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スタンフォード 最強の授業

2017/2/26

スタンフォード 最強の授業

朝礼するなら目的を全社で共有せよ

佐藤:多くの日本企業には、「朝礼」という習慣があります。中には、朝礼で毎朝社訓を大きな声で唱えるという企業もありますが、若者からは不評なようです。そもそも朝礼という制度は無駄なのでしょうか。

デマレスト:アメリカの企業でも「モーニング・ミーティング」はありますから、無駄ではありませんよ。ただ、「朝礼」をする目的は社員全員で共有しておかなくてはならないですね。「社員の働く意欲を高めるため」なのであれば、「毎朝朝礼を開いて、社長や管理職が話をしたところで、果たして社員はやる気になるのか」というのを考える必要はあると思います。

軍隊系(体育会系)の社風で会社が成功しているのであれば、社訓を唱えるのにも意味があるかもしれません。しかし、もしあなたが自社を「上意下達のピラミッド組織ではなくて、もっとフラットな組織にしたい」「社員やチームメンバーが自分自身で考え、改善を提案し、イノベーションを起こすような会社にしたい」と望むのであれば、別の方法を考える必要があると思いますよ。

佐藤:どのような話をすれば、社員はやる気になりますか。

デマレスト:社員が「自分にもこういうことができる」と思えるような「アレゴリー」(たとえ話、寓話)を話すといいでしょう。社員が共感できるような話をするのです。あるいは、他人のエピソードだけではなく、あなた自身の経験談をシェアしてもいいかもしれません。「こんなことがあって、こんなことを学びました」と訓話ではなく、具体的なストーリーを話すのです。

あるいは、朝礼を社員との意見交換会に変える、というのはどうでしょうか。そうすれば社員から率直なフィードバックをもらうことができます。

佐藤:アメリカの大統領でも部下からフィードバックをもらうということがあるのですか。

デマレスト:ブッシュ大統領は、周りの人の意見を聞くのがうまい方でした。大統領は、閣議で決して「自分はこの意見に賛成だ、反対だ」とは言いませんでした。もし大統領が最初に意見を言ってしまうと、閣僚は全員、「大統領、それは素晴らしいアイデアです。あなたのようなリーダーのもとで働けて光栄です」と即座に同意してしまって、有益なフィードバックが得られなくなってしまいます。ですからブッシュ大統領は、いつも全員に意見を述べさせたのちに閣議の最後で決断していました。時には、閣議後、執務室に戻ってからさらに他の人の意見を聞いたのちに決断することもありました。

決定力のある立場になればなるほど、社員と直接話し、社員からフィードバックをもらえる機会が減ってきます。朝会の場でお互いに意見を交換すれば、社員もやる気になりますし、お互いに有意義な時間を過ごせると思います。

※デマレスト氏の略歴は第1回「つかみで引き込め 良いスピーチの導入に必要な気配り」をご参照ください。

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