冬だけの青と黄金の滝 裏磐梯の絶景氷瀑ツアー癒やしと発見の「滝ガール旅」

滝は、自然を最も手軽に、そして深く体感できる最強のパワースポットです。全国津々浦々、滝をテーマに旅を続けている「滝ガール」の坂崎絢子さんが、癒やしと発見に満ちた「滝」をめぐる女子旅をご紹介します。

よく「滝ガールも冬はお休みなのでしょう」と言われるのですが、そんなことはありません。むしろ冬は雪と氷に彩られた造形美に出合える特別な季節なのです。

納涼スポットとしての夏の滝は確かに魅力的ですが、実は私は冬の滝も大好きです。今回は知られざる冬の滝ならではの楽しみ方と癒やしパワーについてお伝えしたいと思います。

ご紹介する旅の舞台は、福島県・裏磐梯。こちらには冬にしか見られない美しい滝があるのです。

その名も……「ブルーフォール&イエローフォール」。どうでしょうか。名前だけでもちょっとワクワクしてきませんか?

冬の滝の醍醐味といえば、やっぱり凍った滝=「氷瀑(ひょうばく)」です。名所は全国にたくさんあるのですが、この裏磐梯の氷瀑はなかでもちょっと特別。ブルーフォール&イエローフォールの名はその氷の「色」から来ているのです。

初心者も安心、スノーシューのガイドツアー

さて、滝のご紹介の前に、まずはブルーフォール&イエローフォールを拝むための必需品をご紹介します。

冬の滝めぐりに大活躍するのがスノーシューです

スノーシューです。

スノーシューとはいわゆる「西洋かんじき」。圧雪されていないフカフカの雪のなかも、これを履いていれば沈み込むことなく、雪原のなかでも歩いていくことができる優れものです。

豪雪地帯としてスキーヤーたちにも人気の裏磐梯エリア。もちろんブルーフォール&イエローフォールの周辺も深い雪に覆われた場所なので、スノーシューが必須です。地元のガイドツアーに参加すれば装備もレンタルできますし、迷うことなくどなたでも安心して出かけることができます。

スノーシューを使っての雪遊びにはあまりなじみがない人も多いでしょうが、これが想像以上にワクワクする冬のアクティビティーなんです。スキーやスノーボードとは違い、基本的には歩くだけですから日ごろ運動に慣れていない人でも心配いりません。静かな冬の森をのんびり散策しながら、ウサギの足跡を見つけたり、冬の植物について教わったり。新しい発見ばかりが続くので次第に童心がよみがえってきます。大の字になって、新雪にダイブ!……なんていうのも楽しいです。

雪と戯れていると無条件に童心に返ることができます

ちなみにコースとしては、ブルーフォールが初級、イエローフォールが中級(少々登りがあります)といったところでしょうか。所要時間はどちらも半日です。

静と動の対比を味わうブルーフォール

ここから、いよいよ滝のお話。まずはブルーフォールからご紹介します。

こちらです。

ブルーフォール(小野川不動滝)。モノトーンのなかでよく見ると青色が……(2016年1月28日撮影)

ブルーフォールは「小野川不動滝」の冬の期間の別称です。では、なぜブルーかというと…

滝の横にできた氷柱が青く輝いています。ブルーアイスとも呼ばれます

滝の周囲にできた氷が青く輝いているからなんです!

滝の細かい水しぶきで少しずつできた氷には空気が入らず、不純物もなく、青い光を反射するようになる、ということのようです。滝自体は水量が豊富なので、全体が氷結することはないそうです。

この滝の美しさは、水が生み出す「静」と「動」のコントラストにあると思います。このブルーの氷が存在感を放ってくれているおかげで、氷の「静」と、豪快に落ち続ける滝の「動」のコントラストが強く感じられるというわけ。

ちなみに、夏の滝はこんな感じです。

8月の小野川不動滝。鮮やかな緑が印象的です

全く印象が違いますよね。夏は夏で、いきいきとした緑に包まれたすてきな滝。同じ滝がこんなに印象を変えるなんて、四季のある日本のありがたさをあらためて思います。

約130年前の磐梯山の噴火で生まれた幻の滝

お次は、イエローフォールをご紹介しましょう。

こちらはアイスフォールのなかでも、成り立ちがとてもユニークな滝なのです。それを教えてくれるのが、この広大な雪原。

裏磐梯の銅沼。凍った湖が雪原になっていて、渡ることができます

ここは銅沼(あかぬま)。冬以外の季節は湖ですが、湖面が凍結してその上に雪が積もっている状態ではこうして歩いて渡ることができるんですね。

裏磐梯は300あまりの湖沼群があることで有名ですが、それは明治時代の中ごろ、1888年の磐梯山の火山活動による水蒸気爆発で山自体が崩壊したことで生まれたものだそう。そして、イエローフォールはその山の崩れた部分の「壁」に当たるところにあるのです。

こちらです。

イエローフォール。一番の見ごろは例年2月上旬から中旬ごろだそうです(2016年1月29日撮影)

本当に、黄色い!

滝というか、巨大な氷の壁ですね。高さは10メートル、幅8メートルほど。どうして黄色なのかというと、やはり磐梯山の火山活動と密接に関係しています。火山の硫黄分や鉄分を含んだ水が岸壁から染み出ていて、それが凍ると黄色い氷となり、それが冬の寒さが増すたびにジワジワと大きくなっていくのだそうです。冬以外の季節は存在しない、それが「幻の滝」とも呼ばれているゆえんですね。

火山が生み出した冬の造形を目の当たりにして大地の神秘に思いをはせるのも、ひとつの癒やし効果といえるかもしれません。

快適すぎる直通バス&温泉のセットで

最後に、この滝ガール旅にぴったりのホテルをご紹介します。裏磐梯レイクリゾートさんです。

こちらでまずうれしいのは、手ぶらでオッケーということ。ホテル内にアクティビティーツアーデスクがあって、ツアーの参加者はスノーシュー、ポール、スキーウエア上下、スノーブーツ、グローブ、帽子など必要な装備は全て、最新モデルを無料でレンタルできるのです。

裏磐梯レイクリゾート内のアクティビティーステーション。ナチュラル・ビズのブルーフォールツアーは2016年12月26日~2017年3月27日、ガイド料は4800円(消費税・保険代込)。イエローフォールツアーは2017年1月9日~2017年3月27日の期間の、スキー場のリフトが稼働する毎週金、土、日、月と祝日の実施。ガイド料は5800円(リフト代、おやつ代・消費税・保険代込)

さらに、なんと東京駅からホテルまでの送迎バスが毎日出ています。裏磐梯は最寄り駅がJR猪苗代駅になるのですが、直行バスなら楽チンなだけでなく、1泊料金にプラス5000円という破格のお値段で往復の交通費をまかなえてしまいます。かなりお得です。

東京駅からホテルまでの直行バス。週末は早めに予約を

そして、何といっても「雪見温泉」も楽しめます。スノーシューで運動したあとは、温泉に入りたいですよね。

源泉かけ流し温泉の雪見露天風呂「ひばらみの湯」。天然成分のメタけい酸を豊富に含む湯は「美肌の湯」として女性に人気

私は昨シーズンに1泊でこちらのホテルにおじゃまして、1日目の午後にブルーフォールツアーに参加し、2日目にイエローフォールツアーに参加しました。行程はハードかと思いきや、温泉と往復直行バスでぐっすり休んだおかげで疲れもまったく残らず、至れり尽くせり、大充実のプチトリップとなりました。皆さまも冬の女子旅に、いかがですか?

裏磐梯レイクリゾート http://www.lakeresort.jp/

坂崎絢子(さかざき・あやこ)
 滝ガール。2015年まで日経BP社に編集記者として在籍。学生時代から10年以上、趣味の滝めぐりで日本全国を行脚。2013年に自身の滝活動の情報発信サイト「takigirl.net」を開設。日本の滝のポテンシャル、楽しみ方をウェブサイトや雑誌で情報発信するほか、都会で暮らす女性向けに滝めぐりのレクチャーや滝yogaイベントを開催している。 http://takigirl.net/

[「癒やしと発見の『滝ガール旅』は今回で終了します。]