布団でダイソン圧勝 スティック型掃除機6機種対決
スティック型掃除機の市場が拡大を続けている。調査会社のGfKによると、2016年上半期の販売台数は前年同期比で7%増。掃除機市場の約3割を占める規模になったという。なかでも、「マイナス成長している」(GfK)といわれる布団専用掃除機と入れ替わるように、布団専用ヘッドを標準で付属したスティック型掃除機が増加している。
普段の床掃除から布団掃除まで満足して使える製品はあるのか。布団掃除に対応した専用ヘッドを標準で付属するスティック型掃除機6モデルを用意。小麦粉や疑似花粉、綿などを使用し、フローリングやじゅうたん、布団での掃除性能を比較した。そのほか、メンテナンスにかかる手間も見た。
フローリングは差なし、じゅうたんと布団でダイソン優位
まず、小麦粉や綿などの疑似ごみを使った床掃除のテストでは、どれも不満のない性能を発揮。特に国内住宅の床面積の多くを占めるフローリングでは、目立った差はなかった。
やや違いが出たのは、じゅうたん。「ダイソン V8 アブソルート」(ダイソン)は唯一標準モードでもしっかりとごみを吸い取った。強モードでは「エルゴラピード・リチウム ベッド・プロ・パワー」(エレクトロラックス)と「トルネオ V コードレス VC-CL1300」(東芝ライフスタイル)が、他よりもごみをよく吸い取った。
多少の差こそあれ、普段の掃除に関しては、どれも一定水準の性能をクリアしているといえる。しかし、実力が分かれたのが布団掃除だ。
布団の花粉を吸引するテストでは、ダイソンとエレクトロラックスが圧勝。エレクトロラックスは強モードを使うことで、ダイソンは標準モードのままで、ほぼすべての花粉を吸い取った。その他の"国内勢"は強モードでも取り残しがあり、きれいにするためにヘッドを何度か往復させる必要があった。
ここまでの差が出た要因は専用ヘッドの仕組みにある。検証では、ダイソンは「ベッドや布団、ソファなどにも」とうたう「ミニモーターヘッド」を、エレクトロラックスは「ベッド・プロ・パワー UVノズル」を使用。どちらも電動ブラシで花粉をかき出して吸い込む仕組みで、こうした機構の有無が結果に表れたもようだ。
布団の掃除時間の長さでも、ダイソンが優位。花粉をしっかりと吸い取れる標準モードで約30分運転できる。
エレクトロラックスは、布団掃除時には強モードしか選べない仕様。運転時間は約15分とやや見劣りした。
しかし、それよりもさらに短いのが国内勢だ。強モードの場合、運転時間はほとんどが10分以内。複数の布団を掃除するには心もとない時間といえる。
床掃除も布団掃除も、総合的に優れているのはダイソン。標準モードでも十分な実力で、運転時間も長め。ただ、唯一カップを水洗いできない。布団掃除の運転時間を妥協できるのなら、実勢価格が4万円台とダイソンのほぼ半額でカップなどの水洗いが可能な、エレクトロラックスも候補になる。
総合力に優れ、長時間使える
実勢価格8万4240円(税込み)
●サイズ・重さ/幅25×高さ124.4×奥行き22.4cm・2.61kg●集じん容積/非公開●運転時間/約7分(強)、約40分、約30分(標準・ソフトローラークリーナーヘッド使用時)、約25分(標準・ダイレクトドライブクリーナーヘッド使用時)●充電時間/約5時間
掃除:◎
吸引力は最も高く、ごみをきれいに取った。じゅうたんにまいた小麦粉を吸い込む性能は抜きんでて優れていた。
布団掃除:◎
強モードではもちろん、通常モードでも疑似花粉をきれいに吸い取った。運転時間は約30分と最も長い。
手入れ:△
レバーを引くだけで蓋が開き、ごみを落とせる。フィルター類は水洗い可能だが、透明のカップ部分は不可。
さまざまなシーンで他を圧倒した、掃除性能に優れるモデル。標準モードでの性能が高いため、長時間使えるのも大きなメリットだ。唯一、ダストカップが水洗いできない点では他に譲る。
ダイソンに迫る買いの候補
実勢価格4万3450円(税込み)
●サイズ・重さ/幅26.3×高さ107×奥行き15cm・2.6kg●集じん容積/0.5L●運転時間/約15分(最大)、約45分(通常)●充電時間/約4時間
掃除:◎
吸引力は標準的だが、ごみの吸い取り性能は高い。ダイソンと同じく、じゅうたんにまいた小麦粉を取り去った。
布団掃除:○
強モードで疑似花粉をほぼすべて除去できた。布団掃除時は強モードしか使えず、運転時間は約15分と短め。
手入れ:○
レバーをはじくとフィルターに付着したごみがダストカップに落ちる。カップやフィルターはすべて水洗い可能。
ダイソンに続いて総合力に優れ、メンテナンス性やコストパフォーマンスも高い。運転時間は短めだが、布団掃除の性能はトップクラス。ハンディ掃除機としても使えるのは便利だ。
布団掃除時の運転時間が短い
実勢価格4万1980円(税込み)
●サイズ・重さ/幅28×高さ101.5(最大時)×奥行き23cm・2.3kg●集じん容積/0.2L●運転時間/約8分(強)、約30分(標準)●充電時間/約3.5時間
掃除:○
吸引力は他よりも高め。じゅうたんにまいた小麦粉はやや残したが、総合的な掃除性能は不満がないレベル。
布団掃除:△
布団にまいた疑似花粉を強モードでも僅かに残した。強モードの場合、運転可能時間は約8分と短い。
手入れ:○
ボタンを押すとケースが開き、中のごみがバネで押し出される。カップやフィルターはすべて水洗い可能。
掃除性能はおおむね問題ない。カップやフィルターが水洗いできるなど、清潔に保てるのも利点。ただ、布団掃除性能は強モードでも上位に及ばず、運転時間も約8分と短かった。
多機能だが花粉は残した
実勢価格5万9180円(税込み)
●サイズ・重さ/幅22.6×高さ105.3×奥行き19.5cm・2.1kg●集じん容積/0.4L●運転時間/約10分(強)、約20分(標準)●充電時間/約1.5時間
掃除:○
吸引力は標準的なレベル。総合的な掃除性能は十分だが、じゅうたんの小麦粉は僅かに残ることがあった。
布団掃除:△
強モードを使用した場合でも、シーツの内部に疑似花粉が残った。強モードでの運転時間は約10分と短い。
手入れ:○
レバーを押すとカップが外れ、フィルターと分離する。カップやフィルターはすべて水洗いできる。
専用の充電スタンドに置けば空気清浄機としても使えるユニークなモデル。手入れがしやすく、掃除性能も十分だが、布団の花粉除去に関しては日立と同様に物足りなさを感じた。
布団掃除性能で見劣り
実勢価格6万6330円(税込み)
●サイズ・重さ/幅23.7×高さ103.8×奥行き21.2cm・2.4kg●集じん容積/0.2L●運転時間(バッテリー2個使用時)/約16分(強)、約1時間(標準)●充電時間(バッテリー1個当たり)/約1時間20分
掃除:○
吸引力はやや高め。掃除性能に不足はないが、じゅうたんの小麦粉はすべてを吸い切れないこともあった。
布団掃除:△
疑似花粉は強モードでも取り切れなかった。運転時間は、バッテリーを2個使えば約16分まで延ばせる。
手入れ:○
オレンジ色のボタンを押してカップを外し、ごみを捨てる。カップやフィルターはすべて水洗い可能だ。
バッテリーを2個同梱し、連続して使うことで駆動時間を延ばせる。掃除性能やメンテナンス性は過不足ないレベルだが、布団掃除に関してはダイソンなどに比べると見劣りする。
性能は実用的。布団掃除に弱み
実勢価格6万6620円(税込み)
●サイズ・重さ/幅22.4×高さ103×奥行き22.4cm・1.9kg●集じん容積/0.2L●運転時間/約8分(強)、約20~25分(セーブ)●充電時間/約5時間
掃除:◎
吸引力は高く、掃除性能は十分実用的。ただ、じゅうたんの小麦粉を完全に吸い取れないこともあった。
布団掃除:△
シーツにまいた疑似花粉は強モードでほぼ吸った。だが運転時間は強モードの場合、約8分と短い。
手入れ:○
カップからフィルターを取り外してごみを捨てる仕組み。すべてのパーツを水洗いできる。
本体の重さは2kg以下と、今回比較したなかで最も軽い。総合的な掃除性能は十分で手入れもラクだった。布団掃除は、強モードで善戦したが、運転時間が物足りない結果となった。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2017年1月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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