三井カメラマンが選ぶ 2016ベストデジカメ

三井公一カメラマンの2016年ベストデジカメ
三井公一カメラマンの2016年ベストデジカメ
日経トレンディネット

2016年は、デジタル一眼や高級コンパクトなど高性能モデルを中心に魅力的なデジカメが多数お目見えし、写真ファンに高く評価された。そこで、各社の新製品を試用&購入する機会の多いカメラマンに、高い評価を与えたベストデジカメ3台を厳選してもらった。2016年に発売したデジカメ、もしくは2016年にカメラマンが購入したデジカメを対象とした。最後は、三井公一カメラマンのチョイスだ。

【第1位】シグマ「sd Quattro」

高性能なレンズを次々と発表し、勢いを感じさせるシグマ。カメラは、レンズ一体型の「dp Quattro」シリーズを4機種ラインアップしていたが、Quattroシリーズの最新モデルとして現れたのが、ミラーレス化したレンズ交換式モデル「sd Quattro」だ。

シグマが2016年7月に発売したミラーレス一眼「sd Quattro」。実売価格は、ボディー単体モデルが7万4000円前後、30mm F1.4 DC HSM Art レンズキットが9万8000円前後となっている

このカメラ、まずルックスからしていかにもシグマらしい。グッドデザイン賞を受賞した独特で奇抜なフォルムは、街で撮影していると通行人に振り返られるほど。既存のシグマSAマウントの交換レンズが使用できるボディーはミラーレス化されたとはいえ、サイズ感は先代の一眼レフ「SD1/SD1 Merrill」とさほど違いはない。しかし、明るく高性能なシグマグローバルビジョンレンズ群とのバランス感はピッタリである。

機能は全般的にシンプルで迷うことがないが、超解像感を味わえる「SFDモード」が追加され、画質面はさらなる進化を遂げた。Foveonセンサーから叩き出される精細感あふれる写真は実にシグマらしく、それに魅了された熱狂的ファンが徐々に増えてきている。

何より、シャープで高い解像感のある写真が、約10万円ほどのレンズキットを手にすれば味わえるのも大きな魅力だ。先日、APS-H型の大型センサーを搭載した兄弟モデル「sd Quattro H」もリリースされたが、こちらもボディー単体で約13万円という驚きの価格設定をしてきた。自分なりの写真をジックリと撮影したい人にはオススメのカメラだと思う。

立体感がありながらシャープで高精細な画質が味わえるSIGMA sd Quattro。その絵から想像できない買いやすい価格が魅力だ(18-35mm F1.8 DC HSM使用、ISO100、1/60秒、F1.8、-1補正、39mm相当)

【第2位】ニコン「D500」

2016年頭にようやく登場したニコンDXフォーマットのフラッグシップ機「D500」。「いつ出るのか…?」とニコンファンをヤキモキさせていたが、満を持してAPS-C機トップにふさわしい性能を満載して姿を現した。

ニコンが2016年4月に発売した高性能APS-C一眼レフ「D500」。実売価格は、ボディー単体モデルが21万8000円前後、16-80 VRレンズキットが28万5000円前後

筆者もD500を入手して日々使っているが、とても素晴らしい。なによりも、モノとしての造りの良さに驚かされる。握りやすいグリップをホールドするだけで、シャッターを切るまでもなくそれを実感できるはず。ムダのないフォルムと考え抜かれたユーザーインターフェイス、そして堅ろう性を備えた「写真を撮る道具」としての信頼感や安心感はバツグンだ。すべてのスイッチ類を含む可動部分の適切なトルクなどを見ると、「さすがニコンはカメラ作りをよく分かっているな」と感じさせる。

もちろん、性能や画質も申し分ない。見やすく切れの良い光学ファインダー、秒間10コマの高速撮影、向上した高感度特性、広範囲にわたるAFポイントと高速追従性、ロングバッテリーライフ、4Kムービー対応など、現在プロに求められるファンクションすべてを高いレベルで備えている。何より、使っていて「気持ちいい」のがうれしい。起動やシャッターの応答性などさまざまなレスポンスが心地よく、いつまでも撮影していたいカメラに仕上がっている。

動きもののみならず、幅広いジャンルで高画質と心地よさを実感できるのがニコンD500だ。動体撮影は「D5」とともに世界最強レベルといえる。これは、シグマの「150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporary」でユリカモメの飛翔を捉えた一枚だ(ISO3600、1/1600秒、F8.0、-0.3補正、900mm相当)

【第3位】キヤノン「EOS M5」

ついに、というかようやくキヤノンがミラーレス一眼に本気を出したな、という印象を受けたのが「EOS M5」だ。使ってみれば、その気合の入れ方が誰にでも分かるはずだ。とにかくキビキビと動作し、オートフォーカスも思ったところにススッと合う。使い心地は今までのEOS Mシリーズとは一線を画しており、撮影していてとても楽しく、頼もしく感じた。

キヤノンが2016年11月末に発売したミラーレス一眼「EOS M5」。実売価格は、ボディー単体モデルが9万8000円前後、EF-M15-45 IS STM レンズキットが11万5000円前後、EF-M18-150 IS STM レンズキットが13万5000円前後。EF-M18-150 IS STM レンズキットは強い品薄状態が続いている

カメラを手にしたときの感触がとてもいいのも、EOM M5の魅力だ。高性能をギュッと凝縮したような高級感とカタマリ感が気持ちいいのだ。各ボタン類の配置や操作感もとてもよく、一眼レフのEOS入門機よりも節度感があって使いやすい。

画質は、EOSシリーズで定評のある絵作りがそのまま受け継がれており、素晴らしい。マイクロフォーサーズよりもひとまわり大きいAPS-Cフォーマットなのでボケ味も出せるし、高感度特性も優れる。これまで一眼レフのEOSシリーズを使ってきたユーザーも、安心して乗り換えや買い増しができるはず。もし入手したら、コンパクトでハンドリングのよいEOS M5の稼働率が高くなってしまいそうである(笑)。

ラインアップが少ないEF-Mレンズがウイークポイントといえるが、そのうち明るい単焦点レンズを中心にグッと拡充されるはずだ。今のうちからEOS M5を手に入れて使いこなし、来るべき時に備えておくのも悪くない。

気負うことなく常に持ち歩けるミラーレスEOS。進化したAFと見やすいEVFが魅力だ。ボディーの造りも実にいい(EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM使用、ISO200、1/200秒、F11.0、-0.3補正、72mm相当)
三井公一(サスラウ)
フォトグラファー。iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影している。2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。

[日経トレンディネット 2017年1月10日付の記事を再構成]

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