ネコ、犬に密着 人気番組に『生き物にサンキュー!!』
「ノラネコ」や「ブサカワ犬」などネコや犬を中心に、かわいい動物が次々に登場する『トコトン掘り下げ隊! 生き物にサンキュー!!』。この番組をきっかけに有名になったペットも多数。もともとは、生物の優れた能力や技を、実験や検証、体験を通して紹介する番組として2014年にスタートした。
「フクロウ」や「アリ」「サメ」「イカ」といった生き物全般を取り上げていたが、番組の認知度が上がったのは、ネコや犬を重点的に扱い始めてからだ。「単純にかわいさだけを前面に出した番組にはしたくなかったので、放送開始後3カ月ぐらいは避けていたんです。でも、一度詳しく調べてやってみようということでネコを取り上げたら、大きな反響があって。やっぱり、癒やされるものや、気持ちが優しくなるようなものが求められているんだと感じました」と、総合演出兼プロデューサーの若林愛美氏は振り返る。今では、ネコや犬の生態を詳しく知れる番組として定着した。
こだわっているのは背景にあるストーリーを見せること。保護したネコが人間に心を開くまでの2カ月を追いかけたり、ある家族の元に初めて子ネコが来る日に密着したりと、人間との関係性にも焦点を当てるようにしている。インスタグラムなどで話題の写真を見せるにも必ず本人を訪ね、どのような状況でその1枚が撮れたのかまでを取材して伝えている。
ネコと犬を主軸にしてからは視聴者からの投稿が増え、それをヒントにテーマを決めることも多くなったそうだ。ペットの面白い行動などの情報が寄せられ、ネタは尽きず好循環となっている。「一緒に住む赤ちゃんや幼児には何をされても怒らないネコとか、兄弟ゲンカを止める犬とか。ネコも犬も子どもに優しいという動画の投稿は自然と集まってくるので、何度も取り上げています」。
動物相手のため、撮影には毎回苦労するという。まっすぐな尻尾や、ジャンプしている瞬間など、撮りたいポイントがあっても、動物がそうしてくれるまで待つしかない。「特に、留守番中のペットが何をしているかを撮るのが大変です。カメラを回しっぱなしで何台もセッティングしなければいけないので。いたずらしていたり、勝手におやつを食べていたりとやんちゃな姿を紹介してきましたが、ただ寝ているだけで何もしていないこともありますから(笑)」。
MCは、松嶋尚美とチュートリアルの徳井義実。「徳井さんはネコを2匹飼っていて、松嶋さんは『やっぱ犬やなー』といつも言うぐらいネコが苦手(笑)。でもそれが世の中を反映していると思うので、自由に発言してもらっています」。テーマがネコと犬に寄る分、MCの2人を含め、薬丸裕英や澤部佑ら番組に関わる出演者は、ウサギやダチョウなどほかの動物とも触れ合うなど、広がりを持たせているそうだ。
SNSと相性がいいのも番組の特徴。オンエア中のツイッターの盛り上がりはもちろん、フェイスブックに載せたPR動画の再生回数が1日で30万回を超えたこともある。視聴率は8~10%ぐらいだが視聴満足度は高く、確実にファンをつかんでいる。「たくさんの発見があり、生き物の面白さを知ってもらえる、子どもとお母さんが一緒に楽しめる番組をこれからも目指します」。
(「日経エンタテインメント!」12月号の記事を再構成。敬称略、文・内藤悦子)
[日経MJ2017年1月6日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。