ルンバの拭き掃除版対決 使い勝手で勝る新モデル
「ブラーバ 380j」(セールス・オンデマンド。以下、380)は、14年7月に発売された掃除ロボット。ルンバと同じく米iRobotが開発した。ゴミを吸い込むのではなく、日本の住宅に多いフローリングなどの硬い床を自動で拭き掃除する製品だ。セールス・オンデマンドは、16年9月に380よりもコンパクトになった新モデルの「ブラーバジェット 240」(以下、240)も発売。両者の価格差は約1万円だが、どれほどの性能差があるのか。使い勝手や掃除能力を検証した。
使い捨てパッドで手間がかからない240
両者で異なるのが、掃除機能の根本的な仕組みだ。380は水拭きとから拭き用のクロスを同梱。それらを巻いたパッドを本体に取り付けて掃除を行う。水拭きの場合はパッドのタンクに水を入れ、それがクロスに染み出す仕組み。クロスは洗濯して再度使える。
240は使い捨てのパッドを取り付けて掃除を行う。パッドは水拭き用2種とから拭き用1種の計3種があり、水拭き用には洗浄剤が含まれている。水拭きの場合は、本体から前方に水を噴射し、それをパッドで拭き取る。
使い勝手がシンプルでわかりやすいのは240だ。240は取り付けたパッドを自動認識し、ボタンを押すだけでパッドに合ったモードで掃除を開始する。取り外し用のボタンを押せば汚れたパッドが下に落ちるので、手を汚さずに後片付けできるのもいい。
380は240と異なり、まず専用パッドに水拭き、もしくはから拭き用のクロスを巻き付ける必要がある。それを本体に取り付け、「ウェットモード」か「ドライモード」のボタンを押すと掃除を開始する。掃除後は前述したようにクロスの洗濯が必要だ。
拭き取りテストは240が優位
実際の拭き取りテストでも240が優位だった。それぞれ水拭き用のクロス、パッドを取り付け、クレヨンで汚したフローリングを掃除するテストを実行。240は汚れをほぼ除去できたのに対し、380では半分以上が残った。ただ、240の洗浄剤入りパッドは10枚1296円(税込み)。洗浄力は優れているが掃除1回当たりのランニングコストは約120円とやや高めだ。
稼働面積は380が広い
バッテリーのフル充電にかかる時間は両者とも「約2時間」と変わらないが、「稼働面積」には大きな差があった。
ナビゲーションシステムは、両者とも同社の「ルンバ」に使われている「iAdapt2.0」を採用。380は、それに加えて「NorthStarキューブ」を同梱している。
NorthStarキューブはテーブルの上などに置き、天井に赤外線を照射して380の詳細な位置情報を特定できるとうたう外部パーツで、本体と併用することで、例えば単体で19畳程度の稼働面積(から拭き時)を56畳にまで広げることができる。さらにNorthStarキューブを買い足せば稼働面積を最大112畳(から拭きの場合)まで広げられる。一方、240は水拭きで最大12~15畳、から拭きで最大15畳と稼働面積は380より狭かった。
洗浄力の高さや使い勝手など掃除ロボットとしての性能を考えると240に軍配が上がる。コンパクトなため、テーブルと椅子の隙間が狭くても掃除するなど、380より小回りが利くのも魅力だ。ランニングコストが高いことがネックだが、別売りの洗濯可能クリーニングパッド(3枚セットで4320円・税込み)を追加購入しても総額は380以下。日常的な掃除ではクリーニングパッドを使い、しっかりと掃除したいときに使い捨てパッドを使うというのもいいだろう。
シンプルで洗浄力に優れる、小型で狭い場所でも掃除可能
稼働エリアの広さでは380が有利だが、家具などを多く置いている部屋では240の機動性の高さが際立つ。専用パッドは使い捨てだが洗剤入りで洗浄力に優れる他、別売りのクリーニングパッドを追加すればランニングコストを大きく下げられるのもメリットだ。
(ライター コヤマタカヒロ)
[日経トレンディ2016年12月号の記事を再構成]
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