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会議での発言やプレゼンが苦手 その意外な理由と対策 “もったいない”脱出の仕事術

2016/12/26

発言やプレゼンが苦手……でもそれは自然なことなのです。堂々と話せるようになるには?(写真:Tia Haygood)

コミュニケーション・コーチの岩田ヘレンです。仕事をする上でちょっとしたスキルやコツを知らないために、自分の才能を生かしきれない「もったいない!」状況になっている……。そんな状況を脱出するためのこのコラム、今回が第3回です。

会議の場で、何か意見を言いたいのになかなか発言できない。あるいは、人前でのプレゼンテーションが苦手、自信がない。そういう方はたくさんいると思います。せっかくのアイデアや意見を、ほかの人と共有しないのは本当にもったいないです。ただ、「そういう人はダメ」と批判しているのではありませんよ。自信がないからといって自分を責めないでください。

「英語のネーティブの人は積極的に発言するし、プレゼンも得意なんでしょう」と思いますか? 決してそんなことはありません。英語のネーティブかどうかにはかかわらず、人前での発言やプレゼンが苦手、という人はとても多いのです。その理由と、実際にどう対応したらいいかというお話を今回はしてみます。

■危機的状況に直面すると、体は正当な反応をする

人間は本来、群れをつくって集団で生きる「動物」です。大昔は、群れから離れると生きていくことはできませんでした。敵や猛獣に襲われて殺されたり、十分な食べ物が得られずに飢えたりしないために、集団に受け入れられることはとても重要な、命にかかわることだったのです。

今もそうした本能的な感覚や脳の機能が残っているのです。つまり、職場の会議で発言したり、プレゼンで発表したりするときに「もしかしたら、自分が言うことが周囲の人に受け入れられないかもしれない」というリスクを本能的に感じるのです。

“危険”な状況に直面したとき、動物であればライオンは戦い、シカは逃げます。「fight or flight」(戦うか、逃げるか)という切迫した状況に直面すると、人間の場合も「戦うか、逃げるか」に全力で対応するために体の中でいろいろな変化が起こります。

主な変化と、それへの対処法を挙げてみましょう。

1.心臓がドキドキする。

発言しなきゃ、プレゼンしなきゃと思うと、体が総力で「戦うか、逃げるか」の準備にかかり、全身に血液をたくさん流そうとして心臓が活発に動きます。

私も、何度もこういう経験があります。ある場所でプレゼンをすることになったのですが、準備をしようとしたらまだ前の人が使用中だったため会場に入れず、なかなか準備ができませんでした。外で待っている間、心臓がものすごくドキドキしていることに気づきました。

【対策】 心臓がドキドキしているのを感じたら、まず「これは人間の体の、自然な反応なのだ。自分は人間なのだ」と認識してみてください。ドキドキするのは自然の反応で、人間であることの証しだと認めると、少し落ち着いてくるでしょう。

プレゼンの会場の外で心臓がドキドキしているのに気づいたとき、私はこう思いました。「ああ、私も人間なんだわ」。そう思うと、かなり気分が落ち着きました。

2.息が苦しい、息が浅くなる。

「戦うか、逃げるか」の準備のために、体が酸素をたくさん必要とします。そのため呼吸が切迫したり息が苦しくなったりします。

【対策】 こういうときは深呼吸が有効です。話す前だけでなく、話している途中でも深呼吸するといいでしょう。プレゼンでは途中に小休止を入れて、そのときに深呼吸をするといいです。また、腹式呼吸を心がけるとさらに落ち着きます。ヨガや武道などでも腹式呼吸が多いですね。呼吸が苦しいと思ったら、例えばおなかから声を出してカラオケを歌っているときの感覚を思い出して。

3.のどがカラカラに乾く。

「戦うか、逃げるか」の状況に直面すると、体はすべての機能を危機対応にフォーカスします。すると、消化機能が一時的に止まるんだそうです! だから唾液も出にくくなって、のどがカラカラになります。また、緊張するとよくトイレに行きたくなるのも、危機対応の際に余分なものは排せつしてしまおうという体の反応なのだそうです。

【対策】発言する前に水を飲む。プレゼンのときは15分くらい前から少しずつ。プレゼンの途中も近くに水を置いておくとよいです。

4.汗をかく。

体がヒートアップするため。これも「戦うか逃げるか」に関係しています。

【対策】 服装を事前に考えておきましょう。風通しの良い、動きやすい服装を選んでおきます。

5.頭が真っ白になる、言うべきことが思い出せなくなる。

これは脳の中にある器官、扁桃体(amygdala)が関係しています。実際には「戦うか、逃げるか」のあらゆる反応が扁桃体によって引き起こされます。体が通常の状態にあるときは、私たちは大脳の新皮質を使って考えたり決断をしたりします。しかし、体が「戦うか、逃げるか」モードになると、シグナルが大脳の新皮質を通らないため考えることができなくなります。もちろん、危険が迫ったときには考えるより先に素早く行動しなくてはならないので、これは身を守るという点では理にかなっています。しかし、例えばプレゼンの場で何を言いたいのか思い出せなくなってしまっては何の助けにもなりません。

【対策】 プレゼンでは、事前に十分に練習しておくことで「頭が真っ白になる」という事態を防ぐことができます。練習によって脳の中の回路が変わり、考えなくても自動的に言うべきことが出てくるようになるからです。

これらの身体的な反応は、もちろん私自身も何度も経験しています。自分は緊張しやすいとか、できないのだとか思わないでください。あなただけではなく、誰にとっても自然な反応なのですから。

年末年始に、少しリラックスできる時間がとれる人も多いのではないでしょうか。コタツでミカンなどを食べながら読書を楽しむ日本の方も多いと思います。日ごろ、会議やプレゼンのスキルアップが課題だと思っている方は、『英語の仕事術:グローバル・ビジネスのコミュニケーション』にpracticalなヒントをたくさんまとめていますのでぜひ参考になさってください。ご質問やご意見、今後知りたいことなどはヘレンのアドレスまでお送りください( helen@sasugacommunications.com )。2017年こそ「もったいない」状態から脱出するための準備を始めてみてはいかがでしょうか。

岩田ヘレン(いわた・へれん)
グローバル・コミュニケーション・コーチ。英国ヨークシャー出身、さすがコミュニケーションズ代表。ウイズ株式会社 アドバイザー。日本翻訳者協会理事長、マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社コミュニケーション・マネージャーなどを経て2013年にさすがコミュニケーションズを設立。グローバル・ビジネスを想定した企業向けのコミュニケーション・スキル研修などを実施している。著書に『英語の仕事術:グローバル・ビジネスのコミュニケーション』(小学館)。

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