大変で、年に3回だったのを2回に減らそうかなとは思っているんですけれども、もう何十年も続けている習慣です。

丹道夫氏(たん・みちお)
1935年名古屋市生まれ。東京栄養食糧専門学校卒。4度の上京を経て埼玉県に弁当店を開業、そこで得た資金を元手に64年、友人と不動産開発会社を起業、66年に立ち食いそば「そば清」をスタート。72年、ダイタンフードを設立して独立、屋号を「名代 富士そば」に改め、一大チェーンを築く。作詞家「丹まさと」としても活躍。

(ライター 曲沼美恵)

前回掲載「威張れば運が逃げる 『富士そば』会長の成功の秘訣」では、生後間もなく父親を亡くし苦労の末、立ち食いそば店を起業するまでを振り返ってもらいました。

「キャリアの原点」は原則木曜日に掲載します。

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