割る・切る・削る アウトドアナイフ、初めの1本
ブーム再燃中のフィッシングや、キャンプをしながら自然の素材を利用して自然の中で生きる知恵を身につける「ブッシュクラフト」など、気楽に楽しめるアウトドアから本格的なアウトドアまで、幅広く愛好者が増えるなかで、注目されるのがアウトドアナイフだ。
アウトドアで大定番のツールながら、刃物の危険なイメージが先行してしまい、日本では敬遠されがちなのが実状。手を出すことをためらう人も多いかもしれない。しかし1本持っておくことで、アウトドアの楽しみは大きく広がる。目的ごとに多種多様なアイテムがラインアップされており、それを見極めながら選ぶのも楽しい。安価で入手できる物も多く、使い込むほどに愛着のわくツールは、日ごろのメンテナンスもまた楽しみのひとつになるだろう。
今回は、アウトドアと好相性のナイフにフォーカス。それぞれの特性とあわせてご紹介したい。
【オピネル】パブロ・ピカソも愛用した"フランスの肥後守"
1890年にフランスで生まれ、以来実用的なナイフとして多くの人びとに愛されてきたメーカー、オピネル。同社が手がけるアウトドアナイフは、創業以来変わらない柄のデザインと手ごろな価格、そして、気取らないシンプルな構造が特徴。パブロ・ピカソも愛用したことで知られる。携帯性にも優れ、日本で例えるならば、簡易折りたたみナイフの肥後守(ひごのかみ)のような存在だ。
刃の形状や色のバリエーションも豊富で、ブレードはカーボンとステンレススチールの2種類。どちらもブレードの根元には、「王冠を頂く手」と呼ばれるロゴが刻まれている。シンプルでメンテナンスもしやすいので、こまめな手入れによって長く付き合えるアイテムだ。
オピネルは、テーブルナイフやスプレッディングナイフといったキッチンツールも手がけており、なかでもアウトドアとの親和性が高いのが、パントリーナイフセットだ。「キッチンナイフ No.112」「トマトナイフ No.113」「ビオベジタブルナイフ No.114」「ピーラー No.115」の4種類がセットになったアイテムで、どのナイフもコンパクトで軽量。携帯性に優れているので、屋外での調理などで真価を発揮する。もちろん、通常のキッチンツールとしても活躍が期待できる。
【モーラ】割る・切る・削るのにも適した堅ろうなナイフ
アウドトアナイフに求める条件として、携帯性の次に挙げられるのが、堅ろう性だろう。ブレードに対して気を使わず、ガシガシ扱っても壊れにくいタフなアイテムは、フィールドで重宝しそうだ。特に、自然のなかでDIYを楽しむブッシュクラフトのように、木を割る・切る・削るといった使用においても安心だ。
そうした条件をクリアしているのが、スウェーデンのブランド、モーラナイフの製品だ。創業125年のスウェーデン王室御用達の認定を受けた老舗ブランドで、その性能は同国軍のお墨付き。
なかでもこの「ブッシュクラフト フォレスト」(税込み4644円)は、その名の通りブッシュクラフトでの使用を考慮して開発されたもの。ステンレススチール製ブレードの長さは109mm、厚さ2.5mmと、肉厚で堅ろう性に優れ、木に刃を当てた状態で上から薪でたたいてナタのように使用するなど、ハードな使用にも難なく対応する。手頃な価格も魅力だ。
【スパイダルコ】釣りに最適。サビに強いチタンコーティングナイフ
フィッシングやカヤックなど、水辺でのアクティビティーにナイフを持ち込むときに気になるのが、ブレードのサビつきだ。小まめにメンテナンスをしていればよいが、少しおろそかにしただけで愛用品がダメになってしまうのは悲しい。
そうした水辺でのアウトドアシーンには、サビを考慮した処理を施したブレードの製品がオススメだ。なかでも、米・コロラド州発の「スパイダルコ ソルト1」は、洗練されたルックスと、初心者でも扱いやすいデザインを兼ね備えた一品。バックロック式(背止め式)のブレードに、サビに強いチタンコーティングを採用しており、海釣りなどでも安心して使用できる。
また、スパイダルコのナイフはブレード部分に穴が設けられており、親指を当てて刃を引き出すことで、ワンタッチの展開が可能となっている。もちろん、登山やキャンプなどにもオススメだ。
(ライター 中澤範龍)
[日経トレンディネット 2016年11月11日付の記事を再構成]
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