太らないおやつの選び方 我慢しないダイエットの極意
おやつは、選び方と食べ方に気をつければ、食べたほうが太りにくくなるとわかってきました。管理栄養士の足立香代子さんによれば、ナッツ、チョコ、チーズや卵、果物がいいそうです。太らないおやつの極意をご紹介します。
ダイエットにはおやつは厳禁! と思いがちだが、そんなことはない。むしろ、太らないため、ダイエットのために必要なおやつもある。
長年栄養指導にあたり、著書『太らない間食』が話題となっている管理栄養士の足立香代子さんは「12時に昼食をとるとして、夕食が8時以降になる場合、その間何も食べないと、脳が栄養を欲して食欲をあおり、むしろ夕食を食べすぎてしまいがちになる」と指摘する。しかも、体がエネルギー不足を感知しているため、エネルギーにしやすい糖質を求めてしまう傾向が強くなるという。
現代人はどうしても夕食が遅くなる。しかも、栄養は偏りやすい。だからこそ、間食であるおやつが役立つ。
ベストなおやつが、「ナッツ」「ヨーグルト・チーズ・卵」「ビターチョコレート」「果物」の4つだ。「これらを200kcal以下になるように組み合わせてもいい。いろいろな食材を試すことで飽きないし、ダイエットも成功しやすくなる」(足立さん)
食べたほうが太りにくくなるおやつのポイント
1.たんぱく質だけをとらない。脂肪・繊維と一緒にとる
たんぱく質と脂肪を一緒にとると腹持ちがよく、おやつ後の食事でも食べすぎを防ぐことができる。また、「日本人が不足している食物繊維を、間食やおやつで補うことができれば理想的」(足立さん)。
2.1日200kcalを超えないようにとる
おやつの目安は200kcalまで。小パックのヨーグルトにフルーツをトッピングしたり、小分けしたナッツを食べたりして上手におやつを楽しもう。どうしても甘いものが食べたければ、少量のチーズを合わせるなどの工夫を。
3.昼食の4時間後、夕食の4時間前が理想のタイミング
昼食を食べて3~4時間すると空腹感を感じるようになるのは自然なこと。「昼食後6時間で夕食を食べるなら、おやつは不要。ですが、8時間以上間隔があくなら、上手におやつを食べれば、夕食のドカ食いを防げる」(足立さん)
4.食べすぎ予防に小分けを選ぶ
体によいおやつでも、だらだら食いはカロリーオーバーに。食べすぎる人は、小分けのものを。「小分けで買えないチーズやブドウは冷凍しておくと食べすぎが防げる。つまんですぐに食べられなくすることが大切」(足立さん)
【太らないおやつはこの4つ】
お薦めおやつ1:ナッツ 食物繊維とミネラルが豊富
ナッツは太らないおやつの代表格。アーモンドはビタミンEや食物繊維が豊富。カシューナッツはビタミンB1や亜鉛が、ピスタチオは鉄分やカリウム、クルミはαリノレン酸が含まれビタミンAやB2を含む。カロリーが高いので、1日20粒程度を目安に食べよう。
[目安カロリー]アーモンド1粒:約6kcal、クルミ1粒:40kcal、カシューナッツ1粒:7~9kcal、ピスタチオ1粒:3kcal
お薦めおやつ2:ヨーグルト・チーズ・卵 たんぱく質と脂肪が一気にとれる
チーズやヨーグルトはたんぱく質、脂肪、カルシウムが豊富。少量でも腹持ちがよく、おやつに最適だ。卵はたんぱく質だけでなく、ビタミンやミネラルもバランスよく含む"完全食"。「コレステロールの摂取が血中コレステロール値を上げないことはわかっているので、食べすぎにさえ注意すれば、手軽なおやつとしてお薦め」(足立さん)
[目安カロリー]カマンベールチーズ1切れ:約50kcal、無糖ヨーグルト100g:62kcal、ゆで卵1個:91kcal
お薦めおやつ3:ビターチョコレート カカオのパワーで血流アップ、腹持ちもいい
甘いものが食べたいなら、カカオ70%以上のビターチョコを選ぼう。1切れなら27kcal程度なので、「チーズやヨーグルトなどと組み合わせると、より満腹感も高まり腹持ちもいい」(足立さん)。ただ食べすぎはカロリーオーバーになるので注意が必要。また、ミルクチョコやホワイトチョコは糖分や脂肪が多くなりすぎるのでNG。
[目安カロリー]1切れ:約27kcal
お薦めおやつ4:果物 単体で食べるよりも組み合わせてとりたい
「果物に含まれる果糖は、血糖値を上げづらい。ただ果物はショ糖も含むので、食べすぎないこと」(足立さん)。ビタミンCや食物繊維がとれるのもいい。「リンゴ中1個にチーズかヨーグルトを加えてもカロリーオーバーにはならない。たんぱく質との組み合わせで食べると、腹持ちもよくなります」(足立さん)
[目安カロリー]ブドウ1粒:6~10kcal、みかん中1個:34kcal、リンゴ中1個:145kcal、キウイ1/2個:46kcal
※カロリーは『日本食品標準成分表2015年(七訂)』と、商品パッケージの数値より引用。
【太らないおやつQ&A】
A.ノンシュガーのお茶かコーヒーがいい
清涼飲料水やジュースは意外にカロリーが高く、炭酸飲料では100mlで40~45kcal。100%オレンジジュースは200mlで42kcal。「満腹感がないわりに、意外と高カロリー。簡単に200kcalを超えてしまうので、飲み物は、無糖のお茶やコーヒーがいい」(足立さん)
A.むしろとったほうがよい
太るからと油を避ける人が多いが、これは間違い。「とりすぎはよくないが、適度に油があるもののほうが腹持ちがいい。糖質をとっても、同時にたんぱく質や脂肪をとれば、血糖値の上がり方がゆるやかになる」(足立さん)
A.サンドイッチ。おにぎりはスープ&チーズを加える
「おやつではできるだけ血糖値の上がり下がりが激しくないほうがいい。そう考えると、おにぎり単品は糖質が多め。サンドイッチは、具に卵やツナなどが使われているものなら同時にたんぱく質や脂肪がとれる」(足立さん)
A.食べごたえのあるほうが結果的に太りにくい
ジュースは100%果汁であってもショ糖が多く腹持ちが悪く太りやすい。ゼリー飲料は、栄養バランスはよくても、食べた満足感は低い。「満足感があるかどうかで選ぶなら、果物のほうが食べた満足感があるはず。特にリンゴなどかみごたえのある食品を選ぶのがコツ」(足立さん)
A.糖質の量が多いもの
おやつは、糖質の多いものを避けること。たとえば甘いものが食べたいなら糖質の塊の菓子パンより、少しでも卵や牛乳などが入ったチーズケーキなどを選ぶといい。脂肪やたんぱく質で腹持ちがよくなる。かみごたえのあるものも、食べた満足感につながるのでいい。
【足立さんに聞いた「おやつ〇×12番勝負」】
ドライフルーツ VS ミックスナッツ
→ドライフルーツ:△ ミックスナッツ:◎
ドライフルーツは砂糖が添加されていなければ悪くはないが、ミックスナッツのほうが断然いい。どちらも食べすぎには注意が必要。両方とも量を減らして、ヨーグルトと一緒に食べるとお腹の調子もよくなる。
クッキー VS チョコレート
→クッキー:△ チョコレート:〇
クッキーは糖質の塊。血糖値が急激に上がり、その後急激に下がるので、空腹感が長時間抑えられない。ビターチョコを選べば、脂肪やポリフェノールがとれる。小分け1枚なら意外とカロリーも低く腹持ちもいい。
シュークリーム VS メロンパン
→シュークリーム:〇 メロンパン:×
一見どちらもダメそうだが、どちらかを選ぶのならシュークリーム。「卵や牛乳を使っているので、腹持ちを考えるとシュークリームがベター。メロンパンはいわば、糖質の塊なので、避けたい」(足立さん)
ヨーグルト VS プリン
→ヨーグルト:◎ プリン:〇
たんぱく質やカルシウム豊富でカロリー低めのヨーグルトは、おやつに最適。プリンは牛乳や卵で作られているので、栄養バランスは悪くなく腹持ちも良い。プリンの上に生クリームが乗るとカロリーが上がるので注意。
チーズ鱈 VS あたりめ
→チーズ鱈:〇 あたりめ:◎
どちらも低カロリーかつ食べごたえがある。コンビニにある小さめサイズがお薦め。「あたりめはかみごたえがあるため、お薦め」(足立さん)
ロールケーキ VS おまんじゅう
→ロールケーキ:〇 おまんじゅう:×
おまんじゅうのほうがカロリーが低いが、実は糖質が多く、腹持ちが悪い。ロールケーキは、「1/2切れであれば問題なく食べていい」(足立さん)
ショートケーキ VS フルーツタルト
→ショートケーキ:△ フルーツタルト:〇
フルーツタルトは、フルーツ部分が多ければ満腹感があり、食物繊維やビタミンがとれる。ショートケーキは、糖質が多いので避ける。
ウエハースチョコ VS アーモンドチョコ
→ウエハースチョコ:△ アーモンドチョコ:〇
ウエハースは小麦粉のため、血糖値が上がりやすい。一方、カカオ70%のアーモンドチョコは、肌質と便通が改善されたという報告も。
スープパスタ VS ミニカップラーメン
→スープパスタ:〇 ミニカップラーメン:△
ミニカップラーメンは塩分が多いのでつい飲み物も増えてしまう傾向に。「スープパスタはゆで卵半分などを組み合わせたい」(足立さん)
かりんとう VS 固焼きせんべい
→かりんとう:× 固焼きせんべい:△
かりんとうは、少量でもカロリーが高い。固焼きせんべいも糖質が多いが、かみごたえがあるために少量ならばよし。チーズなどと組み合わせたい。
アイス VS ラクトアイス(シャーベット)
→アイス:〇 ラクトアイス(シャーベット):△
アイスは量にさえ注意すれば、カルシウムなどもとれ、乳脂肪が多いため腹持ちもいい。ラクトアイスは乳固形分が少なく、腹持ちが悪い。
チーズケーキ VS モンブラン
→チーズケーキ:◎ モンブラン:×
栗やカボチャのケーキは糖質は多め。チーズケーキは小麦粉の量が少なく、たんぱく質と脂肪がとれる。カロリーは高めなので、小分けに。
管理栄養士
一般社団法人臨床栄養実践協会理事長。せんぽ東京高輪病院名誉栄養管理室長。14年に同協会を発足し、講演会やメディアを通じて実践的な栄養を広めるほか、管理栄養士の育成に力を注ぐ。著書に『太らない間食』(文響社)ほか多数。
(ライター 清水すま子、熊 介子=日経ヘルス編集、写真 谷口賢児)
[日経ヘルス2017年2月号の記事を再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
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