『逃げ恥』ガッキーは最高の女性部下タイプ?

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経済キャスターの鈴木ともみです。「ガッキー」こと新垣結衣さん主演のドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』が話題となっていますね。契約結婚をテーマにしたストーリー展開のおもしろさに加え、新垣さんの相手役である星野源さんが歌う主題歌「恋」に合わせて、出演者たちが踊る「恋ダンス」も人気を集め、ビデオリサーチ調べによれば、平均視聴率は初回からほぼ右肩上がりに上昇、11月29日放送の第8話では16.1%に達したのだとか。

「逃げ恥」ガッキーのしぐさやスマイルに“むずキュン”

私自身もこのドラマ(通称『逃げ恥』)と「恋ダンス」のファンですが、職を探して雇用関係上の主婦になる主人公・森山みくりを演じる新垣さんのとにかくキュートな姿と、「恋ダンス」のラストカットで、前髪が乱れたままでもめちゃめちゃかわいいガッキースマイルに、いつも見惚れてしまっています。ここでは、通常通り新垣さんのことをガッキーと呼ばせていただくことにします(笑)。

ドラマでは、ガッキー演じるみくりの伯母として、男性経験のない49歳の独身キャリアウーマン役を石田ゆり子さんが演じていますが、石田さんから頭をポンポンとなでられたり、髪の毛をクシャクシャとされたり、食事をしている最中に口の周りをふいてもらったりと、どのシーンのガッキーもかわいすぎて「あぁ、私もガッキーの頭をあんなふうになでてあげたい…」などと思ってしまうほどです。

百合という名前の伯母役を演じている石田さん自身も、情報番組『王様のブランチ』にVTR出演した際に、「自分の名前もゆり子なので、(役名の)『ゆりちゃん』は、本当の呼び名でもあるんです。撮影以外で、結衣ちゃんが『ゆりちゃん』て私のことを時々呼ぶんですけど、それが(本名なのか役名なのか)どっちなんだろうって(笑)。それがすごく嬉しくて…」と語っており、ガッキーから『ゆりちゃん』と呼ばれるたびに、“むずキュン”してしまう胸の内を明かしていました。

おそらく、ガッキーよりも年上、30代40代50代の女性達のなかには、石田さんがむずキュンする気持ちに共感し、「こんなにかわいい妹がいたら」「こんなに可愛らしい部下がいたら」と想像してしまう方も少なくないのではないでしょうか。

実際、2016年2月に明治安田生命保険相互会社が発表した「理想の新入社員」アンケート調査(全国の会社員・公務員・会社経営者・自営業などの部下がいる社会人734人を対象に、1月8日~18日インターネットで実施)結果によると、理想の女性新入社員として、トップに選ばれたタレントのイモトアヤコさんに次いで、2位にランクインしたのはガッキーでした。

同アンケートでは以下、3位に上戸彩さんと石原さとみさん、5位に有村架純さんと続いています。イモトさんの本業はお笑い芸人ですので、女優のカテゴリーではガッキーが1位ということになります。

注目すべきは、イモトさん同様にガッキーの場合も、「女性上司からの支持率が高い」という点。女性上司のうち13.4%もの人が名前を挙げたイモトさんにはかなわないものの、ガッキーも6.6%の人が名前を挙げており、3位の石原さんの4.9%、5位の有村さんの5.2%を上回っています。

「自然とほどよく同性の気持ちをつかむ」魅力と個性

このアンケート結果を見たときに、私は2013年春に放映されたドラマ『空飛ぶ広報室』のあるシーンを思い出しました。ドラマの中でガッキーは、テレビ局に勤めるニュース番組のディレクター・稲葉リカという主人公を演じていました。その主人公が「私は女を武器にするのも、女を捨てるのもどっちもイヤです!」と発する場面があり、この台詞がガッキーのイメージに本当にぴったりだったのです。

ガッキーが演じる主人公は、パンツルックが多いのも特徴的ですが、このドラマでもその適度なボーイッシュさと、かわいいルックスとが共存し、ガッキーの魅力全開でした。きっと、その“イノセントなかわいらしさ”が、同性異性を問わずのガッキー人気につながっているのでしょう。

女性は、美しく綺麗な女優さんが好きですし、憧れるものですが、それをこれ見よがしに武器として主張されると、逆に支持したくない気持ちが生まれてしまうもの……。そういう意味では、ガッキーは自然とほどよく同性の気持ちをつかんでしまう魅力と個性の持ち主なのかもしれません。

どの世界でも、同性の同性に対する眼は厳しいものです。当然、女性部下に対する女性上司からの評価も甘くはありません。まずは、仕事がデキる部下かどうかを鋭く判断します。

ちなみに、今秋クールのなかで、最も“デキる女性”のドラマと言えば、米倉涼子さんがフリーランスの外科医を演じている『Doctor X ~外科医・大門未知子~』ではないでしょうか。「私、失敗しないので」の決め台詞と共に、ビデオリサーチの視聴率では、断トツ首位を獲得し続けています。やはり、強く、美しく、デキる女性が活躍し、水戸黄門的な爽快感も味わえるドラマに対する人気は根強いようです。

紅白歌合戦での「恋ダンス」披露にも期待

ただ、今や番組の評価システムは多様化しており、通常、私達がニュースで目にする視聴率(ライブ視聴を前提にした世帯視聴率)だけでは、人気の本質をはかることができない時代になっています。世帯視聴率の他にも、「録画視聴(録画予約をした上で再生視聴)」や「全録視聴(全録で自動的に録画)」に関するデータが実在するのです。

例えば、東芝の「TimeOn Analytics(関東地区約12万台のネット接続テレビの視聴ログ集計)」では、ライブ視聴か、録画視聴か、全録視聴かなど、視聴率の詳細が全数でわかるような記録が示されています。

その集計結果(期間は10月17日~23日)によれば、世帯視聴率で首位なのは『Doctor X ~外科医・大門未知子~』ですが、全録視聴と録画視聴のログでは『逃げるは恥だが役に立つ』が上回っています。ある回の全録視聴では『逃げ恥』が5.9%であるのに対し『Doctor X』は4.4%、録画視聴でも『逃げ恥』が10.8%であるのに対し、『Doctor X』は7.9%でした。

また、データニュース社が実施したテレビ視聴アンケート「テレビウォッチャー」調査(対象1200人)によると、初回放送を見た後に第2話も続けて見たという、「最も脱落者の少なかった今秋ドラマ」のランキングトップが『逃げ恥』なのだそうです。つまり、『逃げ恥』は継続的にずっと見ていたいと思える心地よいドラマとも言えそうです。

テレビドラマの視聴者の中心は、F2層(35~49歳の女性)やF3層(50歳以上の女性)であると言われています。そのなかでも、会社帰りの女性たちは、夜遅くにテレビドラマを視聴する時間を持ちやすいものです。

憩いの時間としてテレビドラマを見ている先輩女性たちからすると、「私、失敗しないので」と言い切るバリキャリ系の女性部下タイプよりも、愛嬌がありながらも女性を武器としない素直な部下タイプの女性を見ている方が、癒やされ安心できるのかもしれません。

そういう意味では、ガッキーの場合、演じるキャラクターも彼女自身も『女性上司にとって最高の女性部下』タイプなのでは? と感じます。

もしかしたら、大みそかのNHK『紅白歌合戦』で星野源さんが『恋』を歌うなか、途中からガッキーも登場し、一緒に「恋ダンス」を披露してくれる可能性もあるなぁ…などと、私自身は今から楽しみにしております。

鈴木ともみ(すずき・ともみ)
経済キャスター、ファイナンシャル・プランナー。日本記者クラブ会員。TV、ラジオ、各種シンポジウムへの出演の他、雑誌やWeb(ニュースサイト)にてコラムを連載中。主な著書に『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式市況番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重TV・ストックボイス)キャスターとしても活動中。

[nikkei BPnet 2016年11月16日付の記事を再構成]