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シャンパン用グラス選びはアントワネット気分で

2016/12/17

シャンパンの味はグラスで変わる

クリスマスなど、ハレの日の食事にふさわしいお酒といえばシャンパン(シャンパーニュ)の右に出るモノはない。コルクを開けるときの音、泡の美しさ、そして繊細な味わい。こんなシャンパンだからこそ、おしゃれに、おいしく飲みたいものだ。

スマートなフルートグラス

シャンパンを飲むには、細長いフルートグラスを使うのが一般的だが、実はこの形が普及したのは比較的最近で、1980年代ころといわれている。以前は、よくシャンパンタワーに使われる、平たいクープグラスが人気だった。クープグラスでシャンパンを楽しむ貴族の様子がよくわかる映画といえば、ソフィア・コッポラ監督の『マリー・アントワネット』だろう。印象的なのは、アントワネットがクープグラスに注いだシャンパンに小粒の苺(いちご)を3つ浮かべ、つまんで頬張るシーン。シャンパンとブロンドの金色に苺と唇の赤が映えて、思わず見とれてしまった。なお、クープグラスがマリー・アントワネットの乳房をかたどったものだという伝説は、どうやらウソらしい。クープグラスは17世紀に英国で発明されたという話だ。

グラスの人気は、時代の波とともに、泡がきれいに見えるフルートグラスに移りかわってしまい、今ではクープグラスでシャンパンを飲むことはほとんどなくなってしまった。だが、2016年、人気グラスメーカーの木村硝子店(東京・文京)が新しいクープグラスを発表。「なぜいまの時代に?」と衝撃をうけた。シャンパンは何で飲むのが正解なのだろうか。木村硝子店で、実際に試飲させてもらって確かめることにした。

■女性が美しく見えるクープグラス

木村硝子店。1階には一般客向け用の直営店、2階には飲食店等プロ向けのショールームがある。 http://www.kimuraglass.co.jp/
新作のクープグラスを手に語る木村祐太郎専務

木村硝子店の木村祐太郎専務に話を聞いた。クープグラスをこの時代にあらためて作ったのは「ただ単においしく飲みたいから」だとのこと。クープグラスがフランスの貴族社会で長年使われていたのは「おいしく飲めるから自然に選ばれた」と考えたからだ。

「エレガントだから」というのも大きな要素。「クープグラスだと、フルートグラスと違って、飲み干すときに喉元をそらす必要がない。それが自然にできる」という。首元のシワが目立たないのは女性にとってうれしい。

フルートグラスだと飲み干すときにどうしても喉元をそらす必要がある
クープグラスでは、顔を上げずに飲み干せる

クープグラスは上部が大きいため、脚の部分を持つと安定しにくい。「脚の部分ではなく、膨らんでいるボウル部分を持つ。このとき相手に手の甲を見せると美しく見える。女性なら、脚の付け根部分を下3本の指で支えると持ちやすいですよ」

今回のクープグラスについてデザインでこだわったところは「グラスの底をなるべくフラットにしたこと。香りの広がりを感じつつ、シャンパン本来の味わいを楽しめるようになっています」。

■応用範囲広い中間型フルート、味わいと雰囲気にはクープグラス

今回はショールームに並ぶ膨大なグラスのなかから、新しいクープグラスや、従来のフルートを含め、特徴のわかりやすい5種類のグラスを選んで実際にシャンパンを飲んでみた。

Aのフルートグラス(ピーボ3500-17 税抜き2700円)
Bの中間型のフルートグラス(ピーボ・オーソドックス62987-245 税抜き3400円)
Cの白ワイン用グラス(ピーボ・オーソドックス62987-390 税抜き3000円)

Dの白ワイングラスの変化形(セ・シ・ボン18ozワイン税抜き5500円)
Eのクープグラス(ピーボ・オーソドックス63224-210 税抜き3700円)

「アレクサンドル・ボネ」のシャンパン。左から、ライトボディーの「ハーモニー・ド・ブラン」、ミディアムボディーの「グランレゼルヴ」、フルボディーの「ブラン・ド・ノワール」、ロゼの「エクスプレッション・ロゼ」、ビンテージの「トレゾール・カシェ」。(輸入元:都光酒飯 03-3833-3541)

シャンパンもさまざまなタイプがあるので「ライトボディー」「ミディアムボディー」「フルボディー」「ロゼ」「熟成」と5タイプのシャンパンを選んだ。その結果が次の表だ。

グラスAグラスBグラスCグラスDグラスE
特徴縦に長く、一般的なフルートグラスボウルがゆるやかに膨らんだ中間型ボウルが膨らんだ白ワイン用グラスボウルが特に大きく口がすぼまっている口が広く、ボウルの底は平ら
(1)ライトボディー××
(2)ミディアムボディー××
(3)フルボディー××
(4)ロゼ×××
(5)熟成×××

Aのフルートグラスは縦に長く、泡が一番きれいに見える。爽やかな味わいが魅力のライトボディーのシャンパンは、なにより泡を楽しみたいため、フルートグラスがぴったり。

Bの中間型は、ボウルは膨らんでいるが基本はフルートグラスなので、泡の美しさと香り・味わいがバランスよく楽しめる万能タイプ。ほのかな渋みを感じる大人っぽいロゼシャンパンは、いいとこ取りして楽しみたいため、Bが最適。

Cの白ワイングラスは、ボウルが大きい分、香りを感じやすい。熟した桃やマンゴーの香りがする骨太のフルボディータイプは、このグラスだと香りだけで南国気分に。酸味や甘みといった味わいの要素もはっきりするので、普通のワインのようにも楽しめる。

Dは白ワイングラスの変化形、ボウルが更に大きく口がすぼまっているため、香りを中に閉じ込める。なので、(3)や(5)のような香りが強いシャンパンだと、主張が強すぎるかも。このグラスのもうひとつの特徴は、カーブが極端なため、味わいに締まりがでる点。よりスタイリッシュで上品な味にしたいなら、このグラスがおすすめだ。

今回一番興味があったEのクープグラスは、まず飲む人がエレガントに見え、ぜいたく気分を味わえる。試飲してみると、(1)~(4)より香りは弱く感じるが、香りにとらわれない分、シャンパン本来の味わいを楽しめる。味わい深く、落ちつきと気品を兼ねそなえた熟成シャンパンをクープグラスで飲むと、極上の白ワインのようだった。

以上をまとめると、泡(外観)・香り・味わいの3点に、その他の要素(エレガントさ・雰囲気)、どれを重視するかがグラス選びのポイントになる。

香り味わい雰囲気総評
グラスA泡があってこそシャンパン!きれいな泡を楽しみたいとき
グラスB全ていいとこどりしたいとき
グラスCシャンパンをワインとして楽しみたいとき
グラスD香りはより強く、味わいは上品に楽しみたいとき
グラスEフル~熟成シャンパン、アントワネット気分を味わいとき

中間型のフルートグラスは、一番多くの種類のシャンパンに合うので、どれか一つを選ぶなら、これが無難だろう。クープグラスは何よりもエレガント。女性が美しく見えるのも大きなポイント。ここぞ、というときには、ぜひ使ってみてほしいグラスだ。また、高級シャンパンを開けるときはシャンパン用グラスにこだわらずに、ワイン用のグラスを使うと、かっこいい。

計25杯の試飲からわかったのは、グラスによってワインが七変化する化学反応の面白さ。そして、グラス選びも服と一緒で、好みやシーンに左右されるため、正解はひとつじゃないということ。シャンパンならフルートグラスと決めつけずに、いろいろ試すだけでも楽しいものだ。最高に贅沢なハレのお酒だからこそ、よりおいしく飲むためにグラスにも気を配りたい。

(ライター 水上彩)

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