二刀流の新星、北村匠海 映画『キミスイ』主演抜てき
ダンスロックバンド、DISH//(ディッシュ)のボーカルギターとして人気を集める一方、近年は俳優としても活躍の場を広げているのが、北村匠海。2016年は映画4本、連ドラ2本に出演。特に7月期のドラマ『仰げば尊し』では熱血教師に大きな影響を受ける5人組不良グルーブの1人・安保役を演じて大きな注目を集めた。
「2016年は俳優としてとても充実した年でした。同時に、ものすごく激動の年でもありましたね。普段マスクも何もしないで歩くタイプだというのもあってか(笑)、街中での反響の大きさにも驚きました。とても大事な1年間を過ごさせていただいたんだなと実感しています」
『鈴木先生』が着火点
俳優デビューは08年。11年の『鈴木先生』で"本気の芝居"の面白さに気づいた。その後も音楽活動が中心になる時期はあるものの、着実に腕を磨いている。
「『鈴木先生』で初めて芝居に対する意識が変わったのを覚えています。土屋太鳳ちゃんや松岡茉優ちゃんなど共演者がみんなすごくて。去年の『仰げば尊し』でも同年代ばかりの現場で『全力でいかないと負ける』という思いを再び感じて、刺激になった。僕にとって学園モノはいつもターニングポイントになっている気がします」
知名度を上げたい若手なら、インパクトのある役を演じたいもの。例えばそれが学園ドラマで同世代がひしめく生徒役であればなおさら。だがそうしたなかで北村が目指しているのは「溶け込める俳優」なのだという。
「自分には強い個性がないから、逆にそれを武器にしようと思って。何を演じてもハマる役者というか。むしろ役を見て『北村匠海だ』と思われないほうがいいのかなと思っています。実際に最近は『え、あの役と同一人物だったの?』と驚かれることが多く、僕にとってはとてもうれしい褒め言葉です」
とはいえ没個性というわけではない。普段の彼はカメラ、作詞、服、映像制作など実に多趣味。
「『感受性』という言葉が好きで、関係することなら何でもやりたがる人間なんです。だから演技も範囲を限定したくない。自分が経験したことは少なからず出るものだと思うから、少しでもたくさんのことを今から知っておきたいです」
今年は、エフティ資生堂シーブリーズのCMに出演が決定。夏には浜辺美波とのW主演映画『君の膵臓をたべたい』の公開も控えている。『君の膵臓~』は、『キミスイ』の略称で若者に人気の同名ベストセラー小説の映画化。余命短い少女との純愛もので、『世界の中心で、愛をさけぶ』のような大ヒットも期待される作品だ。
「CMには(中川)大志と広瀬すずちゃんもいるので、少しでも食い込めていけたらと思っています。『君の膵臓をたべたい』では初めて『自分が引っ張らなきゃ』と責任を感じました。役的にもとても共感できるものだったので、この作品でまた新たな殻を破ることができたらいいなと思っています」
(ライター 松木智恵)
[日経エンタテインメント! 2017年2月号の記事を再構成]
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