8部門ノミネートが2作品
『ラ・ラ・ランド』に対抗するのはどの作品か。8部門は2作。ひとつは『ムーンライト』。ゴールデン・グローブ賞でドラマ部門の作品賞を受賞している。マイアミの貧困地域を舞台に、黒人少年の成長を少年期、ティーンエージャー期、そして大人と3つの時代構成で描く。麻薬中毒者の母親との確執、父親代わりとなる麻薬密売人との交流、学校でのいじめ、男らしさが求められる黒人コミュニティー――骨太な題材を扱いつつ、色彩豊かな映像や静かな音楽を交えてゆったりとしたテンポで進む。アート性の強い感動ドラマに仕上がっている。
もうひとつは『メッセージ』。世界各地に降り立った、巨大な球体型宇宙船。謎の知的生命体と意思疎通をはかるためにアメリカ軍に雇われた言語学者ルイーズは、物理学者イアンとチームを組み、彼らの目的や、どこから地球にやってきたのかを探っていく。原作はアメリカSFファンタジー作家協会が選ぶネビュラ賞受賞作の短編小説『あなたの人生の物語』。独創性にあふれたストーリー展開、家族愛や「人生とは何か」というテーマ、幻想的なビジュアルで大人の鑑賞に堪えうるSFファンタジー感動作として評価されている。
6部門の『マンチェスター・バイ・ザ・シー』は俳優のアンサンブル演技が高く評価されており、俳優部門では最も多い3部門(主演男優、助演男優、助演女優)でノミネートされている。ボストンで便利屋として働く主人公は兄の死をきっかけに故郷マンチェスター・バイ・ザ・シーに戻る。そこで彼は自分が16歳になる兄の息子の後見人に選出されたことを知る。自分に甥が養育できるかという不安や過去の悲劇と向き合っていく。