防水・保温・洒脱…街でも履ける本格スノーブーツ
特集 この冬に買いたい最新ブーツ選び(3)

朝晩の冷え込みが厳しくなってきた今日この頃。本格アウターの用意も必要だが、もうひとつ冬のファッションに欠かせないのがブーツではないだろうか。これまで仕事で履けるサイドゴアブーツと、長く履ける定番ワークブーツを紹介したが、今回は番外編としてスノーブーツを取り上げる。突然の雪に備えて、1足は持っておきたいところ。
防水で暖かく、ファッション性も高い
都市部で生活をしている男性で、スノーブーツを持っている人は少ないだろう。スキーやスノーボード、アウトドアが趣味でない限り、購入する機会も動機もなかなかない。しかし女性の足元をよく見ると、人気のムートンブーツをはじめとするウインターブーツを履いている人は意外と多い。女性にとってウインターブーツは、寒さ対策として、またファッションとして定着しているのだ。
そう、現在発売されているスノーブーツはデザイン性が高い。雪の日はもちろん、雪が降っていない日でも履けるほどおしゃれ。さらに靴の内部にボアが付いているため、なんといっても暖かい。
このようなメリットから、雪の日ではないタウンユースを目的として、スノーブーツを購入する人が増えているという。アウトドア用品専門店、ICI石井スポーツ原宿店のスタッフ・市川康子氏は、「原宿店では、日常使いに購入される方も多いです。あとはオーロラツアーや北国への旅行などいろいろですね」と話す。
また、「今年は防水製品が多くなったと思います」(市川氏)とも。「スノーブーツは防水でしょ!」と思うかもしれないが、都市部では防水よりも暖かさが求められるため、ムートン素材やボア付きのいわゆるウインターブーツが売れ筋だった。しかし今年は、防水で暖かく、デザインもおしゃれなスノーブーツが数多く登場し、注目を集めているようだ。
そこで今回は、本格アウトドアブランドのスノーブーツを紹介しよう。機能性もファッション性も兼ね備えたブーツは必見。細部を見ていくことで、スノーブーツの有用性がわかるはず。
ソレル/高機能&おしゃれなスノーブーツの筆頭

1962年、カナダで誕生したソレルのウインターブーツは、確かな機能性を備え、極寒の地で暮らす人々の足元を守ってきた。
そんなソレルの看板モデル「カリブー」は、1960年代に世界に先駆けてリリースしたウインターブーツの原型を引き継ぎ、機能性とファッション性を融合したスノーブーツ。ニューヨークのセレブの間で人気が出たのをきっかけに、アウトドアだけでなく街でのおしゃれ&快適なブーツとして世界中で支持されている。
防水レザーアッパーとインナーブーツの二重構造により、マイナス40度まで対応する優れた防寒性能を持つ。9ミリ厚のフェルト地のインナーブーツにはアルミフィルムが内蔵され、体温の熱を反射して保温効果を高める機能がある。また、インナーは取り外しが可能で、短時間で乾燥させることができるのもうれしい。
60年代の発売当初から変わらないデザインと機能を誇ると同時に、テクノロジーの開発も長年続けられ、少しずつアップデートされて今のカリブーがあるという。また、耐久性があるため長く履けて、時間の経過とともに味わいが出てくるのも魅力のひとつ。降雪の多い地域では、"一人一足ソレル"と言われるほど、長年カリブーを愛用している人も多いとか。
「カリブーは定番アイテムとして、ブランド全体の売り上げの一定の割合を占めています。特に今年は降雪の影響もあり、11月に入って北海道・首都圏での販売数が一気に伸びました」(コロンビアスポーツウェアジャパン 広報担当 新井春菜氏)
タウンユースはもちろんのこと、スキーやスノーボードなど冬のアウトドアアクティビティを楽しむ人たちからも人気が高いそうだ。



ザ・ノース・フェイス/人気のあったかブーツが防水仕様に

ザ・ノース・フェイスの人気ウインターブーツ「ヌプシブーティ」。もともと厳冬期のテント泊の際に、テント内で履くためのブーツとして作られたシューズに、外で履けるソールを付けてアップデートしたもの。暖かさに加え、街でも履ける機能性とデザイン性を持つことから大ヒットした。
今回紹介するブーツは、ヌプシブーティのウォータープルーフモデル。TEKWPROOF防水メンブレンにより、内部の蒸れを排出しながら外部からの水の浸入をシャットアウト。雪の日でも十分に履ける優れた防水透湿性を備えた1足だ。
また、ふっくらとした見た目からもわかるように、ブーツには保温材が内蔵されている。この保温材には、水にぬれても高い保温性を維持するプリマロフトを採用。暖かく、やわらかく足を包み込む。日本人の足に合うラスト形状のため、こう見えてフィット感があり、街使いからアクティブシーンまで幅広く対応できる。
「昨年はほとんどのモデルが完売し、手に入れられなかったお客様も多くいらっしゃいました。今回はさらにバリエーション豊富にさまざまなモデル展開をしたことにより、売り上げは昨年よりも好調に推移しています」(ゴールドウイン ザ・ノース・フェイス事業部プレス 杉田歩氏)
老若男女問わず幅広い層に支持されているが、女性ファッション誌で取り上げられることも多く、年々女性ユーザーの支持が増えているという。



ホグロフス/都市部での使用も考慮したデザインが魅力

ファッション性の高さからも近年注目が集まる北欧生まれの本格アウトドアブランド、ホグロフス。1914年の創業以来、過酷なフィールドに対応するプロダクトを提供し続けてきたが、2016年秋冬からブランドのメーンコンセプトを一新。用途を限定せず、アウトドアアクティビティとアーバンライフの垣根なく、使いやすくてタフな高機能アイテムを生産していくという。
今回紹介するブーツにも、この理念が反映されている。デザインや機能を見直し、これまでのアウトドアのコア層だけでなく、ライフスタイルウェアとしても合わせられるものになっている。
わかりやすいのはソールの形状だろうか。軽量で安定感に優れたEVAミッドソールと、ビブラム社製アウトソールを組み合わせており、まるでスニーカーのソールのように見える。実際に履いてみると、ブーツとは思えないほど軽くて歩きやすいことがわかる。
とはいえ機能は本格的だ。防水加工を施したレザーアッパーに加え、ライニングにゴアテックスを用いることで高い防水性を実現。インソールには熱遮断のウール素材を使用して保温性を確保。1世紀にわたり培ってきたテクノロジーが詰まった、履きやすさ・防水性・暖かさを備えたハイカットブーツに仕上がっている。
「特に東北エリアなど雪国の人たちから信頼されているブーツですが、都市部においても順調に売り上げを伸ばしています。今までのフィールドウェアを好んでいたコア層と、東京など街中で使用する方々、2つの層から支持されています」(ダブワークスPR 斉藤史氏)



L.L.Bean/あの名作ビーン・ブーツのウインターモデル

1912年創業のアメリカンアウトドアブランド、L.L.Beanの看板アイテム「ビーン・ブーツ」のウインターモデル。これだけで食指が動く。
ビーン・ブーツは、ゴムのボトムに革のアッパーを縫い付けたハンティングブーツ。ハンティングガイドをしていた創業者レオン・レオンウッド・ビーン氏が、湿地帯で水を吸って重くなる、履き心地の悪いハンティングシューズを大胆な発想で改良したもの。
このビーン・ブーツの製法を忠実に守りながら、ライニングにシアリング・フリース(羊毛)を使用し、足元の暖かさをキープしたのが本モデルだ。さらにインソールにはポリエステル製保温素材シンサレートのライニングも付き、抜群の保温性を誇る。ライニング以外の見た目は通常のビーン・ブーツと変わらないので、街着との相性も抜群。
アッパーは防水加工済みのフルグレインレザー製で、雨や雪をしっかり弾く。ゴム製のソールには特徴的なチェーン・パターンの溝が入っており、優れたグリップ力を発揮する。精巧な足型を使用しているためフィット感が高く、また土踏まずには安定感を高めるスチール製の補強材も入っているので歩きやすい。
「ビーン・ブーツは毎年、梅雨時期と寒くなる時期の前に売り上げが伸びる傾向があります。防水機能が備わっていながらファッション性もあるため、アメリカ本国でも若者を中心に現在も人気がある商品です」(L.L.BeanインターナショナルPR 丸山隆子氏)
ビーン・ブーツは、日本では20~60代の幅広い世代の男性を中心に支持されているそうだ。特にアメリカンカジュアルの流行を経験した40代以降の男性には根強いファンがいるという。また、ここ最近はファッショントレンドの影響から、20代の女性にも人気が広がりつつあるとのこと。



スノーブーツを選ぶなら街で履けるデザインを
以上、本格アウトドアブランドのスノーブーツを4つ紹介した。いずれも防水性・保温性の高い機能的な作りなうえ、ファッション性に優れていたこともわかったはず。アウトドアシーンや雪の日だけでなく、都市部でのタウンユースにも最適なのだ。
11月24日、東京都内でも積雪があった。11月の積雪は54年ぶりという記録だそうだ。再び雪が降る前にスノーブーツを購入し、履いていく靴に困らないようにしておきたい。備えあれば憂いなし、である。
(ライター 津田昌宏)
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