どん欲進化でスキがない ミラーレス「LUMIX G8」
三井公一の最新デジカメ撮って出し
パナソニックが2016年10月末に発売したミラーレス一眼の中堅モデル「LUMIX DMC-G8」(以下、LUMIX G8)は、「LUMIX DMC-GX7 Mark II」などの上位機種で採用されている機能や装備をどん欲に盛り込み、従来モデルから大幅な機能アップを果たした意欲作だ。
上位機種のお株を奪うほどの進化を遂げたLUMIX G8だが、特に注目したいのが手ぶれ補正機構だ。上位機種が搭載するボディー内手ぶれ補正機構を新たに盛り込んだうえ、ボディー側の補正機構とレンズ側の補正機構をシンクロして働かせる「Dual I.S.」は「Dual I.S.2」に強化したうえで搭載。中望遠~望遠域の補正効果は、実にシャッター速度5段分にまで高められた。写真撮影時だけでなく、パナソニックのお家芸といえる4K PHOTOや動画の撮影時にも有効となるのがありがたい。
オートフォーカスは速度と精度が向上
オートフォーカス性能の向上も見逃せない。空間認識技術やセンサーの読み出し速度向上などにより、AF追従時の連写速度は約6コマ/秒に高まった。不規則な動きをする被写体でもAFの食いつきがよくなるなど、AFは速度と正確さに磨きがかけられた印象だ。ボディーは防塵・防滴構造となり、野生動物や屋外スポーツの撮影にも安心して臨めるようになったのがうれしい。
シリーズで定評のある独自機能を盛り込み、スキのない仕上がりになった
LUMIXシリーズならではの特徴的な機能も充実している。30コマ/秒の高速連写として使える4K PHOTOをはじめ、ピント位置を撮影後に選択できる「フォーカスセレクト」、ピントの合う範囲を自由に設定できる深度合成機能「フォーカス合成」、夜景撮影などで役立つ「比較明合成」などを搭載。デジタルならではの利便性の高い機能を意欲的に盛り込み、競合メーカーの製品にはない魅力を訴求する。
総合的に見ると、価格がまだ高めであること以外は、これといった不満や不足が感じられないのに驚かされる。決して派手さはないが、全方位的にスキがないミラーレス一眼に仕上がっていると感じた。
写真家。iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影している。2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。著書にはiPhoneで撮影した写真集「iPhonegrapher―写真を撮り、歩き続けるための80の言葉(雷鳥社)」、「iPhone フォトグラフィックメソッド(翔泳社)」がある。
[日経トレンディネット 2016年11月28日付の記事を再構成]
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